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公開日 2025.06.13
タイ商務省の発表によると、今年5月のタイ国民1世帯あたりの平均月間支出は2万1,037バーツだった。6月8日付のタイ紙ターンセタキが伝えている。前年同月に比べて支出全体は増加しており、インフレや都市生活のコスト上昇が背景にあると見られる。タイでは今年5月の消費者物価指数(CPI)が前月比0.22%上昇している。
支出項目は大きく「生活サービス関連」と「食費関連」との2つに分けられる。
まず、「生活サービス関連」への支出は全体の約6割(60.45%)を占め、内訳は次の通り。①住居費(家賃・電気・ガス・家電など):5,167バーツ(24.56%)、②交通・通信費(公共交通、車、燃料、携帯電話など):4,661バーツ(22.16%)、③医療・パーソナルケア(診療、薬、美容など):1,335バーツ(6.36%)、④教育・娯楽・寄付:849バーツ(4.04%)、⑤衣類・靴:440バーツ(2.09%)、⑥たばこ・酒類:216バーツ(1.24%)
一方、「食費関連」の支出は全体の約4割(39.55%)を占めており、主な項目は次の通り。①外食・テイクアウト食品:3,508バーツ(16.67%)、②肉類:1,568バーツ(7.45%)、③野菜・果物:1,009バーツ(4.80%)、④米や粉ものなど主食類:728バーツ(3.46%)、⑤ソフトドリンク類:708バーツ(3.37%)、⑥卵・乳製品:365バーツ(1.74%)、⑦調味料・砂糖など:計435バーツ(2.06%)
総支出額の上位5項目は、①住居費、②交通・通信費、③外食・テイクアウト食品、④肉類、⑤医療・パーソナルケアとなっている。
6月4日付のターンセタキによると、タイ政府観光庁(TAT)は今年、日本からの訪タイ者数を前年比20%増の120万人とする目標を掲げている。プロモーション戦略を大きく転換し、従来の高齢層中心の顧客基盤から学生・若手社会人・ファミリー層など若年層へと軸足を移している。
同庁の東京事務所では、アニメ「ドラえもん」のタイロケ版や日本の漫画家による現地取材作品など、カルチャーを活用した発信を強化。初訪タイの若者には、BTSスカイトレイン乗車券やSIMカードなどの特典を提供する「ファーストパスポート・イン・タイランド」キャンペーンも実施され、定員1万人を即時達成した。
一方、大阪事務所は大学生層に照準を当て、旅行会社や航空会社と連携した特別パッケージを展開。福岡事務所では、小中学生のスタディツアーや富裕層向けゴルフ企画など、多層的な誘致戦略が進む。
TATはその他、SNSインフルエンサー「Nippon Boys」や旅行予約サイト「Klook(クルック)」との連携など、具体的なツールとターゲット層を明確にした施策を組み合わせることで、次世代の訪タイ層の獲得に本格的に取り組んでいる。
タイでは、連立政権内のタイ貢献党(プアタイ党)とタイ名誉党(プームジャイタイ党)による対立が続いており、政治情勢に対する不透明感が高まっている。6月2日付のバンコク・ポストによると、ペートンタン首相はこれまで複数回にわたり内閣改造や議会解散の噂を否定してきたが、民間企業関係者の間では政府の不安定さに懸念が強まっているという。
両党は、カジノを含む複合娯楽施設の開発に関する法案(プアタイ党)と、オンラインギャンブルの合法化(プームジャイタイ党)をめぐり互いに協力を拒んでおり、相手の法案を進めさせない構えを見せている。中国銀河証券(CGSI)の研究部門長を務めるカセーム氏は「厳しい経済状況に加え、与党間の根強い対立が続くことで政府機能が麻痺している」と指摘した。
一方、観光業界では、議会解散そのものよりも総選挙や内閣発足の遅れによる政治的空白の影響を不安視する声が多いという。タイ・ホテル協会(THA)のティアンプラシット会長は「政権の移行期間中は新規予算が出せず、スケジュールが厳格化されることを懸念している」と述べ、年末のハイシーズンに向けた支出遅延を危惧している。
また、タマサート大学経済学部のキアットアナン准教授は「政権交代そのものよりも、新たな経済閣僚チームの顔ぶれがその役割にふさわしいと認められるかが、今後の経済回復の鍵を握る」と見方を示した。
タイ貿易・産業雇用者連盟(ECONTHAI)のタニット副会長は、「政治的リスクが議会解散まで至れば、経済再建の取り組みは振り出しに戻り、政治と経済の不確実性という望まぬ循環を繰り返すことになる」と述べ、「この政治パターンが続く限り、タイの経済指標は改善せず、好循環にはならない」と警鐘を鳴らしている。
THAIBIZ編集部
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