「中東リスクで企業もコスト対応を本格化」「今後注目される5つの有望輸出市場とは?」

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「中東リスクで企業もコスト対応を本格化」「今後注目される5つの有望輸出市場とは?」

公開日 2026.05.12

中東情勢の緊迫化によるエネルギー価格上昇を受け、タイ企業の間で原材料・物流コストへの警戒感が強まっている。5月5日付のネーションによると、タイはプラスチック原料となるナフサの90.2%、尿素肥料の71.4%を中東から輸入している。また、電子・医療産業で使用されるヘリウムも(中東に限らず)56.8%を輸入に依存している。

特に影響が大きいのが石油化学・物流分野だ。サイアム・セメント・グループ(SCG)では、同社原料の50〜60%がホルムズ海峡経由。物流・エネルギーコスト上昇を受け、ラヨーンのオレフィン工場停止や、供給先分散、リアルタイム在庫管理などを進めているという。

日用品メーカー、ライオンタイランドでは、洗剤原料となる石油化学製品リニアアルキルベンゼン (LAB)の価格が100%超の上昇。包装材コストも30%上昇した。ただし同社は現時点で値上げを行わず、コスト改革を開始している。製紙大手ダブルAも、輸送コスト対策としてEVトラック215台を導入。物流費や燃料依存の低減を進めるとしている。


米国の関税政策や中東情勢の緊迫化など、世界経済の不透明感が強まる中、タイ輸出業界では市場分散の重要性が高まっている。4月29日付のタイ紙ターンセタキでは、タイ輸出入銀行(EXIM)による分析を取り上げ、タイ製品との相性が高い有望市場として、以下の5つを紹介している。

①東欧:自動車・電子・化学分野のサプライチェーン需要。タイ製品との親和性が高い一方、タイの市場シェアは0.4%にとどまっており、欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)未締結が課題。

②スカンジナビア:健康食品・環境配慮型製品などニッチな高付加価値市場。高齢化・環境志向を背景に、タイ製品への需要拡大余地がある。

③中央アジア:物流ハブ化を背景とした機械・自動車部品需要。インフラ投資や産業多角化が進む。

④中南米:資源・データセンター投資拡大に伴う産業需要に可能性あり。

⑤中東:電気自動車(EV)、デジタル、ハラル食品関連市場の成長。インフラ投資や産業多角化が進む。

分析では、タイ製品と相手国の輸入需要の相性を示す貿易補完性指数(TCI)を活用。タイの輸出品目と相手国の輸入需要が一致している一方、タイ製品の市場シェアがまだ低い地域を「伸びしろのある市場」と位置づけている。

EXIMはこれら5市場向け輸出は現在、タイ輸出全体の1割未満にとどまるとしつつ、「新市場開拓によって、世界経済の変動に強い輸出構造を構築できる」としている。


4月23日、タイの大手不動産開発大手ピラットブリー(BHIRAJ BURI)グループは、バンコク・エムクオーティエ内のBHIRAJ TOWERでセミナー「Beyond the Space: The WELL-Being Era」を開催した。オフィスを単なる“働く場所”ではなく、“生活の質を高める空間”として再定義する動きとして注目される。

同ビルは、健康やウェルビーイングに配慮した建築基準「WELL Certified Core Gold」を取得。イベントでは開発会社、テナント、建築・心理分野の専門家らが登壇し「人を中心に設計されたオフィス」の重要性について議論した。

同グループのピティパット・ブリーCEOは、「コロナ後、人々の働き方やオフィスへの期待は大きく変化した」と説明。自然光や空気、温度、緑地、共用空間などが生産性や満足度に直結すると強調した。

ピラットブリーグループのピティパット・ブリーCEO(中央)
ピラットブリーグループのピティパット・ブリーCEO(中央)

また、イベントでは心理的安全性と空間設計の関係にも言及された。組織心理・共感コミュニケーションの専門家であるエンパシーソース社のドゥッダーオ氏は、「自然光はストレスを15〜20%低減し、創造性を10〜25%高める可能性がある。一方、窓がない環境はストレス増加につながる」と指摘。バーンアウト(燃え尽き症候群)は業務量だけでなく、圧迫感やプライバシー不足といった“空間要因”でも引き起こされると述べた。

10年以上同ビルに入居するUACJタイランドの担当者は、「立地だけでなく、建物の雰囲気や共用空間が“出社したくなる理由”になっている」とコメント。Work From Anywhere時代において、オフィスは“来る価値のある場所”へ進化する必要があるとの見方が共有された。

タイでは近年、働き方改革や建物安全性への関心の高まりを背景に、オフィスに求められる役割が変化している。今回のWELL認証取得は、タイのオフィス市場が「立地・賃料」だけでなく、「健康・体験・企業文化」へと競争軸を移し始めていることを示す事例と言えそうだ。


シャム建築家協会(王室後援)は4月28日から5月3日、バンコクのIMPACT Challenger Hallにて、30万人規模が来場するASEAN最大級の建築技術展示会「Architect’26」を開催した。同展示会には、壁材や床材、ドア・窓、住宅用エレベーター、トイレやバスタブ、キッチン、家電、セキュリティシステムなど、建築・デザインに関連する10万点以上の製品・サービスが集結した。

和風のしつらえで来場者の関心を集めていたUNICOM IMPORT-EXPORT CO., LTD.(以下、ユニコム)の出展ブースでは、東リ株式会社の床材やタイルカーペットなどが紹介されていた。展示手法について、東リ株式会社グローバル戦略推進部主事の愛宕佳央理氏は、「販売代理店であるユニコムの発想により、タイルカーペットや床材を暖簾や和菓子に見立てて展示したところ、多くの来場者が興味を持ち、足を止めてくれている」と説明。

同氏はタイでの事業について、「現在はコマーシャル市場での採用が大半を占めているが、今後はペット用タイルカーペットなどでの、レジデンシャルを含めたより幅広い分野への展開を目指す」と意欲を示した。

UNICOM展示ブース(写真撮影:THAIBIZ編集部)

THAIBIZ編集部
サラーウット・インタナサック / 白井恵里子 / 和島美緒

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