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カテゴリー: ASEAN・中国・インド, ニュース
公開日 2026.05.22
博報堂グループのシンクタンク、博報堂生活総合研究所アセアンは「アセアン生活者の人生のプライムタイムを紐解く」と題したフォーラムをタイの首都バンコクで開催した。30代以上の3世代を対象に東南アジア主要6カ国で実施した調査研究の結果を発表し、年齢を重ねる中での「理想の生活」「自己実現」「加齢への意識」の実態を明らかにした。

同研究所は昨年、ミレニアル世代(1981〜96年生まれ)、X世代(65〜80年生まれ)、ベビーブーマー世代(46〜64年生まれ)を対象に調査を実施した。インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム、シンガポールの6カ国で計36世帯を訪問したほか、アンケートでは日本を加えた7カ国から計4,900件の回答を集めた。
理想の生活は「社会的なつながり」
東南アジア6カ国では、中年期以降の理想の生活について、「社会的なつながりを通じて広がる生活だ」と位置付けた。自分自身だけでなく他者への貢献も重視されているという。西洋で理想とされる早期退職やホリスティック(包括的)な暮らし、二酸化炭素(CO2)排出をゼロにして自然に回帰する生き方、日本で理想とされる趣味に没頭し、ゆったりと暮らし、自分だけの快適な空間を持つ生活とは対照的だとしている。
世代別に見ると、ミレニアル世代では「家庭の将来のために家計を安定させる」ことが重視される。そのための自己投資が、最も責任ある行動だと認識されているという。「家族のために貯蓄や投資をしている」と答えたミレニアル世代は41.7%に上った。
X世代では、「より良い『私たち』になるために、より良い『自分』になることが必要だ」との意識がみられた。自分自身を大切にしなければ他者の面倒を見ることができないと考え、レジャーや旅行に投資する行動がみられる。「自分自身の旅行のためにお金を使う」と答えたX世代は43%に上った。
ベビーブーマー世代では、知識やスキルを次の世代に伝えたいという思いから、コミュニティーへの貢献を続けることが目指されている。理想の生活は「周囲とつながりながら活力を保ち、自尊心を持って生きる生活」だとしている。

自己実現への欲求は減退せず
東南アジア6カ国の中年期以降の人々は、若い世代と比べても自己改善や貢献、積極性への欲求を年齢にかかわらず持ち続けているという。
世代別に見ると、ミレニアル世代は自己実現について、「社会の変化に適応し、生き残るための手段」と捉えている。「新しいスキル(ハード・ソフトの両面)を得るために自分を磨きたい」と答えた人は72.3%に上った。自らの成長で家族や社会に貢献できるときに、真の充足感が得られるとしている。
X世代は、これまで親と子の双方の面倒を見てきた世代だが、人生の主導権を取り戻し、自分らしくいるためのバランスを求め始めていると分析した。X世代では、「人生について考え、先を見越して行動することで、人生を自分のものにしたい」と答えた人が64.3%に上った。
ベビーブーマー世代は、家族や友人、コミュニティーとのつながりを通して、自分が役に立っているという感覚を得ることがエネルギー源になる。ボランティアや地域活動を通じて積極的に社会に貢献するとき、深い目的意識を再発見するとした。「できるだけ自立して暮らすために、身体的・精神的にアクティブでいたい」と答えた人は66%となった。
ソーシャルメディアの使い方にも世代別の特徴がみられる。「寂しさを緩和するためにソーシャルメディアを活用している」と回答したのは3世代のうちベビーブーマー世代が最も高く、34.6%に上る。一方で、「ソーシャルメディアを使って新しい知識や技術を学んでいる」と答えたミレニアル世代は44.4%と、他の2世代よりも高い傾向を示した。

「加齢」は自己更新の機会
東南アジア6カ国では、年齢を重ねることが「自己を更新し、より豊かにし、築き上げていく継続的な自己再生」と捉えられているという。「加齢を花開く機会として受け入れ、より深く根を張り、より多くの年輪を重ねることで、これまで以上に幸せになっている」と説明した。
人生の満足度に関する調査では、「現在幸せだ」と答えた人の割合は、ミレニアル世代が82%、X世代が85.2%、ベビーブーマー世代が88.8%と、世代が上がるにつれて高くなった。
このため、これらの世代に向けたマーケティングでは、「加齢は自己再生」と捉える意欲を後押しすることが重要だと指摘した。加齢を肯定する考え方を促進することで、年齢を重ねることへの前向きな姿勢を支え、潜在的なニーズや新たな機会を掘り起こせるとみている。
「不安を売る」から「活力を売る」へ、「加齢への抵抗」から「加齢を肯定」へ、「引退」から「再挑戦」へ――。こうした新たな視点が重要だとした。
タイは「遠慮」の文化、自立が鍵
フォーラムでは、タイの個別事情についても調査結果が示された。タイでは「できる限り自立して生活し、身体前・精神的にアクティブでありたい」と答えた人の割合が、ミレニアル世代からベビーブーマーまでの3世代いずれも東南アジア6カ国の平均を上回った。背景には、他人に迷惑をかけないよう遠慮する「グレンチャイ」の文化があり、自立が自尊心の維持につながっているという。

また、タイでは家族の小規模化が進み、「高齢者の世話」の意味も、同居ではなく、支援を送ったり適切なサービスを手配したりすることへと変化している。社会的なトレンドとしても、年を重ねても活動的で有能、生命力にあふれた「スパイシー」な存在でありたいという動きが、ソーシャルメディアなどでみられるという。
こうした傾向から、タイにおける3世代へのマーケティング戦略では、情熱を再発見できる「充足感」、自立した生活を送り、自己管理する「能力」、家族と共有する瞬間をつくる「つながり」の3つを提供することがブランドの重要な役割となるとした。

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