カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2018.10.26
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「コーチング」とは、様々な角度から質問をすることで、相手が従来の思考の枠を離れて深く考え、自発的に行動していくことを支援するもの。答えは本人の内にあるとの考えのもと、クライアントが自身で目標達成に向けて模索し、行動に移すプロセスの中で、成長していく――山田寛之氏は、知識や経験といった解決策を外から与える「ティーチング」と、解決策を内から引き出す「コーチング」のアプローチ方法の違いをこう説明する。
タイにおいて山田氏は、経営者とともに自発的に組織変革を実現していくリーダーを創出することを通じて、業績向上につながる組織の風土改革や従業員の意識改革に取り組んでいる。
タイで事業展開する日系企業が直面するテーマに、自発的なタイ人リーダーの創出がある。「指示された内容は真面目に取り組むのだが、指示以外の行動が出てこない」「日本人駐在員が調整せずとも、部署をまたぐ課題解決をしてほしい」「日本人トップが入れ替わったとしても会社が成長していけるよう、タイ人社員に会社を率いてほしい」などの声が多く寄せられるという。
以前は、日本本社からの指示に沿って製品を生産、あるいはサービスを提供することが、タイ現地法人に求められることであった。だが、在タイ日系企業が今後一層の成長をし、企業価値を上げ続けるためには、更なる付加価値の創出をする必要がある。そのためには、タイの現地事情を最も知っているタイ人を経営幹部に登用するなどの「現地化」を推進することが不可欠となりつつある。山田氏は、「現地の事情に精通するタイ人に経営のバトンを渡していくことが求められる時代に入った。
バトンを渡す日本人社員、受け取るタイ人社員が、ともに変化を求められている」と指摘する。
タイに着任した約2年半前は、「恥ずかしいですが、バンコクがこれ程大都会とは想像しなかった」と振り返る山田氏。日系企業の進出が多いタイで、現地で働く日本人達との交友を深めている。「右も左も分からなかったインドネシアに長期出張で滞在したときに、現地日系企業の方に大変お世話になった。少しでも恩返しがしたかったが、『これが駐在員の心意気です。私もインドネシアに来たばかりの頃に、よくしていただきました。山田さんも、いつか、どこかで、誰かに同じことをなさってください。』と言われたことが心に残っている」と振り返る。
山田氏はこの言葉をヒントに、タイで人と人がつながる場を創ることをライフワークとしている。現在は、日系現地法人の経営者クラスが集まる会から、20~30代が気軽に集まる若手の会まで、懇親会を積極的に開催している。また、タイが親日であり、我々日本人が働きやすい環境を整えてくれたのは、先人達の弛まぬ努力であるとし、「先人達の遺産を取り崩すのではなく、一つでも二つでも積み上げたい」と話す。
山田氏は、「今後はタイ人の方々とのつながりも広げて、タイと日系社会に貢献していきたい」と胸を躍らせる。
THAIBIZ編集部
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