ArayZ No.128 2022年8月発行その資産、どこに行く? 日タイ相続 超入門
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カテゴリー: ASEAN・中国・インド, 会計・法務
連載: ONE ASIA LAWYERS - ASIAビジネス法務
公開日 2022.08.10
2022年4月3日、Central Bank of Myanmar(ミャンマー中央銀行、以下「CBM」)は、外貨のミャンマーチャット(以下「MMK」)への強制両替および海外送金の許可制を規定した告示(Notification No.12/2022)および通達(Directive No.04/2022)を発出しました。
原則、国外との取り引きで獲得した外貨を(規制発出前後を問わず)1営業日以内にMMKに強制兌換(だかん)しなければならず、内資・外資問わず企業活動に多大な影響を及ぼすものとなっています。
適用除外に関連して4月20日、CBMはAD Licensed Bank(外貨取扱銀行、以下「AD銀行」)向けにレター(Letter FE-1/69)を発出し、外貨兌換についてミャンマー投資委員会の認可取得企業(以下「MIC企業」)や経済特区への投資企業(以下「SEZ企業」)に対し、強制兌換について適用除外を認める旨の通知を発出し、また、6月16日には「外国資本が10%以上出資するDICA企業」も除外する旨、CBMからAD銀行向けに議事録を回付(Letter FE-1/540)したため、外資の大半が除外される結果となることが期待されていました。
しかし7月13日、CBMはAD銀行向けに通知(Letter FE-1/739)を発出し、6月16日付レター(Letter FE1/540)に記述の「外資10%以上出資のDICA登録企業の外貨兌換免除」を撤回する旨を通知しています。
この通知により、再度外資企業の大半が外貨兌換の対象となるため、多大な影響を及ぼすものと想定されます。なおMIC 企業、SEZ企業などの免除の取り扱いについては記載がないため、引き続き免除の対象となっていると解されています。
CBMは7月15日付の強制両替に関する通知(Letter FE-1/754)を発出し、外国為替監督委員会が「外資比率35%以下のミャンマー企業を外貨強制兌換の対象にすると決定したと報じられています。
ミャンマーの会社法では外資比率が35%以下の企業は「内資企業」として取り扱われるとの条項があり、会社法上の内資企業を外貨強制兌換の対象とし、外資企業(外資比率35%超)を外貨強制兌換の対象外とするものと理解されます。
以前より、非免除企業に対してはCBMより外貨預金強制兌換の指示が複数回発出されていることから、免除対象範囲変更の通知に伴い、改めて非免除企業に該当する企業に対して外貨預金強制兌換指示が発出されることが想定されます。
関連して、日系メガバンクのミャンマー支店にて外資比率が低い現地法人のUSD口座の預金がMMKへ強制的に転換された事例や強制転換の事前通知が行われた事例などが報告されています。
もっとも、1ヵ月の間に免除範囲が複数回にわたって変更となっており、今後も変更の可能性があることから、その動向に注意が必要となります。
佐野 和樹
One Asia Lawyers パートナー弁護士(日本法) ミャンマー・マレーシア統括
2013年からタイで、主に進出支援・登記申請代行・リーガルサポート等を行う「M&A Advisory Co., Ltd.」で3年間勤務。16年よりOne Asia Lawyersの設立に参画し、ミャンマー事務所・マレーシア事務所にて執務を行う。19年にミャンマー人と結婚し、現在はミャンマー在住。ミャンマー・マレーシア統括責任者として、アジア法務全般のアドバイスを提供している。
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THAIBIZ編集部
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