
カテゴリー: 会計・法務
公開日 2023.07.09
先般、労働者保護法(Labor Protection Act)が改正された。この改正では、ワークフロムホーム(以下WFH)に関するルールが第23/1条として追加され、2023年4月18日から施行されている。そこで、今回は、このWFHに関する新ルールについて解説する。
新ルールの概要は次のとおりである。
新ルールは、自宅や居所での勤務のほか、それ以外の遠隔地での勤務にも適用される。また、新ルール上「何日以上から適用されるか」という限定はないため、理論的に言えば、1日限りのWFHであってもこの条文の適用対象となり得る。
新ルールでは、使用者と従業員がWFHについて合意できることを規定している。 しかしながら、合意がない場合に、従業員が使用者に対してWFHを要求できるか否か、使用者が従業員に対してWFHを命じることができるか否かについては何ら規定しておらず、不明瞭なままである。今のところ、使用者としては従業員からの要求に応じるべき義務はないものの、使用者が一方的に命じることもできないと考えておくのが素直ではないかと考える。
次に、WFHについて合意する場合には、合意書の作成が義務付けられている。新ルール上、合意すべき事項として、期間、労働時間、管理監督、備品の負担などの事由が列挙されているが、あくまでも合意書に含むことができるものとされるにとどまり、合意書に含むことが義務付けられているわけではない。もっとも、これらはいずれも認識の不一致がトラブルに発展しやすい事由であるため、明確に合意しておく方が望ましい。
WFHしている従業員は勤務終了後、原則として使用者からの連絡に応答する必要はない。
出勤している従業員であっても、退勤後は会社からの連絡に応答しなくてよいのが原則であるため、この点はいわば当然のことを確認した規定といえる。
新ルールは、WFHしている従業員を差別的に取り扱ってはならないことも規定している。しかしながら、例えば通勤交通費など、オフィス等に出勤するからこそ発生する性質のものをWFHしている従業員に支払うといったことまでは必要はなく、合理的な差異を設けることは可能と考える。
相当数の従業員に対して一定期間のWFHを求めたり、特定の従業員に対して長期間のWFHを求めたりする場合には、合意書を作成しておく方が望ましいであろう。
しかしながら、実務上、従業員からの要望に基づき単発的にWFHとする場面も少なくないと思われる。そのような場面で都度、合意書を作成するという運用は負担が大きい。そこで、例えば、WFH時の労働条件やルールが明確化されていることを前提として、従業員が単発的なWFHを求めるときは、Slack上のチャネルやGoogle Formなどを利用して申請し、使用者は申請を承認するか否かクリックして済ませるといった仕組みを導入しておくというのも一つの簡便な方法ではないかと考える(この申請と承認のクリックにより合意が成立したと評価できると考える)。

GVA Law Office (Thailand) Co., Ltd.
代表弁護士藤江 大輔
2009年京都大学法学部卒業。11年に京都大学法科大学院を修了後、同年司法試験に合格。司法研修後、GVA法律事務所に入所し、15年には教育系スタートアップ企業の執行役員に就任。16年にGVA法律事務所のパートナーに就任し、現在は同所タイオフィスの代表を務める。
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THAIBIZ編集部


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