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カテゴリー: 会計・法務
連載: New*GVA / TNY法律事務所 – タイビジネス法務
公開日 2024.01.09
目次
タイにおいては、協議離婚と裁判離婚の二つ手続きが考えられる。協議離婚は、話し合いによって離婚手続きを進めていく方法である。他方、裁判離婚は、合意による離婚ができず法定された離婚事由に該当する場合に、裁判によって離婚手続きを進める方法である。
話し合いの結果、夫婦が離婚に合意できれば地区事務所において、協議離婚の登録を行うことにより、離婚できる(タイ民商法典(以下、「法」という)1514条、1515条)。
離婚について協議による離婚合意ができない場合、法定された離婚事由に該当すれば、離婚のための裁判を申し立てることができる(法1514条、1516条)。法定された離婚事由の主なものとしては、他方配偶者の不貞行為があった場合、他方配偶者から1年以上遺棄された場合、3年以上別居状態の場合、他方配偶者が3年以上失踪している場合などである。
裁判離婚の場合、裁判所の関与による合意離婚と判決による離婚の2種類がある。これは裁判所の関与によっても離婚の合意をすることが不可能な場合に、裁判所が判決による離婚を行うことになる。
夫婦が離婚する場合、夫婦の財産は財産分与の対象となる。協議離婚の場合、地区事務所での離婚登録日時点の夫婦の財産が財産分与の対象となる。裁判離婚の場合、離婚裁判の訴えが裁判所に提起された日時点の夫婦の財産が財産分与の対象となる(法1532条)。 具体的に財産分与の対象となる夫婦の財産を確定するために、タイにおいても日本と同様に、夫婦が有する財産を、特有財産と共有財産に区別することになる。財産分与の対象となるのは共有財産のみであり、特有財産と共有財産は、以下のように区別されることになる。
特有財産は、原則、財産分与の対象とはならない財産であり、以下の財産をいう(法1471条)。
共有財産は、財産分与の対象となる財産であり、原則、夫婦間にて2分の1ずつ均等に分配されることになる(法1533条)。共有財産は以下の財産をいう(法1474条)。
夫婦の財産は、特有財産として特定したものを除き、共有財産となる(法1470条)。ある財産が、共有財産かどうかが明らかではない場合、その財産は共有財産であると推定されることになる(法1474条)。
夫婦間の話し合いにて、任意に財産分与を行うことが可能である。財産分与の合意は、法律上、書面で作成する必要はなく、口頭で合意することも可能である。しかしながら、合意内容を明確にし、将来の紛争を避けるためにも、夫婦間で財産分与に関する合意書を作成しておき、離婚登録時に財産分与に関する合意内容を登録しておくことが望ましい。
裁判所における協議にて離婚が可能である場合、裁判所は夫婦間にて合意された内容に基づき判決を下すことになる。財産分与の内容についても当事者の合意内容に基づくものとなる。裁判所における協議を経ても離婚が成立しない場合には、裁判所が審判を行い、財産分与に関する事項を含んだ判決を言い渡すことになる。ケースバイケースとはなるが、共有財産は原則、法1533条に従い、夫婦間にて均等に分割されることになる。
TNY国際法律事務所
日本国弁護士
藤原 杯花
17年1月よりタイのTNY国際法律事務所にて執務。TNY国際法律事務所は、日本人弁護士2名が共同代表を務める法律事務所であり、会社設立から規制調査、契約書のリーガルチェック、商標登録申請、相続手続きなどのサービスを提供している。
Email : [email protected]
URL : http://www.tny-legal.com/
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THAIBIZ編集部
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