タイ石油大手バンチャックがパートナー募集 ~バイオ科学、SAF、低炭素水素など~

タイ石油大手バンチャックがパートナー募集 ~バイオ科学、SAF、低炭素水素など~

公開日 2024.06.04

TJRIでは4月19日、タイ企業のニーズを日本企業向けに発信するオンライン説明会『Open Innovation Talk』の第25回として、タイ上場の石油会社バンチャック・コーポレーションの経営戦略・サステナビリティ担当副社長代理のアンストン・マヒティクン氏に登場いただいた。バンチャックは、川上から川下までのエネルギー事業を展開している。昨年は米エクソンモービルのタイ法人エッソ・タイランドを買収、さらに最近は持続可能な航空燃料(SAF)などのバイオベース製品の開発を強化している。

川上から川下までのエネルギー会社

Bangchak - 40年の歩み
「持続可能な成長に向けた40年の歩み」出所:Bangchak

Q. バンチャックの事業概要は

アンストン氏:バンチャックは1984年に設立された。グリーンイノベーションによって持続可能な世界の創造が目標であり、国のエネルギー安全保障とのバランスを取りながら、エネルギー転換を加速させている。われわれの事業戦略には、①「Security」タイのエネルギー安全保障 ②「Synergy」石油・ガス物流事業や貿易事業などの各事業部門に共通する商品・サービスの連携・共創 ③「Sustainability」持続可能なビジネスを重視し、グリーンビジネスへの投資を重視 ④「Scalability」長期的な成長のために成長性の高い新規事業を創出―の4つがある。こうした戦略に基づき、主に次の5つの事業を展開している。

Bangcahk - 長期的な戦略を見据えた体制
「Bangchakの長期的な戦略を見据えた体制」出所:Bangchak

(1)製油所とトレーディング事業:ガソリンの精製・販売・輸送事業で、精製能力はプラカノン製油所が日量12万バレル、シラチャ製油所(旧エッソ)が17万4000バレル

(2)マーケティング事業:ガソリンスタンドでの事業、そしてコーヒー店チェーン「インタニン」やカーケアサービスなどの石油以外の事業

(3)クリーンエネルギー事業:子会社のBCPGを通じて、タイと海外で再生可能エネルギー事業を展開

(4)バイオ燃料の関連事業:子会社のBBGIで、エタノールとバイオディーゼルを生産。プレミアム・バイオベース事業とバイオテクノロジー事業のリーダーを目指す。また、産業部門や飲食店、一般家庭から使用済み食用油(廃食油)を回収する事業を行っている「タナチョーク・オイル・ライト」社との合弁会社「BSGF」を通じて持続可能な航空燃料(SAF)を生産

(5)天然資源と新規事業:ノルウェー企業の「OKEA ASA」を通じて、石油の探査と生産事業に投資し、タイ以外でリチウム事業とイノベーション事業に取り組む

エッソ買収はタイのエネルギー安全保障が目的

Q. エッソを買収するにいたった経緯は

アンストン氏:タイのエネルギー安全保障を考慮するとともに、当社の石油精製能力の強化を狙いにエッソを買収した。この買収により、シラチャ製油所を取得し、ガソリンスタンドも約1300カ所から約2200カ所に倍近くに増えた。より多くの顧客にアプローチができ、石油以外の事業も拡大できるようになった。

ネットゼロに向けた「グリーン」提携

アンストン氏:日本企業との提携事例では、昨年12月にコスモ石油とタイから日本へのSAF輸出について合意した。われわれはエネルギー事業の川上から川下までをカバーするビジネスを展開し、2030年までにカーボンニュートラル、2050年までにネットゼロを達成することを目標としている。このため、われわれは日本企業のグリーン化に技術に注目しており、カーボンニュートラルに関連する事業の提携を求めている。

バイオ燃料やSAF、藻類を使った製品などのパートナーを求める

Q. どのような分野でパートナーを求めているか

Bangchak - 協業可能性がある事業領域
「協業可能性がある事業領域」出所:Bangchak

(1)カーボンニュートラルを共に推進するジョイントベンチャー(JV):エタノールなどのバイオ燃料と高付加価値バイオベース製品。特にエタノールに関する新技術を持つパートナーを求めている。また、メタノールやメタンなどの合成燃料、二酸化炭素(CO2)の排出が少ない低炭素水素や低炭素アンモニアなど

(2)専門領域の共同開発パートナー:事業をタイで実証・スケールアップを希望する企業。また、タイ市場への進出のため、二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)や水素、アンモニア、SAF、脂肪酸製造のための発酵、人工知能(AI)分析などの技術がある企業やスタートアップ

(3)バンチャックの事業を共に展開するパートナー:電動バイクレンタルプラットフォーム「Winnonie」事業を共同展開できるパートナーで、特に電気自動車(EV)用バッテリーの技術を求める。また、「アスタキサンチン」を藻類から商業規模で生産するためのパートナー。藻類を使った製品を共同開発・販売・流通するパートナー。バンチャックのグリーンビジネスを加速できる新技術を持っているスタートアップ企業への投資が可能

THAIBIZ編集部

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