公開日 2024.11.11
11月5日付バンコク・ポスト(ビジネス5面)は、ロイター通信の転電で「中国の太陽光発電パネル企業は米国の関税がかからない国に向かっている」というタイトルの記事を掲載している。米国がタイ、カンボジア、マレーシア、ベトナムという東南アジア4カ国からの太陽光パネル輸入に反ダンピング・相殺関税を課すとのニュースの続報をともいえる。同記事は、米国による関税賦課の動きを受けて「ベトナムにある最大手の中国系太陽光パネル工場の一部は減産し、人員削減を行う一方、米国の輸入制限の対象となっていないインドネシアやラオスに新たな中国系の太陽光パネル工場が進出し始めている。これらの工場は米国が昨年導入した太陽光発電パネルの約半分を供給するのに十分な生産能力がある」と話を始める。
そして、中国の太陽光パネル企業は既存工場の生産量を続々縮小させる一方で、他の国に新工場を作り、追い打ちを掛けるような米国の関税を逃れてきたと指摘。その最新フェーズはこれまで報じられていなかったインドネシアとラオスへのシフトだと報告している。さらに、米クリントン政権時の貿易担当当局者の「それは大きな猫とネズミのゲームだ。・・・ルールの設計は米国がいつも一歩遅れている」とのコメントを紹介。また、SPVマーケットリサーチは、世界の太陽光パネル出荷の約80%は中国が支配し、残りはアジアのどこかの輸出拠点であり、米国がこの市場の世界リーダーだった20年前はとは対照的だとの見方を示した。
米連邦政府のデータによると、米国が関税を賦課し始めた2012年以来、米国の太陽光発電関連製品の輸入額は3倍の水準になったという。しかし、「2023年に中国から直接輸入されたものはほとんどなく、その約80%が中国企業が保有する工場があるベトナム、タイ、マレーシア、カンボジアからだ」という。
11月7日付バンコク・ポスト(ビジネス4面)によると、グーグル、テマセック、ベイン&カンパニーが共同で作成した東南アジアの電子商取引(EC)に関するリポートは、タイの2024年のデジタル経済の市場規模は流通取引総額(GMV)ベースで460億ドルで、伸び率は前年比19%増になるとの予想を示した。特に「ビデオEコマース」とオンライン旅行サービスの成長にけん引されたという。同リポートによると、2023年のデジタル市場規模(GMV)は前年比26%増の390億ドルだった。また2030年にはGMVは1000億~1650億ドルに達するとの予想も明らかにした。また、今年上半期のタイでの人工知能(AI)対応のデータセンターの建設への投資額は60億ドルたったという。
11月7日付バンコク・ポスト(ビジネス2面)によると、タイエネルギー省は2027年にバイオ燃料に対する補助金制度が失効した場合の影響を緩和する対策を計画している。同制度が失効した場合、バイオ燃料価格が上昇し、原料となるアブラヤシとサトウキビ農家に影響を与えるためだ。これらの農家はサトウキビ原料の糖蜜からエタノールを作る工場、パーム油由来のメチルエステルを作る工場にその原料を売却している。ガソリンに混合してガソホールを作るエタノールの価格と、バイオディーゼルを作るためにディーゼルと混合するメチルエステルの価格は現在、精製油よりも高い。このためタイ政府は、バイオ燃料の利用を促進するために国の石油基金の一部をバイオ燃料の補助金に充当してきた。ピラパン・エネルギー相は、メチルエステル価格の上昇がアブラヤシ農家に与える影響を回避するために、エネルギー省と工業省が合同で、アブラヤシとパーム油に関する新法の原案を策定すべきだとの考えを明らかにした。
2日付バンコク・ポスト(2面)によると、今年初めにバンコク都のモノレール型都市鉄道「イエローライン」のガイドホイールが落下し、高架下を走行した自動車にダメージを与えた事故を受けて、運行サービスを請け負った「イースタンバンコクモノレール(EBM)はベアリングの欠陥だと説明したものの、多くの人が説明が不十分だと認識しているという。この事故の前にも同じモノレール型都市鉄道の「ピンクライン」でも同様の事故が起き、バンコクに新たに導入されたモノレールへの信頼がダメージを受けている。両モノレールの事業主体であるタイ大量高速輸送公社(MRTA)は安全基準・作業を改善し、信頼を回復するために先月、40人のジャーナリストと政府当局者をこのモノレールの車両を製造したCRRC・Puzhen Alstom Transportation Systems(PATS)の中国安徽省蕪湖市にある工場の視察に招待した。その際、PATSの責任者はブラジル、エジプト、中国などの他の路線では同様の欠陥はなく、「この事故はバンコクに特有であり、われわれは2度と起きないよう約束する」と訴えたという。
米大統領選挙でのトランプ氏の勝利は今後、世界経済にどのような変化をもたらすか、当面はさまざまな議論や具体的な動きを注意深く見守り、分析を絶えず見直していくしかないだろう。それはタイでも同じだ。今回は10月8日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)の次の記事のみを紹介しておく。タイEコマース協会のパウート名誉会長は、トランプ氏の勝利を受けて、中国本土の輸出業者は米国の代替市場を求める中で、中国製品のタイ市場の洪水のような流入は加速されると警告。タイ政府は、国内中小企業の競争力を確保するため、あらゆる分野で製品の違法輸入を抑える取り組みを強化し、輸入品の品質の検査を厳格化、さらに、タイで違法ビジネスを実行するためにノミニーを利用する中国企業を厳しく審査すべきだと訴えた。
THAIBIZ編集部
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