カテゴリー: 会計・法務
公開日 2025.05.09
2023年の改正民商法典により、非公開会社における「吸収合併」として一方の会社が他方の会社を吸収する形での合併が規定された。従来、民商法典には合併の方法として新設合併のみが規定されており、事業再編や企業買収の方法としては株式取得、事業譲渡が選択されてきた。しかしながらこの改正により今後は、吸収合併もその一つの選択肢になった。
今回は、2社間での吸収合併を前提に手続の概要を見ていく。吸収合併は、2つの主要なステップに分かれて実施される。
まず、各社の取締役会において株主総会(特別決議)の招集を決議し、遅くとも開催の14日前までに株主へ通知するとともに、(当該会社の付属定款において必要な場合)新聞公告を行う。株主総会では、合併に関する特別決議を経て承認を得る。
これに反対する株主には株式の買い取り請求権が認められており、合意により価格を決定するか、合意に至らない場合は省令に基づいて選任された鑑定人の評価額により買い取りが行われる。鑑定人は、会社、株式取得者や反対株主の評価に関して利害関係のない独立した者であることに加え、監査人であるなどの資格要件が定められている。(タイ民商法典(以下、同じ)1238条、1239/1条)
特別決議の成立後14日以内に、合併について承認する決議内容を商務省事業開発局(DBD)に登記し、債権者に対する通知および広く流通している日刊新聞で公告を実施する。債権者は30日以内に意義申し立てができ、会社は異議に対して債務の弁済または担保提供を行う義務を負う。異議が解消されるかまたは適切な担保が提供されない限りは合併の実行はできないとされている。(1239条、1240条)
合併する各社がそれぞれ第一ステップを完了した後、共同で合併会社の設立に関する株主総会を開催し、会社の名称、取締役の選任等を決議する。この総会は、いずれかの会社が第一ステップに記した合併の特別決議をした日から6ヶ月以内に開催しなければならない。(1240/1条)この共同で行う株主総会において、決議しなければならない事項は以下となる。
・合併会社の名称(現在の名称を使うこともできるが、新しい名称とすることもできる)
・合併会社の目的
・合併会社の資本金(合併前の資本金を下回らないこと)
・合併会社の株式の割当て(新株発行の際の株式保有割合に応じた割当に関する1222条は適用除外)
・合併会社の基本定款
・合併会社の付属定款
・合併会社の取締役の選任
・合併会社の監査役の選任
・その他合併に必要な事項
総会終了から7日以内に、旧会社の取締役は、合併会社に対して事業、財産、会計帳簿および関連書類を引き渡すこととされている。(1240/3条)合併会社の取締役は、総会の日から14日以内に合併登記および基本定款及び付属定款の提出を行う。(1241条)合併登記により、吸収された会社については法人格を喪失したことが記録される。(1242条2号)
TNY国際法律事務所
日本国弁護士
藤原 杯花 氏
2017年1月よりタイのTNY国際法律事務所にて執務。TNY国際法律事務所は、日本人弁護士2名が共同代表を務める法律事務所であり、会社設立から規制調査、契約書のリーガルチェック、商標登録申請、相続手続きなどのサービスを提供している。
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