「タイ投資、前年比97%増、デジタル分野が牽引」「二輪車の生産、下方修正を検討」

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    「タイ投資、前年比97%増、デジタル分野が牽引」「二輪車の生産、下方修正を検討」

    公開日 2025.05.14

    タイ投資委員会(BOI)の発表によると、2025年第1四半期(1〜3月)における投資申請額は4,312億バーツに達し、前年同期比97%増となった(4月30日付ネーションおよびBOIの発表)。申請件数も822件と前年同期比20%増となり、タイの投資先としてのポテンシャルの高さを表している。

    特に投資額が高かった産業分野はデジタル分野(947億バーツ)、電子・電気機器(878億バーツ)、自動車・部品(235億バーツ)。次いで、再生可能エネルギー(175億バーツ)や石油化学・化学(139億バーツ)などのエネルギー分野となっている。

    外国直接投資(FDI)も堅調で、申請件数は618件(前年同期比43%増)、投資額は2,676億バーツ(前年同期比62%増)を記録した。国・地域別では、香港(1,351億バーツ)、中国(473億バーツ)、シンガポール(380億バーツ)。日本は251億バーツの申請額で4位に入り、引き続き自動車部品と電子・電気機器を中心にタイ市場への関心が高いことがうかがえる。

    提供:タイ投資委員会(BOI)

    地域別では、東部地域への投資が最も多く、444件で2,465億バーツ。次いで中部地域(1,525億バーツ)、南部地域(172億バーツ)、東北部地域(55億バーツ)と続く。BOIは「スマートかつ持続可能な産業高度化措置」のもと、環境対応やデジタル化を促す支援を強化しており、エネルギー効率の改善、再生可能エネルギーの活用、デジタル技術の導入、オートメーションやロボティクスの採用などが進められている。

    BOIのナリット長官は今後の課題として、米国の税制政策や主要国の技術保護主義の影響を挙げ、「タイがこれらの変化に対応し、高付加価値の雇用創出や技術移転、合弁事業の活性化、国内原材料の活用、競争力の維持などを図る必要がある」と述べている。


    5月6日付のバンコク・ポストによると、タイ観光業界では、ベトナムの急成長に対する懸念が高まっている。ベトナムは今年3月の外国人観光客数がパンデミック前と比べ約50%増加しているが、それに対し、タイは伸び悩んでいる。

    チョンブリー観光連盟のタネート会長は、「このままでは2〜3年以内にベトナムに追い越される可能性がある」と警鐘を鳴らしている。ベトナムは今年、外国人観光客を2,300万人受け入れるという目標を掲げている一方で、タイの財務省は外国人観光客の見込み数を当初の3,850万人から3,650万人に下方修正した。

    同会長は、ベトナムの強みとして「生活コストの低さに加え、家族向けリゾートやテーマパークの新しさ・手頃さ」を挙げており、航空運賃の補助や空港使用料の引き下げなど、ロシアをはじめとする海外旅行代理店への支援策も功を奏しているという。

    また、空港アクセスの良さも競争力の一つとされる。同国の主要都市は空港から観光エリアまでの移動が30〜45分で済むのに対し、タイではホアヒンやカンチャナブリーまで3時間以上かかることもある。タネート会長は「過去の実績に頼るばかりで、新たなインフラ整備が進んでいない現状では、観光地としての地位を保つのは難しい」と危機感を示した。

    こうした状況を受け、タイ旅行業協会(ATTA)は先週、政府と観光庁に対し、中国人観光客の誘致を目的とした総額3億2,000万バーツの補助金支給を提案。同協会は、1人あたり平均消費額5万5,869バーツの中国人観光客が15万人訪れると仮定した上で、同計画が最低でも83億バーツの収益を生み出すと予測している。


    5月2日付のバンコク・ポストによると、タイ工業連盟(FTI)は、今年の二輪車生産目標である210万台の達成が難しいとの見方を示し、目標の下方修正を検討している。第1四半期の生産台数は前年同期比0.71%増の66万4,485台と小幅ながら増加したが、国内経済の低迷や中国からの観光客減少を背景に、見直しに踏み切る可能性があるという。

    FTIのスラポン副会長は、「今年も自動車と関連業界にとっては厳しい一年になりそうだ」と述べ、目標の調整を年央にも行う方針を示した。

    3月の生産は前年同月比6.54%増の23万3,782台と堅調だったものの、輸出台数(完成車(CBU)・完全ノックダウン(CKD)合算)は同比4.5%減の24万2,096台に落ち込んだ。輸出先は米国、英国、ベルギー、日本などが中心となっている。

    一方で、観光需要の停滞も生産動向に影を落としている。タイ旅行業協会(ATTA)によると、3月下旬の地震や中国人俳優の誘拐事件の影響で、中国からのチャーター便は2割以上減少したという。外国人観光客の多くが現地でバイクを利用することから、こうした需要の鈍化は二輪車市場にも波及しかねないとの見方が出ている。

    今年第1四半期の国内販売は1.7%増の45万5,244台と底堅く推移したものの、外需や観光市場の先行きには不透明感が残り、今後の生産計画にどのような変化が生じるか注目されている。

    THAIBIZ編集部

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