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公開日 2025.07.03
タイ投資委員会(BOI)は27日、電気自動車(EV)に対する新たな税制優遇措置を発表した。車両を生産する際の原材料などの現地調達率を40~45%にすることで、法人税率50%の減免措置を2年間付与する。既存の優遇措置に追加する形となる。国内産業を保護しながらエコカーの市場形成を後押しする狙いがある。

税優遇を享受する場合、EVのメーカーと関連部品業者は原材料の調達額全体に占める現地比率を高めることが条件となる。具体的にはバッテリー式電気自動車(BEV)で40%以上、プラグインハイブリッド車(PHV)で45%以上にする必要がある。
申請できるのは、投資委から優遇措置を付与されていて法人税の減免期間を過ぎていない事業、または新規投資事業となる。タイ工業連盟(FTI)から製造品の品質が保証されていることも求められる。
自動車産業のほか、電化製品のメーカーも対象となる。スマート家電やその他の家電製造の分類に該当し、原材料の総価値で国内調達比率が40%以上であることが条件となる。
投資委のナリット長官は「現地調達率を引き上げることを目的とした新たな優遇措置は既存の部品メーカーを支援することになるほか、より広範なサプライチェーン(供給網)への統合を後押しすることにもつながるだろう」と期待感を示した。
投資委は外資企業の投資で、EVを含む幅広い事業を対象に奨励策を設けている。高付加価値や競争力の向上、持続可能性につながることを重視し、法人税の減免や原材料の輸入関税の免除を適用している。
さらにEV奨励策「EV3.0」と「EV3.5」では、補助金の支給や輸入関税の引き下げ措置を講じている。代わりに、輸入・販売台数に応じて国内生産を増やすことをメーカーに義務付けている。関税局が管轄する関連の優遇措置もある。
一方でEV奨励策にはひずみも生じている。輸入販売した台数に対して2027年にかけて1.5~3.0倍の現地生産が求められるが、自動車メーカーからは条件が達成できない場合の罰金免除を求める声が上がっている。
EVメーカーは中国勢が多い。中国の景気減速で余ったEVが安価に海外に出荷される「デフレ輸出」の傾向が強まり、タイ国内では供給過剰と車両価格の値崩れが起こり始めている。政府はEV奨励策の見直しを検討している。

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