カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2022.12.07
農業機械大手サイアム・クボタは東部チョンブリ県に開設した実証農場「クボタ・ファーム」で、自動運転農機や電動トラクターなど最先端の農業技術やソリューションを披露する「クボタ・ファーム・フェスト2022」を11月27日から12月4日まで開催した。
サイアム・クボタの東隆尚社長は11月27日に行われた開幕セレモニーで、「東南アジア諸国連合(ASEAN)地域における近代的な農業体験を提供し、農家の皆様にさまざまな知識をお伝えし、ご自分の農場で実践していただくことを目指している」と同フェスタの狙いを説明。「タイを始め世界における農業を改善するためのソリューションやイノベーションを提供する中心となるために、サイアム・クボタは、このフェスタをきっかけに近代的な農業、スマートファーミングを実現する大切な一歩を皆さんと一緒に踏み出していきたい」と抱負を語った。
2020年に開設されたクボタ・ファームの面積は現在220ライ(1ライ=1600平方メートル)あり、10カ所のエリアでさまざまな実証事業を行い、ソリューションを提案している。3年間で2万5000人以上の農業関係者が来場した。今回のフェスタ会場は、3つのゾーンに分かれ、アグリイノベーション・ショーケースでは、自動運転の田植え機やコンバイン、農業用ドローン、スマート温室、植物工場などを展示。またパートナーの展示スペースであるクボタ・エキスポ・ゾーンでは、来場者がさまざまな農業機械の試運転を行うことができるほか、電動トラクターも披露された。さらにハッピー・ファーム・マーケットでは、クボタが支援する農家やコミュニティー企業が作った農産物・製品の販売が行われた。
12月2日付バンコク・ポスト紙(2面)によると、ロイヤル・イニシアチブ・ディスカバリー研究所は、東北部のカラシン、コンケン、ウドンタニ3県の約2000軒のコメ農家がコメ収穫後の乾季にトウモロコシを栽培する試験プロジェクトを支援している。同研究所のグリサダ会長によると、トウモロコシは牛など家畜飼料の主要原料となるが、ロシア・ウクライナ戦争に伴う世界的な供給不足により価格が上昇している。タイのトウモロコシ生産量は年間400万トンで、需要量の800万トンを大幅に下回っており、また乾季のコメ生産は水不足に見舞われるリスクが高く、コメほど水を必要としないトウモロコシの栽培はメリットは大きいという。この試験プロジェクトには民間企業としては唯一チャロン・ポカパン・プロデュースが農家への金融支援で参加している。筆者が今年11月初旬に北部メーホンソン県を旅行した時に、急峻な山の斜面が一面のトウモロコシ畑になっているのに気付いた。地元関係者によると、近年はトウモロコシ栽培が奨励されており、急斜面でのトウモロコシ栽培では刈り取りが難しいことから、焼き畑が行われ、北部での微小粒子状物質PM2.5発生の1つの原因になっているという。
11月30日付バンコク・ポスト紙(ビジネス1面)によると、米アーサー・D・リトルは調査リポートで、2030年までに国内自動車生産の50%を電気自動車(EV)にするというタイ政府の野心的目標は達成できない可能性があるとの見通しを示した。アーサー・D・リトル東南アジアのプラサド氏は、30年時点のタイでのEVの比率は7%にとどまると指摘。タイでは再生可能エネルギーと充電サービスの価格が高く、充電ステーションの数も不十分なことが原因としている。また、タイはバッテリー生産に不可欠なニッケルが豊富なインドネシアと異なり、ニッケルを産出していないため、海外の投資家を呼び込めないとの見方も示した。
TJRI編集部
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