カテゴリー: ニュース
公開日 2023.02.28
2月23日付バンコクポスト(ビジネス2面)は、米マイクロソフト(MS)が出資する新興企業オープンAIが開発した、人工知能(AI)で自然な言葉で対話ができるチャットボット(自動応答システム)「チャットGPT」について、米調査会社ガートナーのアナリストの解説記事を掲載している。同記事はまず、チャットGPTのサービス開始以来、ソーシャルメディアではその可能性と危険性についてさまざまな議論が起こっていると話を始める。
そして、チャットGPTは質問やコンテンツ、文脈を理解しているようにみえる作品を生み出すが、これは「人間なのか、コンピューターなのか。それとも人間のようなコンピューターなのかといった不思議な効果をもたらす。対話は時にはユーモアにあふれ、深く、洞察力を持っている」と指摘。どのような事例で活用できるかを説明する。
一方で、倫理的な懸念として、①何十億、何兆ものパラメーターが関わる複雑性があり、コンピューター資源が必要で、高価で環境に優しくない ②これらのモデルは、巨額の研究開発(R&D)投資が可能で、高度なAI人材のいる最大手ハイテク企業により構築されるため少数の企業へのパワーの集中が起こる ③コンテンツ制作のコストが下がるため、オリジナル作品に極めて類似した「ディープ・フェイク」の作成が容易になり、悪用される可能性がある ④「ブラックボックス」という本質的特性があるため、受け入れがたい結果をもたらす可能性もある ⑤他人の知的財産に基づくものだった場合に、そのコンテンツの再利用に関する判例が不透明-などが挙げられるとしている。
その上でチャットGPTをいかに倫理的な方法で高度化することが課題だと指摘。分類や要約、顧客向けではない文章の作成などのような自然な言語処理から始め、高価なカスタマイズや訓練を回避するために、仕事に特化し、事前に訓練されたモデルを選び、その作品を人が見直すことが好ましいとアドバイスしている。
英誌エコノミスト2月18日号は金融経済欄で、電気自動車(EV)用電池の材料にもなっている希少金属のコバルトの最新需給動向を紹介している。タイトルは「バッテリー材料として不可欠なコバルトが突然、潤沢になっている」だ。同記事はまず「1年前は1つの金属がエネルギー転換を難しくしたように見えた。それはコバルトで、急増する需要に生産が追い付かないためだけでなく、紛争、腐敗、児童労働という問題を抱えるコンゴ民主共和国が埋蔵量シェアが大きいためだ。コバルト価格は2021年夏から2022年春にかけて2倍超のトン当たり8万2000ドルまで上昇した。しかし、ここにきて歴史的安値に近い3万5000ドルまで暴落している」と説明した。
そしてその理由についてまず需要が減少したことを挙げ、コバルトはスマートフォンやタブレット、ラップトップパソコンのバッテリーに使われ、新型コロナウイルス流行期に需要が急増したが、コロナ収束とともに人々のパソコン利用時間が減り、家電需要も減少する中でコバルトの需要も減ったという。さらに、EVメーカーがコバルト使用の削減に努めたことも影響する一方で、コンゴでの生産量が今年38%増の18万トンとなる見込みに加え、数年前はほぼゼロだったインドネシアからの輸出量が今年1万8000トンになるとの予想もあるなど供給量が増加。さらに、2025年度以後は、EVバッテリーのリサイクルが始まり、新規の原料供給ニーズの減少も予測されているという。
TJRI編集部
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