中国GWMの戦略、タイの最新エネルギー長期計画は年央決定

中国GWMの戦略、タイの最新エネルギー長期計画は年央決定

公開日 2023.03.28

少し前になるが2月18日付バンコク・ポスト紙(ビジネス2面)は中国の長城汽車(GWM)の企業紹介記事を掲載しているので、改めて紹介する。同社は2020年2月に米ゼネラル・モーターズのラヨン県の工場買収発表後、2021年3月の「バンコク国際モーターショー」でのタイ市場デビューの派手なお披露目でタイ自動車業界に大きなインパクトを与え、その後も電気自動車(EV)を中心にタイ市場で着実に存在感を高めている。

GWMのパーカー・シー副社長は同記事とのインタビューで、GWMはタイとインドネシアを東南アジア諸国連合(ASEAN)域内の最優先市場に選び、EV事業拡大の決断をしたと指摘。タイをEVの生産・販売拠点と見なす一方で、バッテリー製造の拠点には、その主要原料となるニッケルが豊富なインドネシアが適しているとの認識を示した。同副社長によると、タイは内燃機関(ICE)車で有名だが、世界がよりEVにシフトする中で、タイの政策は明確にEV産業を育成することを目指しているという。

同記事はまた、タイはASEANではトップ、アジアでは第5位、世界でも11位の自動車生産国だとのタイ工業連盟(FTI)のデータを引用した上で、タイ政府が相次いで導入しているEVへの税制優遇、補助金支給など各種の振興策を紹介。これらの要因から、主に中国などの多くの自動車メーカーがタイのEV事業への投資を行っており、GWMもEV開発と生産設備に多額の投資をしていると表明。GWMは現在、世界で80社以上の子会社を持ち、7万人を雇用、世界60市場での自動車販売台数は6年連続で年間100万台を上回ったと報告した。

さらに、タイ市場では昨年末に開催された「第39回タイ国際モーターエキスポ」では、バッテリーEV(BEV)1212台を含む1995台の購入予約があったとし、来年にはタイの組み立て工場で初のEV生産を開始する予定だという。シー副社長は「インドネシアはニッケル埋蔵量が豊富であり、EV用バッテリーの生産には理想的だ」と述べ、既に同国でのバッテリー投資の実現可能性調査を行っていることを明らかにした。

このほか同副社長は、GWMがEVビジネスを拡大する上では、世界の半導体不足とタイでの充電施設の不足が引き続き課題だと強調。半導体不足は今年も続き、2025年まで不足が解消されない可能性があるとの見通しを示した。さらにタイでのEV充電ステーション数の増加が緩慢だとし、「タイ政府はEVインフラ整備では充電施設を最優先課題にすべきだ」と訴えるとともに、昨年、充電ステーション設置でPTTオイル・アンド・リテール(PTTOR)と提携したことをアピールした。


21日付バンコク・ポスト紙(ビジネス1面)によると、タイのエネルギー政策当局は再生可能エネルギーの普及を促進するためタイのエネルギー政策の根幹である長期電源開発計画(PDP)の最新版を準備している。現行「PDP2018」は、2018~2037年を対象としエネルギー政策の環境変化に合わせ何度か改訂されてきており、最新版(PDP2023)は2023~2037年が対象になるという。今回の改訂は、新型コロナウイルス流行、国際エネルギー価格の高騰、タイ政府の温室効果ガス排出削減の新たな公約を受けて当初予定よりも遅れている。エネルギー省エネルギー政策計画事務局(EPPO)のウィーラパット副事務局長は、PDP2023の策定作業はほぼ終わりに近づいており、今年の半ばまでには決定するとの見通しを示した。


24日付バンコク・ポスト(2面)によると、各種高速鉄道とならぶ鉄道網整備の目玉である複線化事業で、タイ国鉄幹部は、タイ中部ホアヒン駅とプラチュアブキリカン駅を結ぶ84キロの複線の線路敷設工事が完成し、来年には供用開始されるとの予定を明らかにした。同複線は現行の単線と並行して整備され、現在所要時間の計測などが行われているという。

TJRI編集部

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