カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2016.08.31
目次
タイ中央銀行が発表した2016年5月の重要な経済指標によると、国内経済は引き続き回 復しています。観光業が牽引役となっていることに加え、干ばつ被害の収束や政府支出の拡大などに裏打ちされ、国内需要も上向きました。特に、民間消費が耐久財支出で上向いています。
タイ経済は緩やかな回復基調が継続
5月の民間消費は前年同月比5.3%の上昇で、前月の4.2%から伸びが加速しました。
項目別では、サービスと耐久財が牽引しました。自動車の新モデルによる需要喚起や、農家収入の上昇で消費が持ち直す傾向が見られました。5月の農業所得は、農産物価格の上昇により前年同月比6.7%増となりま した。特に、果物はドリアンやマンゴスチンが中国およびアセアンにおいて需要が伸びています。
一方で、民間投資は前年同月比1.5%上昇し、前月の0.8%の2倍近くとなりました。特に、通信とエネルギーへの投資が拡大しています。その他の事業部門の投資は低位で横ばいのままとなっています。製造業の生産能力に過剰感があることが理由です。 また、公共支出でも弾みがつき ました。
2016年5月の工業生産に関しては、前年同月比2.6%の上昇で、前月の同1.5%増に引き続きプラス成長となりました。一部の製品で国内外の需要が上向きました。特に自動車は、前年に生産ライン変更のための生産休止があったことに加え、乗用ピックアップトラック(PPV)の需要が伸び続けていることで高い伸びとなりました。また、エアコンは猛暑の影響で生産が伸びました。
サービス・セクターは、特に、観光業の成長が引続き拡大しました。外国人旅行者数は前年同月比7.6%増247万人と好調拡大を維持しました。ほぼ 全ての国籍の観光客数が伸び、中でもロシア人観光客数は、4ヵ月連続で増加しました。
5月の輸出は、前年同月比3.7%減の175億米ドルとな り、収縮幅が前月の同7.6%減を下回りました。昨年の自動車輸出の水準が低かったことに加え、一部製品の輸出が拡大しました。例えば、電化製品は、特にエアコンのアセアン市場向け輸出が順調に伸びています。中でも不動産部門が成長しているベトナム向け輸出が伸びています。また、欧州連合向けの輸出も猛暑による追い風を得ています。しかし、大半の製品の輸出は主に貿易相手国経済回復の遅れから収縮しています。
商務省が発表した2016年6月の貿易統計によると、タイの輸出額(約181億)は前年 同月比0.1%減となり、前月と比べ減少幅が大きく縮小しました。自動車・部品と金の輸出の上昇が主因でした。しかしながら、金の輸出額を除くと、6月の輸出が同3.5%収縮しました。一方で、6月の自動車・部品の輸出額は、同26.6%増となりました。特に乗用車の輸出伸び率は、オーストラリアや中国など向けの乗用車の需要増で、同73.3%増となり、大幅に拡大しました。
尚、2016年上半期の輸出額は、前年同期比1.6%減の1051億3740万米ドルとな りました。世界経済の不透明感に加え、農産物価格と石油価格が低位で推移していることで回復が遅れています。
上半期の輸出額を品目別に見ると、工業製品の輸出額は、同0.3%増となりました。自動車・部品の輸出額が同3.4%増と押し上げました。特に乗用車が77.4%増と拡大しました。一方で、農産物・加工品は、前年同月比4.0%減少しました。主要農産物のキャッサバが23.9%減、天然ゴムが15.7%減、コメが0.8%減と不振でした。
下半期の輸出の動向について、世界経済の先行き不透明感が台頭する中、タイ輸出は依然として下押し圧力に直面しています。 特に、イギリスのEU離脱の影響による対米ドルでバーツ高傾向や、EU向け輸出の低迷などはタイ輸出にマイナス影響を与えています。従って、カシコンリサーチセンターは、2016年通年のタイ輸出額の伸び率見通しを、従来の予測値である前年比2.0%減を維持します。
商務省が発表した6月のヘッドライン・インフレ率は、5月の前年同月比0.46%増から同0.38%増となりました。食品・飲料を中心に主要品目で上昇傾向が続いております。品目別にみると、食品・飲料部門では、 前年同月比2.80%の上昇で、 2ヵ月連続で3%近く上がりました。米・粉製品以外はプラスで、特に果物・野菜が同12.31%と高騰しました。肉・魚と卵・乳製品も食品・飲料全体の上昇率を上回りました。
一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比0.80%の上昇で、前月から伸びが横ばいとなりました。
イギリスのEU離脱決定を受けた金融市場の動向が重大なリスク要因になります。このような 現状で、2016年中の米利上げの可能性がなくなったため、ドル高バーツ安の可能性は少なくなったと予想されます。7月は1米ドル=35バーツ台で、為替レートは小幅に推移しました。 一方、イギリスがEUの離脱を決めたことで円を買う動きが強まりましたが、その後、日銀が追加金融緩和を検討するとの観測が広まり、円を売る動きが始まりました。今後、円の為替レートのリスクが高まると予想されます。バーツ対円の為替レートは 7月8日には100円=35バーツの終値をつけ、その後7月14日には100円=33バーツ台まで変動しました。
消費者にそれほど広く好まれてはいませんでした。その主な理由は、新しい技術であり、まだ一般に広く認知されてないことです。それに加え、価格が一般的な照明器具の数倍もする高価なものであったため、LED照明は主に商業ビル、デパート、大規模工場、ハイエンドホテル、高所得層の消費者が使うものでした。
しかしながら現在では、タイの照明器具市場におけるメーカーは、国内外の既存の事業者および新規事業者が総じて、一般的な照明器具、とりわけ蛍光灯 や電球などの生産および販売に代え、タイでのLED照明器具の生産および販売に興味を持ち始めています。これは、生産コストと管理費の削減により販売価格を引き下げ、デザインの開発や販売、生産に至るまでの技術開発を行うことで、高い収益性が見込めるためです。このため、LED照明はタイ人消費者にも広く受け入れられるようになりました。
現在、タイのLED照明器具市場に参入している企業は、主に以下の2グループがあります。
タイ企業:自社生産など多くの形態で事業を行なっています。その多くが既存の照明器具の生産から、LED照明に目を向け始めた生産者です。その他、外国、主に中国や台湾のメーカーなどに発注して、生産したLED照明を自社のブランドで販売する会社もあります。タイ企業は、LED照明販売チャネルを多様化するマーケティング活動に取り組んでいます。かつては主に建材店や内装業者、または電機・電子機器販売店で販売していました が、消費者にアクセスするチャンスを広げるため、オンライン販売も手がけるようになっています。
外資企業:多くが日本、韓国、中国、台湾などの電機・電子機器生産の大手企業です。照明器具、 とりわけLED照明器具の増産を開始し、タイの販売代理店経由で販売しています。外資企業は生産技術面に強みがあります。 これまでの電機・電子製品の生産技術を応用してLED照明器具生産に活かすことができ、短期間で大量に生産することが可能です。そのため、生産コストをタイ企業よりも下げることが可能です。 また、電機・電子製品生産の大手企業であることから、製品には信頼性があり、タイ人消費者にも広く知られています。
カシコンリサーチセンターは、LED照明器具市場に多くの国内外の既存および新規のプレイヤーが参入することによって、LED照明器具の平均価格の値下がりが続くと見ています。現在、平均価格は一般的な照明器具の4倍ですが、3年前には約6〜7倍でした。また、一部のLED照明、とりわけ8ワット以下のタイプの価格は、一般的な照明器具並みまで下がっています。
LED照明には節電、長寿命といった特徴があり、LED照明の採用は、長期的に見て経済 的であること、および政府の蛍光灯の代替としてLEDの使用を促進する省エネ・キャンペーンが展開されていることにより、工場、コンドミニアム、中小企業、一部の一般消費者もLEDを選ぶようになっています。
カシコンリサーチセンターは、こうした各種要因から、タイにお けるLED照明の需要が増え、LED照明の持続的成長を後押しすると見ています。2016年のLED照明の市場規模は約49億8000万〜51億5000万バーツ、2015年の市場規模の37億3000万バーツから33.5〜38.1%増加すると予測しています。また、2016年のLED照明の市場規模は、あらゆる照明器具の市場規模全体の約23.0%を占める見通しです。
本資料は情報提供を唯一の目的としており、ビジネスの判断材料とするものではありません。掲載されている分析・予測等は、資料制作時点のものであり、今後予告なしに変更されることがあります。また、予測の妥当性や正確性が保証されるものでもありませんし、商業ないし何らかの行動の為に採用することから発生した損害の責任を取れるものでもありません。本資料の予測・分析の妥当性等は、独自でご判断ください。
THAIBIZ編集部
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