カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2015.03.13
タイ中央銀行が発表した2014年12月の重要な経済指標によると、多くの経済部門は、緩やかに改善しています。輸出や観光業の回復、政府の公共投資が成長を後押しする一方、民間消費は依然として不振でした。原油価格の下落は生活費や生産コストの低減に役立っているものの、家計は依然として支出に慎重になっています。
12月のタイ景気は緩やかな回復傾向
12月の民間消費は11月の前年同月比0.7%増から同0.6%減になりました。高水準の家計債務や農作物の価格低下などにより、消費者の購買力に下押し圧力がかかっていることを背景に、自動車をはじめとする耐久財への消費が伸び悩みました。また、非耐久財に対する消費も減速しました。しかしながら、サービスへの支出は観光業の回復を受けて改善しました。
一方、民間投資は11月の前年同月比0.4%減から同1.2%増となり、マイナス成長からプラス成長に転じました。内需と外需が依然として軟化していることに加え、政府のインフラ投資計画がまだ始動段階にあることから、生産増強や建設への投資は低い水準にとどまりました。
12月の輸出は、前年同月比2.3%増の186億9700万米ドルとなりました。景気が順調
に拡大している米国からの注文は持続しているため、米国向けの輸出が拡大しました。しかしながら、中国と欧州の需要は減速しています。また、石油、天然ゴム、石油化学製品などの輸出価格も原油価格に連動して下落しました。
商務省が発表した2015年1月の貿易統計によると、タイの輸出額(約172億4860万米ドル)は前年同月と比べ、12月の1.9%増から3.5%減になり、プラス成長からマイナス成長に転じました。世界経済の回復の遅れで主要国向け輸出が軒並み低調でした。農産物は市場価格の低下に加え、中国が天然ゴムの在庫を抱えて注文を減らしていること、競合する国のコメが割安となって顧客が流れていることなどが輸出環境は厳しくなってきました。
品目別に見ると、農産物・加工品では、コメ、天然ゴム、キャッサバが軒並み1割以上落込みました。しかしながら、主要工業製品では、自動車・部品は乗用車の急回復により、前年同月比16.1%増となったほか、電子製品・部品も全品目がプラス成長となり、コンピュータ・同部品が同3.7%増、電子回路が同21.2%増となりました。
工業生産に関しては、11月の前年同月比3.5%減から同0.3%減となり、下げ幅が縮小しました。その主な理由は、米国向けの需要増を受けて、集積回路(IC)や家電の生産が拡大したことにあります。しかしながら、国内向けは低調で、ビールや砂糖などが落ち込みました。
12月にタイを訪れた外国人観光客は284万人で、前年同月と比べ11.8%増加しました。
アジア市場、特に中国およびマレーシアからの観光客の、タイの政治情勢に対する信頼感が高まっていることに加え、新年を前にした観光客の増加が寄与しました。これらの観光客の増加が、ほかの市場、特にロシアおよび日本からの観光客の減少を穴埋めしています。ロシア、日本からの観光客の減少は、景気の減速、ロシアのルーブル安、および円安が主因となっています。
商務省が発表した2015年1月のヘッドライン・インフレ率は、2014年12月の前年同月比0.60%増から同0.41%減となり、5年4ヵ月ぶりのマイナスの伸びとなりました。燃油の国内小売価格が下落したこと、電力料金の低下、さらには鶏卵、豚肉、鶏肉、果物、一部の野菜などの生鮮食品の物価が下落したことが理由です。原油安は物流費の低減などを通じて生産コスト減につながるため、物価は今後も数ヵ月にわたり低下し続けると見込まれます。
項目別にみると、食品・飲料は全体で前年同月比2.34%増となり、前月に引き続き減速しました。卵・乳製品がマイナス2.10%、果物・野菜はマイナス0.78%となりました。非食品では運輸・通信のうち石油燃料がマイナス22.57%と下落幅が拡大しました。
一方、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比1.64%増となり前月の同1.69%増をやや下回りました。
バーツ相場の変動については、タイバーツは、2015年1月末には1ドル=32.74バーツの終値をつけ、2014年12月末の終値1ドル=32.91バーツからやや硬調な動きを見せました。
欧州中央銀行が量的金融緩和の実施を決定したことにより、余剰資金がタイを含むアジアに流入するとの観測が強まったことが一因です。
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THAIBIZ編集部
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