カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2017.04.30
メナムフォーラム主宰 佐藤正喜 さとう まさき
月1回程度のペースで、タイおよび周辺国における政治、経済、社会、文化など幅広いテーマで講師を招き、開催される勉強会「メナムフォーラム」。30年以上にわたり、在留邦人が学ぶ場を主宰し続けているのが、バーンラック幼稚園の佐藤正喜事務局長だ。
明治大学農学部時代に障害者のボランティアを始めた佐藤氏が、初めてアジアに足を踏み入れたのは1973年、24歳の時。戦時下にあったベトナムで難民支援に参加した。タイに移住したのは82年9月のこと。NGOで井戸を掘るプロジェクトやスラムでの活動などに従事し、86年4月からはバーンラック幼稚園の運営に参画し、現在に至る。「タイ・カンボジア国境、農民との井戸掘り活動中はカンボジアからは砲弾の音が聞こえる、そんな時代でした。そして現在、まさに戦場から市場への歴史的転換も経験できました」。
佐藤氏は、メディアでは取り上げられない本当のアジアに興味があったと話す。「タイに来たからには、タイのことをもっと知りたいと思うようになりました。そこがメナムフォーラムの源流です」。
メナムとはタイ語で川を意味する言葉。タイの文化、社会を知る会として始まったメナムフォーラムは川のごとく、タイの政治や経済、さらにはタイ周辺国 まで取り扱うテーマを広げていく。「アジア開発銀行(ADB)のGMS(大メコン圏)経済協力プログラムに当時、関わっていた森田徳忠さんは、『GMSにおける経済、政治、社会の安定が日本の発展、安定につながる』というメッセージを発しています。GMSとはタイ、カンボジア、ラオス、ベトナム、ミャンマーの5ヵ国と中国の雲南省、広西チワン族自治区を指しますが、当時はまだ軍事政権だったミャンマーを取り込むという先見的なプロジェクトでした。
その森田さんのメッセージに感銘を受け、それからというもの、盤谷日本人商工会議所(JCC)のGMS視察ツアーなどに参加したり、東京大学社会科学研究所の末廣昭教授 (現・学習院大学)の中国からみたGMSの現地視察の一員としても10年ほど同行しています。GMSが現在のような活況をなしていることは、とても感慨深いものがあります」。
始まった当初は参加者が10名ほどだった時もあった。現在では、テーマによっては100名近く参加する回もあり、在タイ日本大使館やジェトロ、大学、民間企業など、各方面の専門家が講演を行っている。「講演を聞いて終わりではなく、参加者同士の〝交流の場〞にして各自のネットワークを拡げてもらえれば望外の喜びです。メナムフォーラムを通して、タイでの良き市民、良き日本人コミュニティを築く礎になれればと思っています」。
メナムフォーラムを通じて積み立てられた「メナムフォーラム基金」と、末廣教授、佐藤氏、ブッサバー・クナーシリン氏(チュラロンコン大学元准教授)の頭文字を取った「SSB基金」は、2016年2月、チェンマイ大学人文学部日本研究センターに対して寄付を行った。また同年、メナムフォーラム時に募った寄付では、ノンカイ県にある障害者職業訓練センターの自立も支援。
「タイ社会に貢献すると同時に、日本のプレゼンスも高める一助になれば」と、佐藤氏はタイと日本がお互いにWin-Winの関係になることを願って止まない。
メナムフォーラム/バーンラック幼稚園
23 Soi Sangchan Sukhumvit 40, Bangkok 10110
02-382-0069 / 02-392-8807
[email protected]
[email protected]
※上記はメナムフォーラム事務局のあるバーンラック幼稚園の住所です。メナムフォーラムの開催場所とは異なります。
THAIBIZ編集部
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