カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2014.10.27
目次
飯田 光孝 いいだ みつたか
医薬品メーカーの廣貫堂が、日本人が多く居住するスクンビットエリアで薬局事業をスタ
ートする。事業のグローバル化を推し進め、2011年からタイ・韓国・香港・台湾・ベトナム・シンガポール・マレーシアと一挙に拠点を設立したのが飯田取締役社長である。
同社はタイ進出以来、健康食品などの自社製品を販売。国内の日系ドラッグストアやスーパーマーケット、大手デパートに加え、一般消費者への配達も行ってきた。
新事業としてスタートする薬局では、「よりお客様に近い立ち位置で、体にやさしい日本の医薬品を広めたい」という構想から、自社製品をはじめ日本の医薬品を販売するほか、本社のある富山駅前で展開している『薬膳カフェ』の併設も検討しているという。まずは
日本人に馴染みのある商品を販売することで受け入れてもらい、そこからタイ人へも広めていきたい考えだ。
飯田氏とタイの関わりは深い。大学卒業後に就職した自動車メーカー時代に、タイで語学研修と駐在を経験。経営学修士(MBA)と米国公認会計士(CPA)を持ち、これまでタイで約10社の起業と支援をしてきた。現在は1年のうち120日を日本、90日をタイ、90日をシンガポール、その残りを香港・台湾・ベトナム・マレーシアで過ごす。
直営薬局1店舗目となるスクンビット39の店舗
廣貫堂は明治9年、配置家庭薬の製造販売業者として創業し、138年の歴史を持つ。日本国内ではドラッグストアの台頭や改正薬事法の施行による医薬品のネット販売も始まり、富山の伝統産業である、配置薬事業の行く末は厳しい。
「狭まりゆく地域のサイズに合わせて規模や予算を絞り、我慢しながら生き残りを賭けるよりも、海外に市場を広げれば、もっと夢のあるビジネスができます。海外拠点には若手社員を続々と送り出しており、自ら手を挙げる社員はまだ少ないですが、若い社員には海
外で仕事に限らず色々な経験をして、失敗しながら成功例を作り活躍してほしい。直近では台湾へ出向する社員を募っていて、協力先のローカル企業で修行を積ませることも考えています」。
グローバル事業は日本製品と東洋医学に対する馴染みがあるエリアとして、アジア圏からスタートした。東洋医学には、加齢とともに弱っていく体を病から守る〝未病〞という考え方がある。健康を維持するために、天然素材を使用した和漢薬を生活に取り入れることで、体質改善を目指す。この精神を広げていくことが、社名の由来と伝えられる「広く救療の志を貫通せよ」という理念そのものなのだ。
取材当日も、タイへ来る前に沖縄、台湾、香港を周ってきたという飯田氏。「世界一の長寿県としても沖縄は可能性を感じますし、台湾は平均年齢が上がってきています。香港も健康志向が高いので、チャンスがありますね」と、フットワークは軽い。東南アジアの次
は欧米市場を目指していく。
飯田氏は多くのタイ関連書籍やタイ日辞書の執筆と翻訳も手掛ける
株式会社 廣貫堂
富山県富山市梅沢町2-9-1
TEL : +81(0)76-424-2271~7
KOKANDO (THAILAND) CO., LTD.
49/16 Moo 4 Soi Kingkaew 30 Kingkaew road, Rachathava Bangplee, Samutprakarn 10540
TEL : 02-750-3877
THAIBIZ編集部
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