オリジナリティを追求した　正解基準の“おいしい”をタイで生産

カテゴリー： ビジネス・経済

公開日 2014.09.28

ASEAN地域で活躍する日系企業を紹介
ASEAN×BUSINESS×PERSON
PRIMAHAM (THAILAND) CO., LTD.

梅原 匠　うめはら たくみ

オリジナリティを追求した世界基準の“おいしい”をタイで生産

ハム・ソーセージメーカーのプリマハムは1992年、タイのローカルパートナーとサム
ットプラカーン県に生産拠点、TBP（タイベストパッカー）社を設立。2007年からはプラチンブリ県304工業団地内に拠点を構えている。PRIMAHAM (THAILAND) CO., LTD.代表取締役社長の梅原氏は、この新拠点設立時から非常勤としてタイと日本を行き来する期間を経て、４年半前、正式に現職へ就任した。
「新拠点の設立当時、プリマハムとしては中国でも日本向け加工食品を生産していたのですが、同時期に日本で中国産ギョーザに残留農薬が混入する事件が発生したことことから、中国産の食品に対し不安を持つ消費者が増加しました。
さらに中国は国民のライフスタイルの変化から、飼料確保の面では今や輸入国へと化しています。食肉輸入の需要が高まり、食料資源の確保と生産地の集中リスク回避を目的に、現工場の設立に至りました」。
日本では口蹄疫の問題から、豚肉の輸入に関し日本政府から指定を受けた加熱処理施設で生産された調整品のみ認可されている。同社でも日本の農林水産省より家畜家禽類と偶蹄類加工の認可を取得し、これらの壁全てをクリアしてきた。中国拠点では現在、内需開拓に向けた戦略を取っており、上海でローカル企業との合弁会社が設立されたばかりだ。

〝世界の台所〞タイの強みと日本クオリティの技術力

「タイは政府が〝世界の台所〞を目指し食品輸出促進政策に力を入れてきたこともあり、アジア諸国の中でも最も安心できる品質レベルであることも、キー国となる理由のひとつと考えています」。
鶏肉に比べ、豚肉は家畜の餌から管理されたフルインテグレートされたクオリティ・ミートが提供できるローカルサプライヤーが限られており、限られた業社の中でも同社ではCP社とメインで取引をしているという。ロールキャベツに使用するキャベツも、タイ北
部のチェンマイ、チェンライなどの契約農家から、標高1300ｍの高地で作られた低農薬の高原キャベツを仕入れている。これらの農家は長く現金収入を得るため、ケシなどの麻薬栽培を行ってきた山岳民族だ。この麻薬撲滅運動の一環として栽培されるキャベツを20年以上購入し続けている。
生産品への自信は、ヨーロッパのハム・ソーセージのコンテストへの出品実績からも伺える。特にドイツ農業協会『DLG』が主催するコンテストで2012年に出品した５アイテムはすべて金賞を取得。このプライズは２年間有効で、今年2014年の出品でも見事再び金賞を獲得している。

ドイツのコンテスト『GLP』で受賞したゴールドメダルの数々

現在、生産を行うポーク・チキンソーセージ、ロールキャベツ、トンカツ、スモークチキンは日本向けの輸出が全体生産量の約95％を占めるが、工場の稼働率は70〜80％と、まだ余裕がある。
この余力を生かし、タイ国内での販売と、そのほかのアジア諸国、ロシア、EUなどへの輸出も目標に定め、既にシンガポールやフィリピンなど数ヵ国で輸出認証も取得済みだ。国内販売では、タイが収入格差のある国ということと、工場の生産キャパシティが数百ト
ンということもあり、ミドル〜アッパー層に販売ターゲットを絞っている。原料から熟成までこだわった１パック100B前後の高品質なハム・ソーセージはバンコク内の日系焼肉店や和食店からも受注しており、取材時には高級デパート・セントラルチットロムでも対面販売をスタートしたタイミングで「反応は上々」という。
「タイ国内の商売をするなら、日本にいてはできない。市場を知らなければいけませんから」と笑顔で、力強く話す梅原氏。原材料調達から生産、市場を担う地、タイでの挑戦は今後も続く。

 

プリマハム株式会社
東京都品川区東品川４丁目12番２号
品川シーサイドウエストタワー
TEL : +81(0)3-6386-1800
www.primaham.co.jp

PRIMAHAM (THAILAND) CO., LTD.
392 Mu 7, 304 Industrial Park 7, Tha Tum,
Si Maha Phot, Prachin Buri 25140
TEL : 037-481-041-6