タイで働く日本人の本音

カテゴリー： 組織・人事

連載： BizWings - 中小企業経営論

公開日 2025.03.10

株式会社国際協力銀行（以下、「JBIC」）は、タイ向け投資を検討している企業向けに「タイの投資環境」という資料を発行しています。これは、約250ページに渡る大著であり、タイを理解する上で極めて有用な資料です。

さらに興味深いのは、タイ進出企業からのアドバイスとして、タイで働く日本人の声が記載されていることです。この内容がタイビジネスにおける実態、そして、そこで働く日本人の本音を良い具合に示していると思いますので、抜粋して紹介します。

実に本質を突いたコメントです。実際、ASEANの2025年のGDP成長予測値は4.6%ですが、タイの同値は2.8%であり平均を下回ります。

タイは既に高齢化社会に突入しており、人口の伸びも望めない状況にあることから、将来的な経済成長が期待できるかも不透明です。それでもタイに進出すること、そしてタイでビジネスを続けることについての意義を考えるべき、という非常に示唆に富んだアドバイスと言えるでしょう。

これも生々しいアドバイスです。「合弁する前には何でもやると言っていたのに、いざ合弁したら何にもしてくれない」「合弁するにあたって管理業務は任せろと言われたので全てお願いしたら、情報を全く開示してくれない」「利益の配分に対して非常にシビア」など、タイ企業と合弁した日系企業からの苦労話はよく聞きます。

最近、日系企業によるタイ企業のM&Aも活発になってきている印象です。実際に私も、専門家の立場としてM&Aにあたってのタイ企業調査に入ることもあります。

他方、その中で二重帳簿・三重帳簿はさることながら、堂々と「利益の調整」を行っている旨を説明されることがあることに驚きます。さらに言えば、偶発債務も確かに本気で隠されたら見つけるのは難しいでしょう。究極「長年の付き合いで構築した信用を優先すべきでは」という言葉にも納得がいきます。

タイで働く日本人の本音が滲み出る助言を、ぜひ参考にしてみてください。
（注）抜粋コメントは一部編集しています。

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