公開日 2024.03.26
TJRIは2月28日、タイと日本の企業間の協業・新規事業のチャンス創出を目指す「TJRIビジネスミッション」で、タイの商用電気自動車プロバイダーのTHAI EVを訪問した。THAI EVは、2018年にタイで初めて電気バス車両の輸入販売を手掛け、現在はE-トラックやE-ピックアップ、E-バン、E-モーターサイクルなど物流を中心とした商用EV業界を牽引している。今回のミッションでは、商用EVの市場傾向と同社の事業説明会、EVショールームや修理工場などの見学後、ネットワーキングも行われた。
同社のギティゴーン・ピニットウォンウィッタヤーCEOはイベント冒頭で、タイ政府が掲げている2030年までに自動車の30%をEVシフトする目標に触れ、「2023年時点で乗用車のEVの割合は17%達成しているのに対し、トラックは全体の0.1%に過ぎない」とした上で、その要因の一つに「商用車には乗用車のような政府のEV支援策がないためだ」と指摘。しかし、「タイ政府は商用車向けの具体的なEV支援策を検討しており、その支援策が実行されれば、商用車のEVシフトもさらに進むだろう」との見解を述べた。
また、「商用EV市場は成長が見込まれており、2030年までにタイの商用車の年間新車登録台数の30%にあたる10万台がEVに切り替わった場合、当社では少なくとも10%にあたる1万台のシェアを獲得したい」と意欲を示した。さらに「EVの乗用車は95%が自宅で充電を行っているのに対し、商用EVは100%充電ステーションを使用するため、充電ステーションの増設が鍵となるが、物流トラックの場合は、明確なルートと時間帯が決まっているので、戦略的な充電ステーションの設置の投資対効果は高い」と付け加えた。
同社が展開する主要な事業構造は以下の通り。
1)物流用EV(トラック、バン、トレイラー、冷凍冷蔵車など)
2)その他EV車両・部品(モーターサイクル、バス、充電器、BMSなど)
3)充電ステーション(DC急速充電、ソーラールーフ、再利用電池)
4)EV as a service(充電費や保守費用、保険料など含んだ物流用EV貸し出しのサブスクリプションサービス)
5)EV組み立て(EVピックアップ、ミニトラック、E-モーターサイクル)
6)近隣諸国へのEV輸出
また、IoT技術を用いてバッテリー寿命や充電ステーションマップ、カーボンクレジット(温室効果ガスの排出削減量を排出権としてクレジット化して売買する仕組み)管理などEVに特化したソリューションを提供するソフトウエア(アプリケーション)の開発にも力を入れており、今後商用EV市場が拡大することを見越して、包括的な事業展開を目指している。
商用EVを起点とした事業の多角化においては、「エネルギー業界やリース業界、商社、金融、製造業、カーボンクレジット関連などあらゆるセクターでパートナーシップの可能性がある」と述べ、現在すでにタイ国内外の様々な業種の企業や政府機関と連携し、実証実験や合弁事業を行っていることも明かした。また、本ミッションに参加した企業に向けて「脱炭素・低炭素に向けた企業運営の一環として商用EVに興味を持つ日本企業とも積極的に連携をしていきたい」と呼びかけた。
説明会終了後は、最新のEVピックアップやEVトラックが展示されているショールームの他、充電器や修理工場を見学した。
TJRI Mission#8 THAI EV
日時:2024年2月28日(水)13:00~15:00
会場:THAI EV(89, MOO 1, RACHA THEWA, BANG PHLI, SAMUT PRAKAN, 10540, THAILAND)
主催:TJRI(Mediator Co., Ltd. 運営) ※プログラム詳細はこちら
TJRI編集部
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