【第9回】ミャンマー、ベトナム編

【第9回】ミャンマー、ベトナム編

公開日 2017.04.30

タイの周辺、メコン4ヵ国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)現地で流行しているモノやコト(内需チャンスの視点から)、最近増えている、または注目の投資業種や案件、新制度の決定やを、現地在住の専門家よりお届けするコラム。第9回となる今回は、ミャンマーとベトナムからのレポートです。

ミャンマーで実務に関わる方は既知の通り、ミャンマーの条文には詳細まで記載されていません。それどころか、条文に記載されている通りにもならないことがあります。実務が重要な税務環境においては、新しい税制を理解するだけではなく、このような実情についても情報収集されることが重要だと考えますので、ここでいくつかご紹介したいと思います。

例えば、繰越欠損金の制度は条文上では3年使えると記載されているものの、発生した利益と繰越欠損金が相殺できたという事例は聞いたことがありません。
源泉税についても、制度上は全ての物の売買、サービスの販売に適用されるにも関わらず、税務署内の内部ルールでは「30万Kyat以上の取引からを対象とする」としています。

しかし、ミャンマーの会計士も「税金の還付は、絶対に行われない」と口を揃えて言いますので、還付は制度としては機能していないことになります。
赤字決算の際、源泉の還付が行われることはないため、30万Kyat(※)以上の取引であっても源泉税を抜かないで払うようにしているのが現状です。

また、商業税の免税恩典を享受するためには、ルールに書かれているわけではないのですが、会社の事業目的は免税の事業目的と一致している必要があり、また請求書の請求内容については、免税取引と分かるように、税法の文言と齟齬がないように記載しておくことが望まれます。
※30万Kyat=3万円程度


Global Think Consulting
会計事務所(ミャンマー)
Managing Director 瀬戸山洋介
日本国公認会計士。2013年よりミャンマーで業務を開始。タイの会計事務所、Accounting Porter Co., Ltd.パートナーを兼任。ミャンマーで20年の業務経験を持つ天野利彦氏を顧問に迎え、さらにミャンマー事業に注力中。ミャンマーのフリービジネス誌「MYbiz」のミャンマー側での企画運営を行い、タイからのミャンマー視察ツアーを適時開催している。
[email protected]
http://globalthink.jp

 

ホーチミン市は、モータリゼーションが始まると言われている「一人当たりのGDPが5,000ドル」を2016年に突破し、今後も自動車はますます増えていくと考えられています。日々の暮らしの中でも、自動車が増えていることは実感できます。

ベトナム自動車工業会(VAMA)によると、2015年の乗用車(Passenger cars)販売台数は11万7,288台/年と、2014年の7万9,813台/年対比で約1.5倍に増加しました。注目したいのは輸入車数です。UNcomtradeのデータによると、2015年の輸入車は5万3,560台/年で、2014年の3万2,567台/年対比で約1.6倍と、国産車よりも増加しています。

これらの背景には、在ベトナム自動車メーカーの製造コストが高いこと(部品の多くをタイなどからの輸入に頼っている)や車種が少ないことなどが挙げられます。2018年には、基本的にASEAN域内からの完成車輸入関税が撤廃される予定であり、さらに、9人乗り以下の自動車輸入手続きを簡素化するルールが導入されるなど、輸入車業界には追い風となっています。しかしながら、ベトナム政府は自動車製造業を重要な業種と位置付けており、今後ベトナムの自動車産業はどうなるのか、行方から目が離せません。


AGSホーチミン事務所 脇村美緒
大学卒業後、繊維専門商社で中国工場の生産・品質管理を経て2013年に渡越。2014年からAGSへ参画。 特にベトナム法人とのビジネスマッチング、市場調査、視察アテンドや商談会のコーディネーター業務等に従事。現地法人や駐在員事務所など独資形態ではない取引形態でのベトナム進出支援やその検討プロセス支援も行う。また、ジェトロ・ホーチミン事務所におけるプラットフォーム事業コーディネーターを兼務、各種取引支援や情報提供の黒子役でもある。他に、各種地方公共団体への情報提供や執筆も多い。
[email protected]
www.ags-vn.com

THAIBIZ編集部

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