カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2015.03.26
外務省の発表によれば(海外在留邦人数調査統計 平成26年要約版(2013年10月1日現在))、日本国外に居住する日本人の総数は125万8263人。前年より8686人(0.70%)増加しており、この統計を開始した1968年以降過去最多となっている。そのうちの約29%(36万2878人)を占めるのがアセアンエリアだ(下記表)。
アセアン内では、総人数の多いタイ(前年比3636人増、6.5%増)とシンガポール(同3513人増、12.8%増)で増加人数も多くなっているが、増加率ではミャンマーが同42.6%増(266人)、また、カンボジアも同21.2%増(314人)と高く、タイ+1の動きの影響が活発になっている表れかもしれない。
アセアン各国の経済成長率や一人当たりGDPの値には、かなりの差がある。実際に現地で暮らす日本人はどのような生活をしているのだろうか。
現地の衣食住やインフラ、医療、治安事情について、生の声を聞いてみた。
日系企業 土肥 幸之助さん(30歳)
会社員/単身 滞在歴:2年
昼食はオフィス裏のワルン(屋台)でナシゴレン(焼飯)とチャプチャイ(中華風野菜あんかけ炒め)、併せて30,000ルピア。夕食は和食屋でミックスフライ定食10万ルピア。日本食、中華、イタリアンなど各国の料理が揃い、食には困りません。
日本でアパートと呼ばれているようなコスは、家賃に電気、水道、インターネット、掃除洗濯(枚数に制限あり)込で月200~400US$程度です。日本でいうマンションはアパートメントと呼ばれ、 一般的にはセキュリティがしっかりしており、ジムやプール、コンビニ、レストランなどの設備も充実。日本人駐在員向けの物件は1~3DKで1,500~4,000US$程度で、人気のエリアはクニガン、スディルマン、タムリン、スナヤンなど。
【交通手段】
仕事:社用車、タクシー(タクシーは初乗り8,500ルピア)
私用:タクシー、路線バス、バイクタクシー(路線バスは距離に関わらず2,300ルピア)
路線バス(トランスジャカルタ)は ジャカルタのひどい渋滞の緩和を目的に2004年に導入されたシステム。大通りの一車線がバス専用車線となっているため、渋滞時にも便利。
【医療事情】
軽度の場合:薬局(Apotek)か、タケノコ診療所重度の場合:SOSや J-Clinic(Siloam Hospital内)など外国人向け病院
【治安状況】
決して良いとはいえませんが、一般的に想像されているほど悪くはありません。たしかに、観光客の多いエリアではスリやひったくり、置き引きなど軽犯罪が多発していますので注意が必要ですが、インドネシア人は日本人に対して非常に友好的です。
【その他】
国教ではないものの、圧倒的にムスリムが多いので、彼らの文化や慣習に出来る
JBL Mekong Co., Ltd. 藪本雄登さん(26歳)
会社経営/妻・子1人 滞在歴:4年
昼食は日系のラーメン店「麺処 翁さん」でラーメン7US$。夕食は寿司屋「The Sushi Bar」(日系焼肉店)で30 ~ 40US$程度。最近では焼肉、寿司、ラーメンなど日系飲食店のプノンペン進出が増えてきています。
家賃相場については、駐在員では1LDK: 1,000US$~/2LDK:1,500US$~(ボンケンコン1区の外国人向けサービスアパート)程度。
ローカル向け集合住宅では1LDK: 200US$程度からあります。人気のエリアはボンケンコン1区(飲食店多く、外国人が多く住む高級エリア)のほか、現在、開発中が進むロシアンマーケット周辺で、新築割安の物件が多く、家賃相場はボンケンコンの3分の2から半額程度となっています。
【交通手段】
仕事:自家用車(月600US$、運転手付き)
私用:トゥクトゥク(2US$、市内片道)、タクシー(初乗り1US$)
トゥクトゥクは街中で気軽に乗れて小回りもききますが、事故の危険が高く、また、夜間の使用は強盗やひったくりに遭遇するリスクもあります。
【医療事情】
軽度の場合:日本人医師がいるKenクリニックや日本から持ち込んだ常備薬
重度の場合:外国人向けのSOSクリニックやロイヤルプノンペン病院
【治安状況】
もともとスリやひったくりなどの軽犯罪は多いですが、年々増加しているように感じます。また、日本人在住者の増加に伴い、強盗や殺人などの重大事件に日本人が巻き込まれるケースをちらほら耳にします。
【その他】
年間30日以上ともいわれる祝日の多さ。5連休が年4回から5回あり、連休の前後を含めて2週間近く公的機関のオペレーションが停止することもざらです。
【通貨】
通貨単位はリエル。ただしUS $が流通しており1US $がおよそ4,000リエル、100リエル=およそ2.9円
日系企業 O.Mさん(33歳)
会社員/単身 滞在歴:8年
食事は近所のホーカーセンターで食べることが多いです。ホーカーとは屋台のことですが、シンガポールではいわゆる屋台というものはなく、シンガポールスタイル・ヌードルやフィッシュスープなどの、格安グルメである屋台飯が食べられる施設としてホーカーセンターがあります。
家賃相場はワンルームHDBと言われる公共住宅600~800S$。ただし、駐在員はだいたい5,000~6,000S$のコンドミニアムに住んでいます。River valley roadが人気のエリアとなっています。
【交通手段】
仕事:MRT
私用:MRTとバス
朝だと平均3分おきぐらいにMRTが来ます。会社まで片道0.87S$。
【医療事情】
軽度の場合:会社指定のクリニック
重度の場合:Raffles hospital など 日本語対応可能なところもあります。
【治安状況】
自ら進んで危険な事をしない限りは 安全だと思います。
【その他】
特にありません。
【通貨】
通貨単位はシンガポール・ドル。1S$=およそ88.3円
「空へ」ジャパニーズ・ダイニング 北山陽二さん(35 歳)
料理長/単身 滞在歴:1年
朝食は職場近くにある露店でベトナムコーヒー(1万700ドン)。昼食は「空へ」ジャパニーズ・ダイニングのばらちらし寿司セット(17万ドン)。夕食は自宅近くでベトナム風のサイコロステーキセットを6万2,700ドンでした。比較的、食費は安いと感じます。
単身者で平均的なものは1Bed Room、50㎡程度の広さでおよそ900US$(家具付き、サービスアパートメント)。人気のエリアは1区レタントン(日本人街)、1区グゥエンチーミンカイ(大使館などが多く閑静なエリア)、ベンタン区サイゴンパール近辺(都心までタクシーで約10分の高層マンシ街)などです。
【交通手段】
仕事:タクシー(職場往復で90,000ドン)
私用:タクシー(休日1日の移動で18万ドン)
英語は通じませんが、乗車拒否やぼったくりなどのトラブルはありません。
【医療事情】
軽度の場合:薬局で薬の購入、職場での常備薬など
重度の場合:外資系病院・ファミリーメディカルプラクティス
【治安状況】
スリ、強盗、痴漢、詐欺などの話はあまり聞かず、犯罪に関しては比較的安全な国だと思います。ただバイクやタクシーの運転マナーが悪く交通事故が絶えません。基本的に横断歩道でも歩行者よりも車が優先になりますので注意が必要です。
【その他】
タイと似ていますが、「人前で怒らない」はマストです。ニュースにもなりましたが腐敗したイカを漂白し販売していたなど、食材の安全面は心配があります、スーパーマーケットなどの販売店が少なく食材の調達に苦労します。
【通貨】
通貨単位はドン。1,000ドン=およそ5.5円。一部でUS$も流通している。
日系企業 Aさん(47歳)
会社員/単身 滞在歴:1年
朝食は事前に購入したパン(1US$)を自宅にて。昼食は日本食が食べられる一番館で和定食(7US$)で、夕食も一番館で日本食(15 ~ 20US$)を。ミャンマーでは日本食が食べられるようになってきましたが、価格は安くはありません。
家族帯同や組織のポジションが高い方は、会社の規定範囲で3LDK、4,500US$以上のようなきちんとした環境の場所に住んでいることが多いと思います。人気があるのは、Golden Hill、Marina Residence、Sakura Towerなどです。
【交通手段】
仕事:社用車(運転手付き)
私用:タクシー(交渉制)
英語が通じない上、行き先の場所も知らないドライバーが多い。夜間はトラブル回避のためにも、ドライバー以外、助手席にもう1人同乗している車は避けたいところです。
【医療事情】
軽度の場合:様子を見ながら休息をとるなどの対応で回復を待つ。
重度の場合:早いうちに日本、シンガポール、タイなど衛生、設備、技術の整った
国でのオペレーションをお勧めします。
【治安状況】
治安は良い方ですが、深夜の一人歩きやタクシー乗車などは控えた方がいいと思います。また、日中は大人しい犬たちも夜間は人に噛み付いてくることもあり、野犬対策が必要です。
【その他】
上記記載の狂犬病対策のほか、衛生面は厳しい部分がある国なので、免疫力を落とさないよう食事には気を遣い、和食中心の食事を取っています。
【通貨】
通貨単位はチャットだが、US$も流通している。1チャット=およそ0.1円。
日野澤 理奈さん(29歳)
外資系ホテル フロントオフィスマネージャー/単身 滞在歴:1 年3ヵ月
朝はフルーツヨーグルト。フルーツは市場で安く新鮮なものが売られています。地元で作られるヨーグルトにラオス特産のはちみつをかけて、およそ8,000キープ。お昼はラオスの米粉麺料理カオピヤックで15,000キープ。夜は居酒屋で友人と日本食、1人約8万キープ。
首都中心地、1LDKのアパートが ハウスキーパー付きで320US$。人気のエリアはメコン川沿い、タイ領事館周辺 などです。ただ、中心地を離れると夜間にバイクによるひったくりなどもあり、中心地以外に住もうとは思いません。また飲食店での食事はすべて待たされることが当たり前。ですので、常に時間に余裕を持って行動でき、市場など食材が手に入る場所の近くがお勧めです。
【交通手段】
仕事:自転車のみ
私用:トゥクトゥク(市内、一人2万キープ程度)
ビエンチャンは本当に狭いので自転車さえあればほぼ不便はありません。そのほか、少し遠出をする場合は割高ですが、トゥクトゥクしか交通機関がありません。
【医療事情】
軽度の場合:常備薬
重度の場合:タイへ行くことになる
【治安状況】
基本的に治安はとても良いです。ただ中心地でも夜11時以降になるとほぼ全ての店が閉まり、人通りも少なく暗いです。特に物騒なことは起こらないが、都会生まれとしては暗さ、静けさが怖く感じます。野良犬が多いのも怖いです。
【その他】
ラオス人はとにかく温厚な人たちなので、怒ったりするとすごくビックリされます。また、各種祭日、結婚式、誕生会など、とにかくイベントごとが多いです。
【通貨】
通貨単位はキープ。100キープ=およそ1.4円。一部でタイバーツ、US$も流通。
THAIBIZ編集部
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