ArayZ No.113 2021年5月発行迫り来るEVシフト
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カテゴリー: 会計・法務
連載: New*GVA / TNY法律事務所 – タイビジネス法務
公開日 2021.04.30
4月下旬時点でも、日・タイの渡航には隔離措置が付きまとっており、かつてのような自由な渡航は制限されている。これまでは定期的にタイに渡航して署名していた書類も、やむを得ず日本国内で署名しなければならないということも多いだろう。
ところでタイの実務上、一定の書類では「タイ国外で作成する場合は領事認証が必要」と言われることがある。この対応にしばしば混乱が見られるので、
今回は「タイで提出すべき書類に領事認証を求められた場合」を想定して解説する。
まず「領事認証」とは、外国の大使館・領事館の領事による、文書に対する認証制度である。大雑把に言えば、タイ国外で作成される文章に対して、タイ国内でも通用するための効力を与える制度だと理解すれば良い。
しかし、この領事認証は領事館や大使館に書類を持ち込めば、すぐに手続きしてくれるというものではない。領事認証を得るためには「公証→公印確認→領事認証」という3つの煩雑なプロセスを経なければならない。
公証とは、契約書や委任状などの「私文書」に記載されている作成者の署名などが真正なものであることを、公証人が証明する制度である。
日本では、この手続きは各都道府県に存在する公証役場によって担われている。領事認証が求められた場合、まずこの手続きからスタートすることになる。
公証が完了することによって、文書に対して公証人の押印が与えられるが、これだけでは次のステップに進むことができない。
公証人の押印に加えて、公証役場を管轄している法務局長の証明も併せて必要になる(これを「公証人押印証明」という)。公証人押印証明とは公証人の押印が真正なものであることを、法務局長が証明するものである。
公証人押印証明が終わると、公印確認というプロセスに進む。
公印確認とは、領事認証を取得するために事前に必要となる外務省の証明制度で、公証人押印証明が取得されている場合、その法務局長の押印が真正なものであることを、外務省が証明するものである。
公印確認は、領事認証を得るための事前プロセスなので、外務省で公印確認を受けた後、日本にある外国の大使館等で領事認証を取得することが予定されている。
なお、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県及び大阪府の公証役場では、上に述べた①公証、 ②公証人押印証明、③公印確認が一括で取得できるワンストップサービスという制度も存在する。
最後にようやくタイ大使館等の領事認証のプロセスである。
在京タイ大使館などは、日本の外務省が公印確認をしていることが確認されれば、ほぼ内容面のチェックなく領事認証を受け付けているようである。
各国によってロジックは異なる可能性があるが、一般論として領事認証の対象は「日本の外務省の証明が真正であることを証明する」というだけなので、公印確認が偽造されたものではないと確認できれば足りるためだと思われる。
一口に「領事認証」といっても、上記の通り煩雑なプロセスを経て付与されるものなのだが、残念ながらタイの当局はそういう事情を考慮はしてくれない。領事認証が要求される書類については、できるだけ余裕をもってスケジュールを設定していただきたい。
GVA Law Office (Thailand) Co., Ltd.
代表弁護士藤江 大輔
2009年京都大学法学部卒業。11年に京都大学法科大学院を修了後、同年司法試験に合格。司法研修後、GVA法律事務所に入所し、15年には教育系スタートアップ企業の執行役員に就任。16年にGVA法律事務所のパートナーに就任し、現在は同所タイオフィスの代表を務める。
URL : https://gvalaw.jp/global/3361
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THAIBIZ編集部
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