公開日 2023.01.10
NTTドコモの長距離通信子会社NTTコミュニケーションズは昨年12月15日、「プライベート5Gネットワークの概要と活用事例」をテーマとしたウェビナーを開催した。ウェビナーでは同社のグローバルビジネス部に所属する山田篤氏が「プライベート5G」(所有者が無線帯域の使用に優先アクセスやライセンス供与を設定できるモバイルネットワーク)の概要を説明するとともに、製造現場における5G活用事例、チョンブリ県にある実証実験の会場での「プライベート5Gネットワーク」などを紹介した。
バリューチェーン全体を通して、業務プロセスの効率化や品質・生産性の向上を図るためにデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中で、グローバル展開をする企業にとって海外拠点のDX化が急務となっている。このためNTTドコモグループは、海外に拠点を持つ日本企業に5Gソリューションを提供するために、パートナー企業と2021年6月に「海外5Gソリューション・コンソーシアム(5GEC)」を設立。5GECの初の事業としてタイ・チョンブリ県のブラパ大学内のEECオートメーションパークで、プライベート5Gネットワークの実証実験を行った。
山田篤氏は5Gの特徴として、「高速・大容量」「低遅延」「同時多接続」の3つがあると指摘。「農業、医療、製造業など、さまざまな産業で5Gが活用されていくことが想定されている。例えば、現在の移動通信システムより100倍速いことや、リアルタイムに遠隔地のロボットの操作・制御、スマートフォン、パソコンをはじめ、身の回りのあらゆる機能がネットに接続されるなど、5G技術のさまざまなユースケースがあり、人々の生活を進化させていくと想定されている」と述べた。
その上で山田氏は「このような5Gの特徴を活かしつつ、『キャリア5G』または『パブリック5G』サービスでは解決できないユースケースに応じるため、企業や自治体が自ら5G技術を利用できる『ローカル5G』あるいは『プライベート5G』制度が整備された」と説明した。そして、プライベート5Gは建設現場、工場、あるいは農業など、お客さまのニーズや用途に応じ、柔軟で最適なプライベートネットワーク構築が可能となっていると指摘。さらに、5Gと無線通信「Wi-Fi(ワイファイ)」との違いについて、「カバーできるエリアでは5GのほうがWi-Fiより断然広い。またWi-Fiは電波干渉が発生しやすく、5Gでは特定のSIMを挿入した機器に限定しているためセキュリティが強固であることなどが5GとWi-Fiの違いだ」との認識を示した。
次に、山田氏は「NTTドコモは日本でさまざまなスマートファクトリーの取り組みを実現している。例えば、ファナックとはプライベート5Gを活用した産業用ロボット、日立製作所とは発電設備などを作るインフラ設備工場のプライベート5G環境構築等の実証実験を行っている。さらに、ノキアやオムロンとの間では製造現場における5Gの活用事例もある。例えば、ワイヤレスAGV(自動搬送ロボ)を活用したレイアウトフリー生産ラインでは、製品サイクルを短期化、生産ラインのレイアウト変更をスピーディーに自動搬送ロボットと組み合わせた。AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)によるリアルタイムコーチングでは、製造設備データや作業動線の映像データを収集し、AIで解析後、熟練者との違いを作業者にリアルタイムでフィードバックできる。生産性の向上を目指し、人手不足、熟練工不足など製造業が直面する課題解決に向けた実証を行っている」と報告した。
そして山田氏はこのような国内の取り組みをグローバル市場へ拡大していくため、海外に拠点を持つ日系企業のDXをサポートするためにドコモグループが設立した海外法人5Gソリューション・コンソーシアム、通称5GEC(ファイブジェック)を紹介。5GECの初の事業として、チョンブリ県のブラパ大学内に設けられたEECオートメーション・パークでプライベート5Gおよびデジタルソリューション体験ワークショップを実施することを明らかにした。同ワークショップは今年1月17〜19日に開催する予定で、日本の設備を利用したタイ初のプライベート5Gになるという。ワークショップの内容についてはプライベート5Gの紹介のほか、プライベート5Gを活用したファクトリーオートメーション商材の実演、ドコモビジネスが提供する製造業向けソリューションの紹介・実演などを行う予定だと説明した。
TJRI編集部
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