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カテゴリー: カーボンニュートラル, 自動車・製造業
公開日 2026.01.13 Sponsored
タイでは近年、電気料金の高止まりが産業界にとって継続的な課題となっている。とりわけ電力使用量の大きい製造業では、コスト面での影響が無視できない。しかし今問われているのは、単に「いかに電気代を下げるか」だけではない。脱炭素を巡る潮流や制度整備の進展により、エネルギーコストへの向き合い方そのものが、企業の立ち位置を左右し得る局面に入っている。
本稿では、電気設備・エネルギーソリューション企業であるENETECH(THAILAND)Co., Ltd.の代表取締役社長である河口雅志氏と、東部経済回廊事務局(EECO)バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済推進部のアンストーン・ワスサン部長、GHG排出量の算定・可視化を手がけるZeroboard(Thailand)Co., Ltd.の鈴木慎太郎社長へのインタビューから、その背景を整理する。

目次
タイの日系製造業は今、電気料金の高止まりへの対応が経営上の重要な論点になっている。とりわけ電力使用量の大きい工場では、電気コストが収益に与える影響を無視できない。
河口氏は、その背景として、タイ特有の気候条件による空調負荷の大きさを挙げる。「日本の製造業では、エネルギー全体に占める空調比率は約10%だが、タイでは約30%と3倍に達する。年間を通じて高温環境が続くため、空調を止めにくい構造がある」と同氏は指摘する。
このような環境下では、電気料金の変動がそのままコストに跳ね返りやすい。電気コストへの対応は、一時的な対策ではなく、継続的に向き合うべき経営課題として位置づけられている。
こうした現場要因に加え、制度面でも電気料金が下がりにくい構造がある。アンストーン部長によれば、タイでは燃料構成比に応じて発電コストを平均化し電気料金に反映する仕組みを採用しており、発電の主力である天然ガスなど高コスト燃料の影響を受けやすい。コロナ禍での需要予測との乖離も重なり、電気料金は高止まりしやすい状況が続いている。
河口氏によれば、タイの電気料金は過去5年間で約30%上昇しており、脱炭素対応以前に、足元の利益確保という観点からも電気コスト削減は避けて通れない課題になっている。こうした制度・構造を踏まえると、企業にとって現実的な対応は、電力の使い方や運用効率を見直すことになる。

電力使用量を減らすことは、単なるコスト対策にとどまらない。特にタイでは火力発電への依存度が高く、電気使用量の削減が二酸化炭素(CO2)排出量の削減に直結しやすい。また、一般的にCO2排出量は「活動量(電気使用量や燃料使用量)×排出原単位(活動量あたりのCO2排出量)」で算出される※1。製造業において、最も大きな活動量の一つが電力使用量であるため、まず電力使用量を下げることはコストとCO2排出量の双方を同時に下げる最短ルートになる。
河口氏は、電気コスト削減の取り組みについて、「現場で取り組みやすいコスト削減方法であり、結果として脱炭素対応にもつながる」と話す。収益性の改善とCO2排出量の低減を同時に実現するこうした考え方は、日本でも多くの企業が実践しているという。
脱炭素を巡る企業の評価軸も、タイでは変わりつつある。アンストーン部長によれば、EECOでは現在、投資恩典の付与にあたり「取り組んでいるかどうか」といった一律の条件ではなく、再生可能エネルギーの導入状況や省エネの具体的な内容といった実行レベルを個別に審査しているという。同じ製造業であっても、脱炭素への対応状況によって評価や恩典の水準が異なる。
また、脱炭素への取り組みは、金融機関との連携によるグリーンファイナンスやカーボンクレジット制度とも連動。企業がどの程度まで対応しているかは、資金調達条件や事業上の選択肢にも影響を与え始めている。
こうした変化の背景について、鈴木社長は「脱炭素は世界的に、もはや取り組まないこと自体がリスクになりつつある」と指摘する。タイでもネットゼロ目標の15年前倒し、温室効果ガス(GHG)排出量報告を義務化とする気候変動法の整備が進んでおり、企業に求められる対応の時間軸は確実に短くなっている。
今後、気候変動法の施行やカーボンプライシングを巡る議論が進めば、脱炭素対応は経営判断の前提条件として扱われる場面が増えていくとみられる。

このように脱炭素の動きが加速するタイでは、電気コスト削減が単なる経費対策ではなく、企業の取り組み姿勢や実行力を示す要素になってきている。一方で、「何から手を付けるべきか」「自社の対応は十分なのか」と判断に迷う企業も少なくない。
こうした課題を踏まえ、ENETECH(THAILAND)Co., Ltd.は2月11日(水)、脱炭素とエネルギーコストをテーマにしたセミナーを開催する。本記事でインタビューに応じた3名が登壇し、
・国際脱炭素潮流とタイ市場における企業の脱炭素経営の進め方
・タイ政府およびEECOの最新の政策動向や投資環境
・低コストかつ即効性のある電気・エネルギーコスト削減の実務
といった視点から、今どのように電気コスト削減に取り組むべきかを整理・解説する。
電気コスト削減の必要性は感じているが進め方に迷っている企業にとっても、すでに取り組みを進めつつ次の段階を検討している企業にとっても、自社の現在地を整理し、次の一手を考える機会になりそうだ。
名称:タイにおける最新の省エネ×CO₂削減 実践セミナー 2026
開催日時:2026年2月11日(水)16:00~19:00 ※タイ時間
第1部 16:00〜18:00
① 東部経済回廊事務局(EECO)バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済推進部 アンストーン・ワスサン 部長
② Zeroboard(Thailand)Co., Ltd. 鈴木 慎太郎 社長
③ ENETECH(THAILAND)Co., Ltd. 代表取締役社長 河口雅志 氏
第2部 18:00〜19:00
登壇者・参加者による名刺交換会および懇親会(軽食あり)
開催形式:オフライン
開催場所:タイ国日本人会 会議室
定員:50名(先着順/要事前申込)
参加費:無料
対象:在タイ日系製造業、物流業など
言語:日本語
Interviewee Profile
◎河口 雅志氏
ENETECH(THAILAND)Co., Ltd.
代表取締役社長
2005年より再エネ事業に従事、2015年よりエネテクの取締役。2025年にENETECH(THAILAND)Co., Ltd.設立、タイを拠点に省エネルギー事業のグローバル展開と現地戦略の策定を担当。
◎アンストーン・ワスサン氏
東部経済回廊事務局(EECO)
バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済推進部部長
2019年にEECOへ参画後、バイオ産業分野の調査・政策立案に携わる。現在はBCG投資戦略の策定、投資家への支援・誘致を担当。
◎鈴木 慎太郎氏
Zeroboard(Thailand)Co., Ltd.
社長
GHG排出量算定・可視化ソリューションの開発・提供、脱炭素経営に関するコンサルティングを行うスタートアップ、ゼロボードの2023年3月タイ法人立ち上げから参加、現職。
ENETECH(THAILAND)Co., Ltd.
2007年創業の電気設備・エネルギーソリューション企業「エネテク」のタイ法人。2025年設立。自家消費型太陽光発電をはじめ、電気設備工事、省エネ対策、再生可能エネルギー導入などのサービスを提供する。日本国内10拠点での施工・保守実績を有し、O&M(運用管理・保守点検)では高い技術とノウハウを誇る。
HP : https://www.enetech.co.jp/
お問い合わせ:h-okuya@enetech.co.jp(担当:奥谷)※英語・タイ語も対応可

THAIBIZ編集部
和島美緒

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