ArayZ No.119 2021年11月発行コロナと観光業 in タイランド
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カテゴリー: 特集
公開日 2021.11.09
東南アジア一号店ということでタイのバンコクに進出させていただきました。バンコクは東南アジア経済圏の中心であり、多くの日系企業が進出しています。観光においても、アジアで最も多くの外国人が訪れる都市の一つでもあり、ビジネス及び観光の両面で非常にホテル需要が高い地域です。
また弊社はタイの住宅大手SCアセット社と共同で、バンコクのチャトチャックにおいてパホンヨーティン通りに面した分譲マンションの開発を行っており、国際物流事業の現地法人も置かれています。西鉄グループが海外で、住宅、国際物流、ホテルの3つの事業を展開しているのはタイの1ヵ国だけです。
私もコロナ前はよく海外出張をしていましたが、タイの空港に降り立つと多国籍の方が来られていて、世界的な観光地であると感じていました。
タイの一号店に関しては主に日本人の出張者、観光客をメインターゲットにしており、バンコクの中でも日本人に馴染み深いスクンビット地区、その中でも非常に交通の利便性も高いアソークに出店を決めました。
昨年5月30日に開業させていただきましたが、開業日を決めた後に新型コロナウイルスのパンデミックが起こりました。予定通り開業させるかどうかは当然議論になりましたし、判断には正直迷いました。また、コロナ禍がこれほど長期間に及ぶとは想像していませんでした。
ただ、もしタイの非常事態宣言などが解除された際には、タイを訪れる日本人の出張者、観光客の皆様が安心して過ごせる場所を提供できる体制を整えておきたいという思いがあり、非常事態宣言下でのオープンを決断しました。
タイには多数の日系企業が進出していることから、コロナ禍であってもビジネスの渡航はゼロにはなりません。日系のホテルとして日本から渡航される皆様に安心して入国いただき、きちんと行動していただくためのサポートをしていきたいという思いからASQの認定取得を目指しました。
先日発表した2号店に関しては2023年の開業を計画しています。どこまで観光需要が戻っているのかという問題はありますが、その頃にはコロナ禍が収まり、比較的回復しているであろうと想定しています。
シーロムという場所を選んだ理由としては、日系企業も含めてオフィスが集積しているバンコク最大のオフィス街の中心部にあり、BTS 「サラデーン駅」から徒歩1分、MRT「シーロム駅」から徒歩5分と交通アクセスにも優れているためです。また、繁華街のそばに位置しているため、ビジネスと観光双方の需要を見込めると判断をしました。
ただ、今後はオンライン会議の浸透などにより、海外出張の回数はおそらく減ってくると考えています。一方で挨拶回りや重要な交渉事など現地に赴かないとできない業務もある中で、数少ない出張の機会において1回あたりの滞在日数は以前より増えるのではないかと見込んでいます。
そうした時に、客室の中で洗濯ができたり、簡単な料理が作れたりと、1週間から10日ほどの滞在にも対応できる滞在型客室を18室設けさせていただきました。
先述のように、出張回数は減るけれども、一回あたりの滞在日数が伸びるのではないかと考えられる中で、今後はホテルの中で働けるような環境整備が求められてくると思います。
感染予防のための非接触に関しては、お客様同士の接触はもちろんのこと、スタッフとの接触の機会を減らす必要があります。
対策としては、例えば現在対面で行っているチェックインおよびチェックアウトに関して自動チェックイン機への代替、エレベーターなどを非接触式にするなどのハードの導入です。 12月に日本国内の既存店1店舗で自動チェックイン機から導入し、横展開できるかどうかを検証します。23年に福岡で開業する「西鉄ホテルクルーム博多祇園(仮称)」には自動チェックイン機をはじめ、非接触式エレベーターを導入します。
ただ、ホテルの無人化を目指しているわけではありません。自動化を進めるほどお客様との接触およびコミュニケーションの機会は減っていきますが、例えば自動チェックイン機を置いたフロントにスタッフは立たなくても、ホールでお客様にお困りごとはないか尋ねるなど、コミュニケーションをしっかり取っていくことが私共の提供する付加価値となり、日本ならではのおもてなしだと考えています。
新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、どうしても人と人との接触機会が減っています。その中で、ホテル滞在も含めて人の温かみに感謝、感動する機会の一つ一つが、より一層大切になってくるのではないでしょうか。
西鉄ホテルグループとしてそういったホスピタリティ、お客様へのサービスはコロナ後でも忘れてはならず、こだわりを持って取り組んでいくことで、将来にわたって選ばれるホテルグループになっていくことができると思っています。
ホテル業界は今、世界的に大変厳しい状況に置かれているのは事実ですが、コロナ終息後のリベンジ消費も含めて、必ず需要は戻ってくるものと考えています。開発に関しては引き続き条件に合うものがあれば、積極的に進出をしていきたいと思います。
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THAIBIZ編集部
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