ArayZ No.125 2022年5月発行コロナ後に復活を期すタイのホテル産業
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カテゴリー: 特集
公開日 2022.05.10
目次
タイの観光産業の本格的な振興は1960年に観光庁設立に始まったと言える。タイ初の独立行政機関として設立されたが、当時の外国人観光客数はまだ10万人にも満たなかった。60年は観光庁設立の他にも、産業投資奨励法が制定され、61年からは現在に続く国家社会開発計画が導入された。その第4次国家経済社会開発計画(77年~81年)において観光に対する振興対策が盛り込まれ、観光客数、観光収入の目標設定が行われた。
80年には観光庁による初めての観光キャンペーン「Visit Thailand Year 1980」が実施され、82年には米の輸出高を抜いて観光業が第一位の外貨獲得源になった。バンコク開催の第13回アジア競技大会に合わせて98年からは、今なおプロモーションに使われている「Amazing Thailand」キャンペーンが行われ、2001年にタイを訪れた外国人観光客は1000万人を突破した。06年には年間4500万人の旅客を取り扱うことができるスワンナプーム国際空港が開港する。
その間、03年のSARS、05年の南部大津波、09年のリーマンショックや、11年の大洪水などを経ながらも、12年には2000万人、16年には3000万人を突破。新型コロナウイルス拡大前の19年には4000万人に迫った。
観光客の急増に伴い、新たなホテル建築も相次ぐようになる。2000年代はじめ2000軒余りだったホテル数(ゲストハウスを含む)は、20年には約2万5000軒まで急拡大した。ホテルチェーンの世界大手アコーホテルズが現在、タイで展開するホテルの80%以上、マリオットに至っても90%近くが00年以降にオープンしている。
その他にも、ハイアットやヒルトンなど著名ブランドのホテルが次々と開業していき、バンコクではまさに建設ラッシュの様相を示した。その間、Airbnbなどの民泊サービスやAgodaなどのOTA(オンライン旅行会社)も普及していった。
タイにおけるホテル業のGDPは10年から19年までの間に約4倍に拡大。観光産業はタイのGDPの20%を占めるほどタイ経済を支える大きな柱になった。
前項で触れたタイを訪れる外国人観光客数の増加を分解すると、ASEAN、東アジアからの観光客が大きく伸びていることが分かる。
とりわけ中国人観光客の増え方が顕著で2019年には1000万人を超えていた。中国は12年に世界一の海外旅行客送出し国になっており、タイ政府も中国人観光客に対してタイ入国時に取得可能なアライバルビザの発行を認めるなどで観光を後押しした。
そうした中、新型コロナウイルスが襲い掛かった。20年3月26日に今なお続く非常事態宣言が発令され、外国人の入国を規制。4月に入ると国際旅客機の着陸も禁止され、ホテルの閉鎖、売却の発表も相次いだ。タイ観光評議会は21年9月、コロナ禍により旅行業界で300万人が失業したとの試算を出した。
21年7月からはプーケットなどでワクチン接種済みなどを条件に対象地域を自由に移動できるサンドボックスプログラムがスタート。同年11月からはワクチン接種済みなら実質隔離なしで入国できるテスト&ゴーが始まり、今年4月からはワクチン接種済みの場合、出国前の検査を廃止するなど観光業の再興に向けた取り組みを進めている。
タイ政府は観光産業の復活を目指し、ついに5月1日からテスト&ゴー制度を廃止。入国時に行われてきたPCR検査が自主ATK検査に置き換えられた。タイランドパスの取得は引き続き必要だが、ワクチン接種済みなら入国前後のPCR検査は不要となり、外国人観光客に対するハードルは一段と下がることになる。
4月にタイ観光庁のソムラディ副総裁は今年の目標を外国人観光客数700万人、観光収入1兆700億バーツと話している。今回の入国規制緩和が観光産業にとって大きな追い風となるのは間違いないだろう。
タイはこれから観光客の数ではなく質、一人当たりの観光消費額に焦点を当てる姿勢を見せている。レスポンシブルツーリズム(責任ある観光)やサステナブルツーリズム(持続可能な観光)といった、地域社会、環境への配慮を図った観光振興を目指す。
これまでのマスツーリズムは経済的な恩恵をもたらす一方で、オーバーツーリズムや環境破壊なども引き起こした。折しも、プラユット政権はBCG(バイオ、循環型、グリーン)経済)という持続可能な成長モデルを掲げている。世界的にSDGsやカーボンニュートラルといった要素の重要性が増す中、タイは観光面でも持続性を重視した発展を図る。
タイには高級リゾートから格安ホテルまで幅広いホテルが揃っているが、一見まったく異なるホテルに見えて母体は同じということも少なくない。ここでは外資系とタイ国内に分け、各上位グループがどのような価格帯でブランド展開を図っているのか紹介する。
タイにおいてホテル業は、外国人に対して競争力が不十分な業種であるとして外国企業の参入が禁止されている業種だが、マネジメント(ホテル運営)は許可されており、国際的なホテルブランドは他国と同様にその存在感を放っている。上記の一覧表で紹介しているホテルグループも、誰もが一度は聞いたことがあるものだろう。それに対して、グループ名の下に連なるブランドを見て、その繋がりに驚いた人もいるのではないだろうか。
例えば、世界110ヵ国に5200以上のホテルと1万以上の飲食施設を擁する、タイで最大の外資系ホテル経営グループ「アコーホテルズ(今から30年以上前にタイ進出)」はバンヤンツリーやソフィテルを上位陣に据えながら、カオサン地区にも進出する低価格帯のイビスも展開している。
また世界トップクラスの規模と業績を誇る「IHG(InterContinental Hotels Group)」は、2020年に東南アジア初進出となったハイエンドブランドのキンプトンを筆頭に支持を集める一方で、ビジネス利用者を考慮し、低コストを意識したホリデイ・インも運営。この他のグループも同様に、価格帯の広さと異なるターゲット層に向けた多様なブランド展開が目立つ。
外資系グループと比べると知名度の差が大きい印象を受けるかもしれないが、その大元はタイ大手財閥の直属運営や、その傘下にある不動産企業が管理するなどその影響力・資金力は計り知れない。業界内の変遷も含め、各グループを確認したい。
上記一覧表にあるのは、タイ国内のホテル市場でトップクラスの業績を持つ10社である。グランドハイアットやJWマリオット、ノボテルなどを運営する「ザ・エラワングループ」は、世界各国の一流ホテルのタイ支店を請け負う他、最低価格550Bで提供する自社の格安ブランド・ホップインを持つなどその顧客層はタイで最も幅広いと言えるだろう。
次いで存在感を示しているのが、タイ小売の大手財閥セントラルグループ傘下にある「セントラル・プラザホテル」だ。バンコクやプーケットなど国内の有名観光地にホテルを多く所有する一方で、オマーンやカタールなど海外にも展開する。また、世界56ヵ国で約530軒のホテルを運営し、“タイのホテル王”の異名を持つ「マイナー・インターナショナル」はセントレジスやアナンタラリゾートを筆頭に五つ星クラスの高級ホテルの展開が目立つ。
この他、上記の一覧表には紹介していないが1989年に創業したアブソリュート・ホテルサービス社や137ピラーズグループの名前も聞かれる。
コロナ規制による休業期間を経て、政府が打ち出した方針に現場の経営陣はどのような手を打って出るのか。本格的な開国後の動向に注視する必要があるだろう。
コロナの煽りを大きく受けてきたホテル産業だが、 3年目を迎えた今年それぞれどのような方針を掲げているのか。
Accor 5年以内に最低17軒のホテルを新規オープン予定 世界110ヵ国に5,200軒以上のホテルと10,000軒以上の飲食施設を有し、国内においても13都市で88軒のホテルを展開するタイNo.1の実績を持つ同グループは、タイ観光の競争力を高めるための新プロジェクトを打ち出している。 5年以内に最低17軒の新規開業を図ると共に、同グループの低価格帯ブランド「ibis」の世界最大級物件「ibis Styles Bangkok Twin Towers」のバンコク開業に向けての準備を進めている(オープンは2024年・666室を提供予定)。加えて、チェンマイにも新たなホテルのマネジメント契約を締結するなど、観光大国・タイ復興に向けた動きが加速している。 |
Marriott International タイ+近隣諸国で5年間で33の施設を計画中 現在14ブランドで47軒・13,000室を運営するMarriott Internationalは今年、タイ国内で7〜8軒の新規ホテルオープンを予定。また5年以内に33軒を開業することも発表している。今年パタヤにオープンしたばかりの系列グループCourtyard by Marriott North Pattayaは、現地デベロッパーNovaグループの投資下にあり、タイで3番目の同ブランド施設。同グループ会長のファインマン氏は「投資回収に通常より時間がかかるかもしれないが、中国市場が回復すれば10年以内に利益を上げることができるかもしれない」と見解を示している。 |
IHG 「タイは新ブランド立ち上げの 巨大市場」。国内事業拡大へ IHGは5年以内に34軒の新規ホテルをオープン(8,000室)し、その中でも「ラグジュアリー」と「ライフスタイル」各ブランドの事業領域を50%拡大する計画だ。それが同社の新高級ブランド業態「Vignette Collection」で、Sindhorn Midtown Hotel BangkokやInterContinental Khao Yai Resort、Staybridge Suites Bangkok Sukhumvit Phrom Phongの開業に向けた動きが加速。国内では現在約30軒・8,200室を構えている同社だが、「タイは重要なデスティネーション先であり、新ブランド立ち上げの巨大市場」と期待を寄せている。 |
The Erawan Group 低価格ホテル「HOP INN」をフランチャイズ方式で展開 グループ最安料金である「HOP INN」をフランチャイズ方式で展開することで、そのブランド力を強化していくと発表。同グループのペット・クラヌクン社長は「格安で宿泊できる自社ブランドをこれまでに36県で47軒オープンしてきたが、建物や土地を持ち、ホテル事業への長期投資を考えているパートナーに提供することにした」と述べている。今後、国内外を問わず同グループの未進出エリアを狙い、25年までに30軒のフランチャイズ契約による新規ホテルを開業。同時に、非フランチャイズと合わせた延べ100軒のホテル経営を目指すという。 |
Central Plaza Hotel タイ・近隣諸国・中国・中東、5年で新規ホテル100軒を計画 21年のホテル事業の売上高は23億バーツだったCentara Hotels & Resortsは、5年以内にタイ・近隣諸国・中国・中東にまたがる新規ホテル100軒の開業を目指すと公表している。このほとんどはパートナー契約を想定し、モルディブやランタ島でのホテル所有権を獲得する投資プロジェクトも計画中。同グループは現在88のホテルを所有。22年から26年までの間に毎年20軒ずつ増やし、合計で約200軒・38,000室の所有となる予定だとグループ最高経営責任者のティラユット・チラティワット氏は述べている。 |
Minor International 運営受託に切り替え “持たずに広げる経営”へ 世界56ヵ国で約530軒(約7万6,000室)のホテルを運営し、タイの主要都市とアジアのリゾート地を中心にAnantaraブランドで五つ星クラスの高級ホテルを展開。18年には欧米で300軒以上の中高級ホテルを持つ「NH Hotel Group」を買収するなどM&A(合併・買収)で事業を拡大してきた。しかし、20年12月期に214億バーツ(約740億円)という過去最大の赤字を計上。状況改善のため所有ホテルの運営受託を強化し、資本を減らすアセットライト経営に切り替える方針を固めている。過去に発表していた25年までの新規開業案件も約8割を運営受託にする予定。 |
バンコクでは大型複合施設の開発なども進み、有名ブランドの新たなホテル進出も発表されている。今後、開業が予定されている主なホテルを紹介する。
※報道発表などからArayZ作成。計画は予告なく変更される可能性があります
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2020年に会長就任。現在1期目(20~22年)。The Sukosol Hotel、The Siam Hotel(いずれもバンコク)、 Siam Bayshore Resort Pattaya、The Bayview Pattaya、Wave Hotel Pattaya(いずれもパタヤ)を傘下に持つSukosol HotelsのExecutive Vice Presidentを務める。
【タイホテル協会とは 】 1963年に設立されたタイ全国規模の業界団体。全国に10の支部を持ち、会員数は1,060人。ホテルの格付けや観光動向の統計情報の発表、政府への陳情などを行う。 ※当インタビューは4月上旬に実施
新型コロナウイルスはいまだかつてないほどの危機をもたらしました。
例えば、1997年のアジア通貨危機は為替の下落による金融危機でしたので、影響を受けたのは主に投資家の方たちでした。
しかし今回のコロナ禍はホテル産業の投資家、ホテルオーナー、従業員、サプライヤーも含めたホテルサプライチェーンに関わる全ての人に影響をもたらしました。私たちはタイ人を雇用し、様々な原材料、製品をタイで仕入れます。ホテル業を支えるサプライチェーンはとても幅広いため、コロナ禍の影響は計り知れません。
2019年、約4000万人だった外国人観光客は、20年に約670万人まで落ち込みました。これはまだコロナ前の3ヵ月があったからです。21年は約42万人です。19年と比べると90%以上の減少となり、まったくお客様がいない状況となりました。
特にデルタ株流行時の影響は深刻で、ホテル従業員の50%が去ることになりました。それはホテルの規模、立地を問わず同じ状況でした。
全体の5、6%は閉鎖に追い込まれたのではないでしょうか。多くは一時的に休業し、観光需要の回復を待っています。売りに出されたり、オーナーが変わったホテルもありました。それはおそらく負債が膨らんでいたり、開業したばかりでまだ借り入れがあったため、お客様が来なければキャッシュフローが回らなくなり、事業が継続できなかったからでしょう。
コロナ禍における私たちの役割の一つは、どれだけの影響を受けているのかを政府に伝えることです。コロナ禍の当初はプラユット首相と面会もしましたし、観光スポーツ省の大臣とは何回もお会いしています。政府へ要望書を何度も提出しています。 また、外国人観光客の受け入れに関しても常に連携を取り、民間の代表としてAQ(政府代替隔離)やテスト&ゴー、サンドボックスなどの導入にも携わってきました。タイホテル協会はタイ観光評議会(TCT)のメンバーでもあり、TCTを通じた問題提起にも努めてきました。
情報提供も重要な役割の一つです。コロナ禍の状況などを把握するために、タイ中央銀行と共同で調査を行い、政府や各メディアに調査結果を伝えています。タイ中銀も調査結果などを政策決定の参考にしています。
目下の問題は、土地建物税です。土地と資産価値に基づく新たな課税方法は、まったく収入がなくなったホテル業にとっては公正ではありません。土地建物税は以前、賃貸収入などに基づいて課税されていましたが、不動産価値に基づいて課税されると収入のないホテルにとっては大きな負担となります。そのため、政府に問題を伝えています。
ホテル業に関連する法律に関して、ホテル事業者が取り組みやすくなるよう協議しています。6月1日から施行される個人情報保護法についても個人情報保護委員会と話し合いを重ねています。
タイのホテルは有名ブランドなどの大規模ホテルだけではありません。独立系ホテルなどの中小規模のホテルもあります。すべてのホテルが法律に基づいて対策を進められるようサポートする必要があります。
19年と比べて外国人観光客が90%以上減少している中で、政府は一時休止していたテスト&ゴーを今年2月から再開しました。これまで毎月20万人ほどの外国人観光客が訪れていますが、3月から増加傾向にあります。日本ではPCR検査費用が高額と聞いていますが、4月1日からは政府がタイ入国前のPCR検査結果提示を廃止しました。今、タイはワクチン接種済みで入国時の検査で陰性なら、隔離は必要ありません。
政府の入国規制緩和に連れて徐々に問い合わせ、予約も増えてきています。
ただ、海外からは、テスト&ゴーとタイランドパスの取り止めが期待されています。周辺国も次々と入国規制を緩和しています。タイもこの2つが撤廃されれば、外国人観光客の数も一層回復するでしょう。
客室稼働率はコロナ前の19年は約70%でしたが、20年は約30%まで落ち込みました。さらに21年はたったの約14%です。デルタ株の流行などで、客室稼働率が一桁になった月もありました。
私たちの調査では現在営業してるホテルの今年第1四半期の客室稼働率は約30%です。ホテル側も経費を切り詰めている中で、損益分岐点になる40~50%には達しません。徐々に客足は戻ってきていますが、まだコロナ前の状態には戻っていません。
コロナ禍でタイ人観光客も減っていましたが、今年は昨年より回復するのではないでしょうか。それはオミクロン株の症状がそれほど重篤化しないことが分かり、タイ人も恐れなくなっているためです。今年のソンクラーン以降、タイ人はデルタ株流行で規制が厳しかった昨年よりも多く旅行するようになるでしょう。
いずれにしても、回復ペースは遅いものになる見通しです。日本人観光客に関してはまだ問い合わせは多くありません。ほとんどはビジネス客です。
19年にタイを訪れたロシア人観光客は約140万人でした。中国人観光客が1000万人以上ですから、割合とすれば大きいわけではありません。ただ、南部やパタヤ、ホアヒンなどの海沿いの地域ではロシア人観光客の割合が多かったホテルには影響が出るでしょう。そして中国人観光客が戻ってくるにはまだしばらく時間が掛かりそうです。
第一は感染予防策です。今後さらに、非接触を取り入れていかなければなりません。例えば手洗い場のセンサー式蛇口や非接触自動ドアなどの導入です。
第二に、サステナビリティも今後の業界を左右する要素になるでしょう。コロナ禍以降、カーボンニュートラルに関心を持つ旅行者が増えてきています。旅行に伴い温室効果ガスを排出したとしても、エコを意識して宿泊先を選ぶことで埋め合わせするという意識です。環境に配慮したホテルを探す方法も容易になっており、グリーンツーリズムやレスポンシブルツーリズム(責任ある観光)の推進を加速させるでしょう。
第三にデジタルマーケティングです。有名観光地だけでなく、これまで名前が知られていなかった観光地にも旅行者は足を運ぶようになり、旅行者の好みは細分化してきています。デジタルマーケティングを活用すれば知名度に関係なく、旅行者に魅力を届けることができます。
タイには多くの観光資源があります。それは様々な文化であり、景勝地であり、料理でもあります。タイの観光業はまだまだ大きな可能性を秘めています。だからこそコロナ禍にも関わらず、有名ホテルの進出計画が続いています。彼らはタイにはまだ潜在的な観光需要があると見ています。
政府はメディカル、ウェルネスツーリズムに力を入れようとしています。タイには代替医療の選択肢が数多くあり、他国には真似できないものです。また、マリンツーリズムにも力を入れ、タイをヨットの整備建設ハブにすることを目指しています。バンコクやパタヤ、コンケーンなど10都市におけるMICEの振興にも取り組んでおり、観光面においてまだタイには大きなチャンスが眠っています。
今年が回復元年になると期待しています。ただ、上期の状況を見定める必要があります。まだ観光客が完全に戻ってきているわけではありません。回復は来年になるとの見解もあり、状況を見通すのは難しいです。私たちとしては、今年は1000万人の外国人観光客に来ていただくことを期待しています。そして2024年、25年にはコロナ前のような状態に戻ると期待しています。それより早いかもしれませんし、ロシアとウクライナの戦争のように私たちにはコントロールできない問題も起こるかもしれません。本当に見通しを立てるのは難しいです。
政府はクオリティツーリズムに注力するとしています。私たちとしても観光客の質も重視していきます。ハイエンドの観光客でなければならないという意味ではなく、どれだけ長い期間滞在し、支出をしてくれるか、タイの環境や文化を大切にしてくれるかなどです。コロナ前の外国人観光客数を取り戻すことも可能でしょうし、外国人観光客数は減少したとしても観光収入の維持は可能です。
タイには他の国には真似できない観光資源とホスピタリティがあります。事業者には自信を持っていただきたいですし、あと少し耐えれば、光が見えてくるでしょう。コロナ前、フランスには約9000万人が訪れていました。同時期に4000万人のタイにもまだ成長の余地は大いにあります。
ただし、持続性を備えた成長を続けることが大事です。観光地に悪影響を与えるのではなく、共に持続的な発展を支えていかなければなりません。
タイで初めてホテルが開業したのは1863年と言われている。時はラーマ4世(在位1804~68年)の時代。35年の来タイ後から亡くなる73年までタイに住んでいたアメリカ人宣教師ブラッドレイの記述によれば、ユニオンホテル及びボーディングホテルという2つのホテルが63年に開業したという。これが現状確認できるタイで最も古いホテルと見られている。経営者はいずれも外国人だったとされている。 ユニオンホテル、ボーディングホテル共に現在の場所は確認できないが、64年にはオリエンタルホテルが開業(これは現在のマンダリンオリエンタルホテルにあたる)。同ホテルは70年にタイで初めて電力が導入されたホテルでもあったという。
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THAIBIZ編集部
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