ArayZ No.141 2023年9月発行東南アジアにおける 脱炭素トレンドと脱炭素に向けたアプローチ
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カテゴリー: 特集, カーボンニュートラル, 食品・小売・サービス
公開日 2023.09.10
目次
CPFは創業以来サステナビリティを重視しており、20~30年前からサステナビリティ活動を実施しています。現在、弊社は7つのSDGs目標に焦点を当て、事業戦略に組み込んでいます。例えば食料安全保障では、CPFは17ヵ国で事業を展開しており、食料安全保障に取り組んでいます。人権の面では従業員を国際労働基準に適合して世話をしています。さらに、水資源の面では水を再利用しているため、鶏を飼育する過程における水使用量は通常より約45%少ないです。また、タイにおける全工場で使用されるエネルギーの30%は再生可能エネルギーで、2022年からタイとベトナムで石炭使用を停止するプロジェクトも行っています。
CPFはすでに廃棄物処理からのバイオガスを畜産農場の発電に活用しています。トヨタは当時、水素製造プロジェクトを進めており、さまざまな水素エネルギー源を探していました。そこで、弊社と協業し産卵鶏の糞尿から発生するバイオガスを水素ガスに変換するパイロット・プロジェクトを始めました。現在は、最も効率的な水素の貯蔵プロセスや輸出方法を模索しています。
産卵鶏以外で同社が将来的に可能性を見出しているのは、豚や鶏の糞尿の再利用です。このプロジェクトは「健康にも環境にも良い食品を生産する」というCPFのビジョンに沿ったものです。
現在、全国112ヵ所のCPF工場で使用されるエネルギーの30%が再生可能エネルギーで、そのうち30%がバイオガスエネルギー、68%がバイオマスエネルギー、2%が太陽エネルギーです。水素エネルギーのほうが効率が良いことがわかれば、今後はそちらも使用するでしょう。将来的には、水素エネルギーのコスト効率をより良くする新しい技術が生まれると信じています。
弊社は、DJSIに選定されてから約7年間にわたって自社運営、パートナーとの協働、公共プラットフォームの構築という3つの分野でサステナビリティ活動を行っています。
2022年には、パブリック・コミットメントを発表し、次のような目標を掲げています。①環境(Environment):2040年(スコープ1と2)、2050年(スコープ3)までにネット・ゼロ・エミッション達成など ②社会(Social):2030年までにノンアルコール飲料部門の売上の80%を健康飲料が占めるなど ③ガバナンス(Governance):タイビバレッジ・グループ各社における効果的なガバナンス基準の設定など。
脱炭素については、主に次の4つに取り組んでいます。①クリーン・エネルギー:2030年までに使用するエネルギーの50%以上を太陽光発電やバイオガス、バイオマスなどのクリーン・エネルギーに変換する ②循環型包装:2040年までに飲料包装の素材を100%再利用可能素材かリサイクル可能素材、生分解性素材にする(同社はペットボトルや紙箱、ビンなどの包装を管理する「Thai Beverage Recycle (TBR)」という組織を持っている) ③工場の効率化:二酸化炭素排出量削減のため、工場の効率を向上させる ④輸送:すべての自動車をEV車に変える。
現在の課題は貨物トラックをEV車に変えることです。さらにより良い基準を設定するために、ESGトレーニングもサプライヤーに提供しています。
消費者の意識・行動を変えることが大きな挑戦です。消費者の意識・行動が変わらなければ企業も変わらないため、消費者レベルで環境に配慮する意識を植え付けることが重要です。その一環として、弊社は、サステナビリティ・エキスポ(SX)を毎年開催しています。4回目となる今年は、「B2C2B(Business – to – Customer – to – Business)」というコンセプトのもと9月29日から10月8日にかけてバンコクのクイーン・シリキット国際会議場(QSNCC)で開催予定です。
「消費者の行動が変われば企業も変わる」というコンセプトのもと、サステナビリティを推進している大企業が集まり、消費者にサステナビリティへの理解を深めてもらうことが目的です。展示会やマーケットプレイス、飲食ゾーンがあり、参加者はさまざまな活動を通じてサステナビリティについて学ぶことができます。
また、社内レベルで出来ることとしては幹部層の考え方を変えることです。最近の幹部層は以前よりも脱炭素に対し関心を持ち、重要視もしているように感じます。技術面もまた一つの課題・挑戦ですが、日本企業はニーズに応える技術を持っていると信じています。
サステナビリティ・エキスポ(SX)開会式の様子(2022年) サステナビリティ・エキスポ(SX)で参加者はさまざまな活動を通じてサステナビリティについて学ぶことができる
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THAIBIZ編集部
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