在タイ日系企業の課題「あるある」を変える〜Kintone(Thailand)に聞く現地マネジメントのリアルと打ち手

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    在タイ日系企業の課題「あるある」を変える〜Kintone(Thailand)に聞く現地マネジメントのリアルと打ち手

    公開日 2025.06.02 Sponsored

    「指示の伝達がうまくいかない」「業務が属人化してブラックボックス化している」「メールやLINEでのやりとりが非効率」といった現地マネジメントの課題に悩む日本人ビジネスパーソンも少なくない。これらの課題に対し、仕組みとテクノロジーで向き合ってきたのがクラウド型業務システムアプリ「Kintone(キントーン)」を展開するサイボウズ株式会社のタイ法人Kintone(Thailand)Co., Ltd.だ。同社のマネージング・ディレクター(MD)ナミヤ・ワユパブ氏と事業開発スペシャリストの奥野寛史氏に在タイ日系企業が抱える現地マネジメントの課題と、その解決策について話を聞いた。

    「常識」が通じない異文化環境での課題

    在タイ日系企業が直面する共通課題の一つが「言ったことが伝わらない」という問題だ。ナミヤ氏は「これは単なる語学力の問題ではない」と指摘する。大学進学を機に来日し、初めての就職も日本だったナミヤ氏は「日本では間接的なコミュニケーションが中心で、ニュアンスで伝わることが多かった」と振り返る。しかし、タイに帰国してタイ人と働くようになると「同じタイ語でも言ったことが伝わらない」という逆カルチャーショックを経験したという。

    Kintone(Thailand)のマネージング・ディレクター、ナミヤ氏

    このジレンマを解消するには「まず期待値の調整が必要だ」とナミヤ氏は説明する。「日本では『常識』という言葉がよく使われるが、これはタイでは通用しない。タイでは『常識』という概念そのものが多様であり、同じタイ人同士でも異なる」からだ。一つの解決策として「組織内での共通の理想を作ることが有効だ」と提案する。共通の理想が浸透すれば、その中で組織独自の「常識」が生まれ、日々のコミュニケーションにおいても軸ができ、話がしやすくなるからだという。

    その一例として、同社を含むサイボウズグループでは、「多様性を尊重し、従業員が自律的に働き、チームワークを重視する」という理念のもと、Kintoneを活用して情報の一元化と共有を行なっている。これにより、企業理念の浸透やコミュニケーションの活性化が促進され、風通しの良い組織文化づくりにもつながっている。こうした変化は、Kintoneユーザー企業からも数多く報告されているそうだ。

    IT人材のリソース格差から生まれる課題

    一方、奥野氏は別の視点から「日本とタイにおけるIT人材のリソース格差」という課題を指摘する。「タイの現地法人ではIT専任担当がいないことが多くある。総務部門や日本人駐在員が片手間で管理しているケースが多く、日本本社のシステムもタイの現場に最適化されていない」という現状がある。

    その結果、「Excelや紙での管理や、LINEでの業務連絡が日常茶飯事」となっている。本来であれば、現地のニーズに合った情報管理が求められるが、それに対応できていないのが実情である。奥野氏によると、こうした状況は一部の企業だけでなく、名の知れた大手日系企業でも珍しくないという。

    「対話」を支える仕組みづくりが鍵

    こうした現場の課題を解決するにはどうすればよいのか。Kintoneが重視するのは「一方的な管理」ではなく「対話を支える仕組み」だ。

    グローバルに拠点を展開する企業にとって、各拠点でシステムをカスタマイズするのはコストや人的リソースなどさまざまなハードルがあり容易ではない。そこでKintoneの強みが活きる。Kintoneはプログラミングの知識が不要で、誰でも視覚的にカスタマイズできるユーザーフレンドリーな設計になっている。

    ユーザー自身で管理ツールを作ることができるため、現場の実態に即した情報管理が可能となる。またKintone上に進捗状況や意思決定など業務上の情報を残すことで、誰もが共通の情報にアクセスでき、1対1の属人化したコミュニケーションを減らすことができる。

    Kintone導入企業の成功例

    具体的な導入効果について、奥野氏は「ある営業会社では、会議や電話での進捗確認に多くの時間を取られ、思うように営業活動に専念できていなかった。Kintoneで進捗状況を可視化したことで、それまでの進捗確認の手間が大幅に減り、営業スタッフは顧客と向き合う時間が増えた。結果として、その企業では売上が1.8倍に伸びた」と明かした。

    また、「紙の申請書を1日約50枚処理していた企業では、Kintoneでワークフローを電子化した結果、上長が外出先からでも承認作業ができるようになり、業務効率が飛躍的に向上した」例もあるという。

    現地スタッフの「巻き込み」がシステム定着の決め手

    どんなに優れたシステムでも導入しただけでは意味がない。実際は「必要性が伝わっていない中での情報入力や、新たな取り組みに対する現場の拒否反応などで、なかなか浸透しない」という悩みも少なくない。

    このような状況を打破するために、奥野氏が強調するのは「現地スタッフの巻き込み」だ。「特に重要なのは、タイ人の現場のキーパーソンを早期に巻き込むことだ」とした上で、「最初は日本人が主導しても、現地の実務を理解したタイ人に任せることで、現場のメンバーの協力を得やすくなる。そこから自分たちで問題を発見し、その解決手段としてKintoneを使って改善するという現地発の改善文化が生まれる」と成功する企業の共通点を分析する。

    在タイ日系企業の課題「あるある」を変える〜Kintone (Thailand)に聞く現地マネジメントのリアルと打ち手
    Kintone(Thailand)の事業開発スペシャリスト、奥野氏

    こうした成功体験を重ねることで、タイ人スタッフの意識も「やらされている仕事」から「主体的な行動」へと変化し、その結果、会社全体にも好循環をもたらす。Kintoneは単なる業務改善ツールを超え、「タイ人に主体性や仕事の楽しさを気づかせるツール」としての役割も果たしている。

    Kintoneを活用することで、情報の行き違いを防ぎつつ、組織内での共通の理想や価値観が浸透しやすくなる。異文化環境における「常識のズレ」という構造的課題に対しても、Kintoneのようなデジタルツールを活用することは、有効なアプローチの一つといえるだろう。

    タイにおけるDXの可能性

    「タイはインフラ面では非常に優れており、5Gなどの通信環境も世界水準にある。しかし、その恩恵を十分に活かすIT人材が足りていないのが実情だ」とナミヤ氏は語る。一方で「デジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進できる人材が少ないからこそ、Kintoneのような誰でも使えるノーコードツールの意義は大きい」と強調する。

    DXを加速させるためには高度人材は必要不可欠と考えられているが、人材育成には時間がかかる。専門知識を必要とせず誰でも使えるデジタルツールの導入は、企業のDX化の近道といえるのかもしれない。

    現地マネジメント課題の解決の知見を共有するセミナーを開催

    Kintone(Thailand)とTHAIBIZは、7月3日(木)に「脱・属人化で組織を改革!タイ人営業に仕組みを定着させた現地マネジメントの舞台裏」と題するセミナーを開催する。同セミナーでは、業務の見える化やDX推進がもたらす効果について、Kintoneを導入した企業の改善プロセスや事例を紹介する予定だ。

    企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する今の時代、適切な情報管理とアクセスのしやすさが、競争力を左右する。ナミヤ氏は「DXの必要性は感じていても、何から始めるべきか迷っている方に参加いただきたい」と語り、奥野氏は「同じ課題に悩む方々に解決のヒントやガイドを提供できれば幸いだ」と締め括った。


    ◎ナミヤ・ワユパブ 氏
    Managing Director / SEA Asst. Manager
    Kintone(Thailand)Co., Ltd.

    Kintone Thailandの設立メンバーで4年に渡りタイにおけるDX課題を追求し、2023年よりタイ拠点代表としてタイにおける事業戦略をリードし、東南アジアでの展開を推進。タイ人でありつつ日・英・タイの三言語に堪能な日本の明治大学卒業。日本国内外の多様な業界で培った経験と多文化理解力を活かし、企業の業務改善と生産性向上に貢献している。

    ◎奥野 寛史 氏
    Business Development Specialist
    Kintone(Thailand)Co., Ltd.

    新卒で都市銀行に入行し、法人営業を経験。2018年にサイボウズ株式会社に入社。中小〜超大手企業様の業務改善を支援。2024年6月にKintone(Thailand)Co., Ltdへ出向。チームワークあふれる社会の実現に向けバンコクから東南アジアのKintoneビジネスを推進している。

    Kintone (Thailand)Co., Ltd.
    Kintone(Thailand)は、サイボウズ株式会社のタイ駐在員事務所として設立され、2024年に法人化。誰にでも使いやすいノーコードツール「Kintone」を通じて、煩雑でコストのかかる業務のデジタル化を支援します。日本語・タイ語対応でサポートも充実。信頼できるパートナーとともに、タイ全土で企業の業務プロセスの改善に貢献しています。

    TEL:02-017-7134
    E-mail:[email protected]
    Web:https://page.cybozu.co.jp/-/kintone-thailand/

    THAIBIZ編集部

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