ArayZ No.78 2018年6月発行知らないことがリスクです!国際相続
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カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2018.06.26
5月に開催した東京、大阪、名古屋での4回にわたる「バンコク不動産投資セミナー」が終わり、久しぶりにバンコクに戻ってきた。今はあたふたとこの原稿を書いているところであるが、ここ3週間ほど日本にいたこともあり、最新情報から離れていたので書くネタがない。そこで今回はこのセミナー内容について書くことにした。
東京のセミナーでは、有難いことに定員を超える満席でもうこれ以上は入れないというほど盛況であったのだが、今回は、5月末に出版した2冊目の本、『続・バンコク不動産投資 実践編』の中でも書いてある不動産投資のそもそも論でもあるプレビルドのキャッシュフローの作り方や売買時の税金の計算方法、そして投資理論について少し解説した。
しかしながら、投資利回りとか平米単価という単純な算数の世界から、普段聞き慣れないIRR(内部収益率)とかNPV(正味現在価値)、Time Value of Money(お金の時間価値)というファイナンス数学の世界に入ったので、途中で眠くなった人も少なからずいたように思う。
筆者の前職であったGEキャピタルやドイツ証券だけでなく、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーなどの投資銀行で不動産投資をするプロにとっては基礎知識なのだが、今回、敢えてこういう内容を持ち出したのには理由がある。
最近、何人かの個人不動産投資家で経験豊富と自負する人達と面談する機会があったのだが、彼らは何か勘違いしていると思ったのである。不動産投資というのは、ある意味、お金と度胸さえあれば誰でもできる身近なものであり、特に日本の場合、首都圏でそれなりにロケーションのいい築浅物件を買っておけば、厳しい宅建業法や建築基準法、品確法に守られていることもあって、極端な失敗は少ない。
従って、それまで自分がやってきた日本での成功経験を基に持論を展開する人も多い。これはちょっと変なたとえであるが、ゴルフでスコアを自慢する人が、頼まれてもいないのに他人のスイングを見てああだこうだと能書きをいいたがるのにどこか似ている。これに辟易した経験のある人は筆者に限らず多いと思うが、不動産投資というのはこういう自称専門家が多い世界でもある。
しかし、バンコクで海外不動産投資をする場合、豊富な経験がある人などほとんどいないはずだ。筆者も9年前からバンコクで不動産投資を続けているが、今も試行錯誤の連続である。それにもかかわらず、自分は長年不動産投資をやってきたからタイでも大丈夫、という根拠のない自信に満ちた投資家ほど、英語もタイ語もさっぱりできなかったりするのである。これではタイの取引習慣もわからないし、下手をすると手付金詐欺にあったりするのが落ちだ。最近では、アシュトンアソークの引渡しができない問題やアユタヤで45億円にも上る大掛かりな日本人投資家相手の詐欺事件があったが、海外不動産には危険がいっぱいという一面もあるのだ。
そこで今回のセミナーでは、自宅ではなく投資として不動産を売買する以上、ロケーションやクオリティという誰でもわかる単純なことだけでなく、その判断にはプロがやるようなファイナンス面の分析も必要である、とちょっとややこしい話をした次第である。
ところで、この新しい著書には、こういう投資理論の話だけでなく、これからバンコクの不動産市場はどうなっていくのか、これから様変わりする駅はどこなのか、そして筆者のバンコクで最初の投資物件の購入から売却に至るまでの経験談も書いているので、興味があれば是非読んでいただきたい。
藤澤 慎二
前職はドイツ銀行の国際不動産投資ファンド、RREEFのシニア・アセットマネジャーで米国公認会計士。現在はバンコクに在住し、自身のブログ「バンコクコンドミニアム物語」(http://condostory.blog.jp)で、バンコクの不動産マーケット情報を発信している。
連絡先:087-481-9709
[email protected]
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THAIBIZ編集部
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