カテゴリー: イベント, カーボンニュートラル
公開日 2025.03.11
日本貿易振興機構バンコク事務所(ジェトロ・バンコク)は3月4日、タイ投資委員会(BOI)およびタイ東部経済回廊事務局(EECO)と共催で、バンコク都内のホテル会場にて「日タイ サステナブルビジネスフォーラム2025」を開催した。
同フォーラムでは、株式会社アルガルバイオとBLCP Power Limited(BLCPパワー社)が、微細藻類によるCO2固定化技術実証における共同研究契約書(MOU)に調印。その他、日タイ企業による共創・連携事例に関するパネルディスカッションが行われ、タイのカーボンニュートラル促進に向けた両国の連携強化の機運を高める場となった。
開会の挨拶では、ジェトロ・バンコクの黒田淳一郎所長が、タイにおける日本企業の脱炭素関連ビジネス支援を目的とし「サステナブル専用デスク」を設置したことを報告。脱炭素社会の実現には「プライベートセクターの参入も欠かせない」と述べ、カーボンニュートラル促進に向けた日タイ企業連携強化の重要性を強調した。
続いて挨拶したBOIのナリット・タードサティーラサック長官および、EECOのチュラ・スックマノップ事務局長も、日タイ企業の共創による持続可能な社会の実現に期待を寄せていた。
同フォーラムの目玉となったのが、アルガルバイオとBLCPパワー社のMOU署名式だった。アルガルバイオは、東京大学における20年以上の藻類研究の成果を技術基盤として構築したバイオファウンダリー型藻類開発プラットフォームを通じて、社会課題解決のための新規プロダクトやソリューションの事業化を積極的に推進している。2018年に創業したスタートアップ企業だ。
微細藻類は、陸上植物の50倍以上のCO2固定率を有するという。この特性を活用して同社は、BLCPパワー社の発電所内において、微細藻類を活用したCO2固定化技術の実証を行うと同時に、その過程で得られる藻類バイオマスをサプリメントや肥料などの製品・原料へ活用する商業利用の事業性についても検証する。同プロジェクトは、経済産業省の「令和5年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」に採択されている。
BLCPパワー社のManaging Directorであるユッタナー・チャロンウォン氏は、同社の脱炭素に向けたロードマップにおける同プロジェクトの位置づけを解説し、「このプロジェクトでは、われわれだけが利益を上げるのではなく、近隣コミュニティの収入向上も目指したいと考えている」と述べた。
アルガルバイオのChief Operating Officer(COO)である大江真房氏は、同社の持つ100種1,260株以上の「微細藻類ライブラリー」の存在などを紹介し、「日本では国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として、2022~2024年にかけて、関西電力株式会社と共同でCO2回収・有効利用・貯留技術(CCUS)のプロジェクトを行った経験がある」と実績を明かした。
トークセッションでは、日タイの共創・連携事例に関する2つのセッションが行われた。
第一セッションでは、チャロン・ポカパン(CP)グループのChief Technology Officer(CTO)であるJJ Jiang氏および、日本発ベンチャーThermalytica(サーマリティカ)Chief Technology Officer(CTO)のウー・ラダー氏が登壇。サーマリティカが開発した高機能断熱材「TIISA」を活用し、CPグループのチャロン・ポカパン・フーズ(CPF)が運営する養鶏所内の温度を下げるための実証実験について紹介した。
JJ Jiang氏はサーマリティカとのパートナーシップの決め手として「TIISAがわれわれの問題を解決してくれると確信したからだ」と説明し、「われわれは常にバリューチェーン全体で他社との協業機会を模索している」と強調した。
第二セッションでは、PTT グローバルケミカル (PTTGC)のDivision Managerであるシンナワット・シーロートピンヨー氏および、東レ株式会社 先端融合研究所(CBT)研究主幹・リサーチフェローの山田勝成氏が登壇。両社が共同で実施する、非可食バイオマスを原料としたアジピン酸(バイオアジピン酸)の量産技術開発と商業化に向けた取り組みについて紹介した。
シンナワット氏は「同プロジェクトに限らず、東レとは今後もコラボレーションを促進したい」とし、「サステナビリティのビジネスは非常に難しいため、政府のサポートも必要不可欠だ」との見解を述べた。
なお、同フォーラムでは、BOIとジェトロ・バンコクが、持続可能な社会の実現に向けた協力の覚書(MOU)を締結したことを発表した。プライベートセクターを巻き込んだ日タイの連携強化が、今後も期待される。
THAIBIZ編集部
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