THAIBIZ No.149 2024年5月発行総合商社の成長戦略
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カテゴリー: 会計・法務
連載: J Glocal Accounting - タイの税金事情
公開日 2024.05.10
タイに進出する多くの日系企業は地場金融機関から資金調達を行うハードルが高く、親子ローンで資金調達をするケースが多く見られます。スタンドバイ・クレジットや日本の金融機関からのクロスボーダーローン等を検討するケースもありますが、返済条件、借入期間、利率、通貨設定等で融通の利きやすい親子ローンを結果的に選ばれる事が多いです。
親会社と子会社間で取り決めを行うので融通が利きやすい一方、移転価格税制の問題や両国での税務リスクが潜んでいるため契約内容決定には注意が必要です。特にポイントとなる利率の設定に関しては慎重に検討が必要です。今回は利率決定のアプローチのポイントを解説していきます。
契約上、円、バーツ、米ドルなど、どの通貨を採用するかを決定し為替リスクをどちらが負担するかの検討。バーツで日本から貸し出す場合、為替リスクを日本が持つ事になるため、為替ヘッジレートを上乗せする検討が必要です。
資金元が手持ち資金ではなく、調達資金であれば日本の金融機関等から調達したレートより低い利率でタイに貸し付ける場合、日本本社側が寄付金認定を受けるリスクがあります。
親子ローンの契約期間に応じた通貨国の国債レートを基準レートとする事が多いです。このレートに前述した2つの要素から上乗せが必要かの判断を行います。
日本側の税務当局はタイ当地で借入を行ったと仮定した際、地場の金融機関から調達するレートを用いる事が税務上適正と判断するケースがあるため、採用する予定の利率とタイ金融機関の借入レートに大きく差がある場合は日本の税法上適正判断が取れるかの検討が必要です。この点は日本側の税理士とも協議のうえ適正レートと判断が出来るレンジを決定してください。
親子ローンの場合タイ現地法人の費用負担を少しでも減らす目的で市場金利より低い設定をした場合、日本側で寄付金認定を受けるリスクがあります。逆に本社への利益還元を目的とし、高い利率を設定した場合、税務上一般に公正妥当な範囲を超えるとしてタイ側で損金否認を受けるなど、移転価格税制の観点からみても、適正利率の設定を行う事が必要です。タイから日本への利息を支払う際は15%の源泉税が発生するため、源泉税の取り扱いなども含めタイ、日本両者にとって税務の視点で不利とならない契約の締結が必要です。
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J Glocal Accounting Co., Ltd. Managing Director
坂田 竜一 氏
バンコク在住。2007年大学卒業と同時に、東京の流動化・証券化に特化した会計事務所に就職。その後、バンコクの大手日系会計事務所で5年間、日系金融機関ほか日系企業の会計・税務、監査業務に従事。税務当局との折衝やDD業務を現地スタッフを介さずにタイ語で対応。2013年12月 J Glocal Accounting 設立。タイにおける会計・税務の専門家として、日系企業へのサポートを行っている。
J Glocal Accounting Co., Ltd.
Website : http://jga.asia/
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