ArayZ No.82 2018年10月発行タイ経済情勢 2018~景気の現状と展望~
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カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2018.10.26
目次
タイ中央銀行が発表した2018年7月の重要な経済指標によると、タイ経済は景気の拡大基調が続いています。外需が旺盛で輸出が拡大しているほか、民間消費や製造業が堅調なことが要因でした。消費拡大を受け、自律的な好循環に向かい始めました。
7月の民間消費は前年同月比4・7%上昇しました。全ての支出カテゴリーで消費が増えています。特に耐久財の消費が伸びています。農家部門と非農業部門の家計の購買力が回復していることや消費者の信頼感の改善が寄与しています。
一方で、民間投資は前年同月比2・7%上昇しました。特に機械・設備と商用車への投資が寄与しました。また、建設投資も前年同月比で上向きました。
7月の輸出は、前年同月比8・3%上昇しました。石油関連製品や、ハードディスク駆動装置などの電子製品、自動車やタイヤ、ギアボックスなどの自動車部品、砂糖やゴム製品などの農産加工品が輸出をけん引しました。
工業生産に関しては、前年同月比4・6%増となり、9ヶ月連続でプラス成長となりました。国内外の需要が順調に拡大した結果、工業生産は特に自動車、石油化学、および電子部門で拡大しました。
観光業では、外国人観光客数が前年同月比2・8%増の320万人となり、6月の同11・6%から減速しました。南部プーケットで発生した中国人旅行者を乗せたボートの転覆事故の影響で、中国からの旅行者が減少しました。サッカーのワールドカップ・ロシア大会の開催を受けてロシアからの旅行者も減少しました。
商務省が発表した2018年8月のヘッドライン・インフレ率は、前年同月比1・62%上昇し、14ヶ月連続で上昇しました。その主な理由は、原油高の影響が一部製品の原料費や半製品の生産コストを押し上げ始めていることによります。また、非食品部門の伸びが6ヶ月ぶりに減速した一方、食品部門は2ヶ月連続で加速しました。
品目別にみると、非食品・飲料部門が前年同月比2・10%上昇しました。昨年9月の物品税制改正の影響を受け、たばこ・酒が同5・86%上昇しました。それに加え、運輸・通信も同3・86%上昇しました。一方で、食品・飲料部門は同0・77%増となりました。米・粉製品の上昇率が4・26%となりました。果物・野菜、肉・魚は下落したものの、非アルコール飲料が同1・65%上昇するなどそのほかはプラスでした。
一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比0・75%の上昇で、前月から伸びがほぼ横ばいでした。
米トランプ政権は貿易赤字是正に向け中国や欧州連合(EU)に対しても強硬路線を緩めておらず、世界経済の減速懸念から安全通貨としてのドルと円が買われやすい地合いが継続しました。なお、米連邦準備制度理事会(FRB)から利上げに関し慎重姿勢が示されれば、ドル買いは一服しそうです。
2018年1~7月のタイ国内自動車の売上は、前年同期比20・2%増の571,064台となり、従来の予想より伸びました。2018年自動車国内販売にプラス影響を与える要因は多数存在します。主に以下の通りです。
• タイ経済全体が引き続き拡大基調にあることが、自動車の国内需要を押し上げていること。
• 訪タイ外国人観光客数とタイ人観光客数の増加による旅客輸送の需要増大。
• 一台目の自動車購入支援策で購入された自動車の買い換え需要。
• モデルチェンジ・新型車などの発売による需要。
• 電子商取引ビジネスの急成長による輸送サービスの需要増加。
また、タイ中央銀行は政策金利を2018年末まで現行の1・5%に維持する見込みで、タイ国内金融機関は以前ほど厳格な自動車ローンの審査を行う必要には迫られないと予想します。
以上の状況の中、タイ国内の新車販売の伸びは今年末まで続くと見込まれます。第1~3四半期の自動車販売台数が2桁成長となる見込みです。しかしながら、第4四半期の自動車販売台数は、比較ベースとなる前年同期の水準が高いことによるハイベース効果のため、前期から伸びが減速し、前年同期比6%増の265,000台になると予測します。
従って、カシコンリサーチセンターは、2018年のタイ国内自動車の売上が前年比約15%増加し、998,000台にのぼると予測します。
2019年のタイ国内自動車市場の動向に関しては、新車販売の伸びが2018年に比べ縮小する見込みです。2018年の自動車売上が大幅に増加したため、その反動で2019年に適正かつ合理的な販売レベルに戻ることが一因です。カシコンリサーチセンターは、2019年のタイ国内自動車の売上が前年比3~6%減少し、940,000~970,000台になると予測します。
2019年の国内自動車市場は、乗用車販売よりも商用車販売の方が縮小する見込みです。乗用車の販売台数は前年比2%減の465,000台になると予測します。小型乗用車(Eco Car)とスポーツ用多目的車(SUV)は好評を得ることが見込まれます。一方で、商用車の販売台数は同6%減の495,000台になる見通しです。4ドア・ピックアップは前年と同じく、商用車の中で最も明るい見通しを持つと予想します。
※本資料は情報提供を唯一の目的としており、ビジネスの判断材料とするものではありません。掲載されている分析・予測等は、資料制作時点のものであり、今後予告なしに変更されることがあります。また、予測の妥当性や正確性が保証されるものでもありませんし、商業ないし何らかの行動の為に採用することから発生した損害の責任を取れるものでもありません。本資料の予測・分析の妥当性等は、独自でご判断ください。
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THAIBIZ編集部
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