ArayZ No.89 2019年5月発行タイで活躍する外国人
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カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2019.05.12
目次
19年3月の消費者物価の上昇率は、前年同月比1.24%上昇し、前月から加速しました。21ヵ月連続で上昇しました。非食品・飲料部門の伸びが引き続き加速しました。また、食品・飲料部門の伸びも引き続き上昇しました。一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、同0.58%の上昇で、前月から伸びがほぼ横ばいでした。
19年のタイ経済は前年と比べ減速傾向にある見込みです。民間消費と公共・民間投資が19年のタイ経済の最も重要な原動力となると予想します。公共投資拡大および新政権発足により、投資家の信頼感が改善傾向に転じ、全体的な投資環境が改善すると予想します。
民間消費は、タイの新政権による低所得者向けの支援策や、農家向けの支援策など購買意欲の喚起を行う政策が実施される見込みです。一方で、輸出は緩やかな拡大基調になると見込まれます。輸出は世界経済の減速傾向や米中貿易戦争に触れ、下ぶれ圧力に直面する見込みです。カシコンリサーチセンターは、2019年のタイ経済成長率が、通常ケースで前年比3.7%増の見通しで、前年をやや下回ると予想しています。
タイ中央銀行が発表した19年2月の重要な経済指標によると、タイ経済は民間消費と公共投資の牽引により引き続き拡大しました。民間消費が堅調で所得基盤の拡大が続いています。一方で、民間投資は建設が縮小したことにより、やや収縮しまし た。また、輸出が世界的な需要低迷と米中貿易戦争の影響により縮小しました。
2月の民間消費は前年同月比4・3%上昇しました。前月に比べると伸びは加速しました。全ての支出カテゴリーで消費が引き続き拡大しました。農業所得が拡大を続けていることが支援要因となっています。農産物の収量増が農業所得増に貢献してきましたが、2月には農産物の価格指数も23ヵ月ぶりに上昇に転じました。
一方で、民間投資は前年同月比0・6%縮小しました。建設認可を受けた土地の面積が同12・7%縮小したほか、機械・設備を中心とした資本財の輸入が同5・5%下落しました。しかしながら、国内の機械販売や商用車の購入、建材の販売は、それぞれ同3・1%、2・7%、0・2%上昇しました。
2月の輸出は、前年同月比1・7%縮小しました。主要輸出先の経済の減速や、米中貿易摩擦の影響などから、自動車・部品、ハードディスク駆動装置(HDD)といった電子製品などが落ち込みました。また、原油価格が下落した結果、石油関連製品の輸出も減少しました。
工業生産に関しては、前年同月比1・6%減となり、前月のプラスからマイナスに転じました。輸出が収縮したことが原因で す。しかしながら、国内需要に応えるための生産は、自動車、食品・飲料、石油製品などで増加しました。国内需要の拡大が寄与しています。
観光業では、外国人観光客数が前年同月比0・2%増の357万人となりました。前月に比べると伸びは鈍化しました。中国からの観光客数が再び減少に転じました。また、前年同月の数値が高水準にあったハイベース効果も一因です。しかしながら、マレーシアや韓国、日本などの主要国からの旅行者は増加しました。
商務省が発表した19年3月のヘッドライン・インフレ率は、前年同月比1・24%上昇し、前月から加速しました。21ヵ月連続で上昇しました。非食品・飲料部門の伸びが引き続き加速しました。また、食品・飲料部門の伸びが引き続き上昇しました。
品目別にみると、非食品・飲料部門が前年同月比0・58%上昇しました。運輸・通信が同0・79%、住宅が同0・61%、医療・ケアが同0・33%それぞれ上昇する一方、たばこ・酒は同0・01%下落しました。食品・飲料部門は同2・38%増となりました。米・粉製品の上昇率が同4・58%、肉・魚が同4・70%、調味料が同2・81%、果物・野菜が同2・77%上昇しました。
一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比0・58%の上昇で、前月から伸びがほぼ横ばいでした。
ドル円は3月22日には約1ヵ月ぶりの109円台の円高水準となりました。その後は111円台へ持ち直しましたが、4月に入ると、多くの円高要因が出てきました。4月10日にFRBが3月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で、大半の参加者が年内の政策金利据え置きを適切とみていたことが明らかになりました。さらに、ECB(欧州中央銀行)の会合で政策金利の現状維持が決定しました。とはいえ、ECBが「緩和方針」に進んでいることは確かなようです。今年中は欧米の利上げ見送りとみて、日本との金利差縮小の見方から円買いが強まると予想されます。
そして、日米貿易協定交渉においてトランプ大統領が円高圧力をかけてくるのではないかと思われます。更に、世界経済への不安から、安全な円買いの動きが強まると予想されます。
19年のタイ経済は、引き続き拡大傾向にあるものの、様々な経済部門が減速傾向にあります。特に、輸出は世界経済減速および米中貿易戦争により鈍化しています。このことにより、工業生産も減速傾向にあります。しかしながら、民間消費は、今後の新政権の経済刺激策により引き続き拡大傾向にある見込みです。また、公共・民間投資も、今年のタイ経済の最も重要な原動力となると予想します。
公共投資に関しては、6月の新政権設立まで、現政権が政策実施の権限を握っており、東部経済回廊(Eastern Economic Corridor:EEC)などのメガ・プロジェクトの投資は中断されないと見込まれます。19年の主要な公共投資は、バンコク北郊のドンムアン空港、東郊のスワンナプーム空港、東部ラヨン県のウタパオ空港という3つの空港を結ぶ高速鉄道プロジェクトです。そのほかには、鉄道の複線化やスワンナプーム国際空港の第2期拡張事業などの現在進行中のプロジェクトもあります。その結果、カシコンリサーチセンターは、19年の公共投資が昨年と比べ増大し、通常ケースで前年比5・0%増になると予測します。
一方で、民間投資も公共投資拡大に追随して上向く見込みです。公共投資拡大および新政府設立により、投資家の信頼感が改善傾向に転じ、全体的な投資環境が改善すると予想します。カシコンリサーチセンターは、19年の民間投資を通常ケースで前年比4・2%増になると予想します。
民間消費は、依然として家計債務残高の重石や、農家の購買力の回復不足などの下押し圧力がかかる見込みです。しかしながら、今後、タイの新政権は、家庭向け消費を高めるため、低所得者向けの支援策や、農家向けの支援策など購買意欲の喚起を行う政策を実施する見込みです。
よって、カシコンリサーチセンターは、19年の民間消費が前年をやや下回り、通常ケースで前年比3・6%増になると予測し ます。
19年は輸出拡大のテンポが減速する見込みです。タイの輸出は、世界経済の減速傾向や米中貿易戦争に触れ、外部要因の不確定性が増し、さらなる下ぶれ圧力に直面すると見込まれます。カシコンリサーチセンターは、19年のタイ輸出額を通常ケースで前年比3・2%増になると予測します。従って、カシコンリサーチセンターは、19年のタイ経済成長率が、通常ケースで前年比3・7%増の見通しで、前年をやや下回ると予想しています。
※本資料は情報提供を唯一の目的としており、ビジネスの判断材料とするものではありません。掲載されている分析・予測等は、資料制作時点のものであり、今後予告なしに変更されることがあります。また、予測の妥当性や正確性が保証されるものでもありませんし、商業ないし何らかの行動の為に採用することから発生した損害の責任を取れるものでもありません。本資料の予測・分析の妥当性等は、独自でご判断ください。
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THAIBIZ編集部
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