バムルンラード病院 業績急回復、そして「Tポップ」

バムルンラード病院 業績急回復、そして「Tポップ」

公開日 2022.07.26

今号では医療関連産業の特集を組んだが、ちょうど7月21日付バンコク・ポストは、タイの病院運営会社大手バムルンラード病院(以下、BH)の幹部インタビューを掲載している。かなり長文の同記事は、「今日、バムルンラード(インターナショナル)病院のロビーに入ると、ビジネスが戻ってきていることがすぐに分かる。施設内に乗り入れる自動車の騒音、廊下で聞こえるにぎやかな多国籍の言語、スタッフの活気などから、ちょうど1年前の静けさがはるか遠い記憶になってしまったようだ」と書き出している。

そしてバムルンラード病院について、「タイで初めて心臓移植に成功した民間病院であり、次世代のゲノム解析を開発したのもタイ初だ。最近では、前立腺肥大症(BHP)に対する水蒸気セラピー、心房細動に対するクライオアブレーション、放射線治療への人工知能(AI)活用などの最新の医療技術を導入している」などとその実績を紹介している。

BHの最高グローバル・ストラテジストのニール・ソレンティノ氏は新型コロナウイルス流行と都市封鎖時の国内外の患者数急減後の動向について、「ビジネスは回復し、中東などの外国人顧客が増えつつある」などと、慎重ながら楽観的な見通しを示している。別の幹部は、「今年第1四半期(1~3月期)の病院事業の売上高は41憶バーツで、前年同期比55.2%増、前期比で5.7%増だった。このうち非タイ人の売上高は前年同期比86.8%増で、全売上高の55%を占めた」と報告した。

さらにBHのアーティラット最高経営責任者(CEO)は同病院が創業以来42年間に築き上げたブランド力を強調。「ヘルスケア事業では信頼は極めて重要だ。プレミアム市場でサービスを提供し、市場のリーダーとしてのサービス水準を維持する」とした上で、特に医師は米国で訓練を受け、認証されているなど、人材の水準の高さを訴えた。同記事はこのほか、最新医療技術に加え、デジタル技術の積極活用を詳細に説明。また、同病院が医療ツーリズムの先駆者となったことで、他の多くの病院がこの市場に参入したと指摘した。


また、7月6日付バンコク・ポストは、今号の巻頭コラムでも少しだけ触れた病院経営におけるITの導入に関するタコーン前タイ国家放送通信委員会(NBTC)事務局長の提言を伝えている。同氏はタイの高齢社会入りに伴い患者の負担と年間約1000億バーツに達する政府のヘルスケア予算を削減するために次世代通信規格「5G」を活用したスマート病院計画を推進するべきだとしている。


大麻解禁絡みの報道は続いている。22日付バンコク・ポストはタイ商工会議所大学(UTCC)の最新調査結果を伝えているが、タイのカンナビス市場は2023~2025年まで年率約15%の成長が予想され、2025年には430億バーツ(2022年は推計281億バーツ)に達する見込みだという。また、カンナビス栽培は農家に対し、1ライ(1600平方メートル)当たり年間80万~120万バーツの収入をもたらす見込みで、これは、同1万~1万5000バーツしかないコメをはるかに上回るとしている。


7月22日付ザ・スタンダードは「タイ音楽が世界に!Kポップに追随する『Tポップ』に注目。2025年には(タイの)娯楽産業の市場規模を6000億バーツまで押し上げる」との興味深い記事を掲載している。昨年9月に韓国Kポップの人気女性グループ、ブラックピンクのメンバーでタイ人のLISA(リサ)が発表したソロデビュー曲が世界的に人気になったことに触発されたものだろう。当時、タイ政府はリサのパフォーマンスやビデオをバイオ・循環型・グリーン(BCG)の対象分野「クリエーティブ産業」そのものだとアピールしていた。

TJRI編集部

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