カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2022.11.01
タイ工業省産業経済事務局(OIE)が26日に開催した「OIEフォーラム 2022」で、工業省幹部や産業界のアナリストらは、新型コロナウイルス流行収束後の国内外の需要回復に伴い、タイの多くの産業で投資拡大が期待されるとの見通しを示した。
今回のフォーラムのテーマは「Disruptive change is the new chance」。OIEのワラワン副事務局長は「外国からの工業製品の需要増は、タイのEVを含む自動車・同部品、医療機器、スマートエレクトロニクス、食品加工、バイオ関連製品などの分野の成長を促進するだろう」と指摘。その上でタイ政府が経済発展を国全体に広げるための計画として承認した北部、東部、東北部、南部、中部の経済特区(SEZ)に言及。「例えば東北部はコメ、サトウキビ、キャッサバが特徴であり、これらの高付加価値化をサポートする。南部はパーム油が豊富で、オレオケミカル(油脂化学)を振興する」と説明した。
一方、タイ開発調査研究所 (TDRI) のソムキアット所長は「コロナは、製造業よりもサービス業に影響を及ぼしている。製造業もエネルギー価格高騰によりコストが増加する一方、消費者の購買力が低いため、コスト負担を転嫁することができていない。経済課題に対処するために、企業は生産コストを削減する必要がある」との見方を示した。さらに、タイ工業連盟(FTI)のクリアンクライ会長はエネルギー価格の上昇に関して、「タイの電気料金は約17%上昇した。これはタイの世界競争力に影響を与える。電気料金を引き下げるためには早急に電気料金体系の見直しが必要だ」と提言した。
電源機器製造販売する台湾系のデルタ・エレクトロニクス(タイランド)は28日、「デルタ・フューチャー・インダストリー・サミット2022」を開催した。開会あいさつで登壇したスパタナポン副首相兼エネルギー相は、改めて「国家エネルギー計画2022」の意義を強調した上で、「デルタはタイ国内で電気自動車(EV)の主要部品や充電インフラを作ることで、タイランド4.0の新Sカーブ産業と持続可能性目標に貢献している」と称賛した。
デルタ・エレクトロニクス(タイランド)のジャッキー・チャン社長はこの日の記者会見で、デルタがタイランド4.0で貢献できる分野として「次世代自動車」「スマートエレクトロニクス」「ロボティクス」「デジタル」の4つを挙げた。その上で、アマタシティー・チョンブリ工業団地に、スマートでグリーンな未来に向けたショーケースとして「蓄電+太陽光パネル+エネルギー管理+EV充電装置+CO2を検出するスマートポールを兼ね備えたマイクログリッド施設」を設置したと報告。さらに、「タイと東南アジアの主要な産業発展ではやはりEVが最も重要なテーマだ。タイは東南アジアのEVハブになれる良いポジションにいる」と強調した。
同社長はまた、「E-モビリティー」「産業オートメーション」分野での具体的な取り組みを紹介。さらに、製造業以外の分野での産業オートメーションのソリューションでは、洪水モニタリングシステムやスマート農業分野があると説明した。質疑応答では、バッテリーとチップセット(半導体)の二つが将来のEVサプライチェーンの鍵を握っているとの認識を示した。
26日付バンコク・ポスト紙(ビジネス1面)によると、タイ財務省間接税局は四輪・二輪の電気自動車(EV)の利用促進制度の登録台数が2万5000台に達したことを明らかにした。総額29億バーツのこの補助金制度ではこれまでにEVメーカー10社が財務省と契約を結んでいる。25日には二輪車と発電機などを生産・販売するタイ・ホンダが同制度への参加で合意した。
TJRI編集部
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