日系、「全方位戦略」強化 ~展示会開幕、ホンダはBEV発売~

日系、「全方位戦略」強化 ~展示会開幕、ホンダはBEV発売~

公開日 2025.04.04

NNA掲載:2025年3月25日

タイの首都バンコク近郊で25日、自動車展示・販売会「第46回バンコク国際モーターショー」が開幕する。タイ国内で自動車販売の低迷が続く中、タイ国トヨタ自動車(TMT)はハイブリッド車(HV)を前面に押し出した。ホンダはHVの展示とともに、初のバッテリー式電気自動車(BEV)の予約を開始。マツダもBEVを展示するなど、日系各社の「全方位戦略」が強化されつつあることが印象づけられた。

トヨタのSUV「ヤリスクロス」のHVは、24年に前年比4倍の販売数を記録した=24日、タイ・バンコク近郊(NNA撮影)

今年のモーターショーでは、日本や中国、韓国、欧米などの自動車ブランド41とバイクブランド13が出展した。2024年通年のタイの新車販売台数は、前年比26.2%減の57万2,675台、25年1月は前年同月比12.3%減の4万8,082台と低迷が続く。TMTの山下典昭社長は24日、「タイの自動車市場は、変革期にある」とし、電動化が重要なトレンドになっていると指摘。24年の販売数のうち、HVやBEVを含む電動車は20万台を超え、35%を占めたと話した。山下氏は、タイで電動車販売を押し上げているのはHVだとし、24年はBEVの販売が8%減少したのに対してHVは29%伸びたと説明している。

TMTの24年の市場シェアは38.5%と、市場全体が低迷する中でも「過去13年で最大のシェア」(山下氏)を記録。25年も同水準のシェアを維持していくとの目標を掲げる。トップの座を維持するに当たって鍵となるのがHVで、同社はモーターショーでも「ハイブリッド・ゾーン」を設置。「カムリ」や「カローラ・アルティス」といったセダンや、「ヤリスクロス」や「カローラ・クロス」といったスポーツタイプ多目的車(SUV)、「イノーバ」「アルファード」「ヴェルファイア」といった多目的車(MPV)のHVを展示した。価格は「ヤリスクロス」の78万9,000バーツ(約345万円)から「アルファード」の426万9,000バーツまで、幅広いラインアップを展開していることを示した。HVでは特に「ヤリスクロス」の売れ行きが好調で、24年は3万5,500台を販売。前年比で約4倍伸びたという。TMTはモーターショーの特典として、走行距離1万~5万キロメートルのHVに対するメンテナンスのパッケージを付ける。

いすゞ、ピックアップ購入支援に期待

24年のシェアが14.9%で2位だったいすゞは、ディーゼルエンジン「2.2Ddiマックスフォース」の性能を前面に押し出し、15モデルを展示した。同社は昨年11月、新型のピックアップトラック「D-MAX」と乗用ピックアップ(PPV)「MU-X」をタイで発売。いすゞ車の販売を手がけるトリペッチの関係者は、「タイ国内で2万2,000人が3カ月の間に試乗し、好評を得ている」と手応えを語った。

いすゞは特別仕様車「ドラゴンMAX」を展示した=24日、タイ・バンコク近郊(NNA撮影)

国内では家計債務が高止まりしていることで、自動車ローンの承認率が大きく低下。ピックアップは特に影響を受けた。財務省は21日、ピックアップ向けのローン補償プログラムを開始すると発表し、7年間で50億バーツ規模の保証を実施する方針だ。またタイ信用保証公社(TCG)は今月に入り、2025年の中小企業向け融資保証額を1,000億バーツとし、100億バーツをピックアップトラック購入向けとする枠組みを発表した。

トリペッチいすゞセールスの波多隆社長は、「TCGによるピックアップ購入支援は、コンセプトがいい」と評価し、期待を示した。同社の河野通正副社長は、「ピックアップ融資の詳細は分からないので、その効果は未知数」としながらも、「仕事でピックアップを使いたいという需要があるのは確か」だとコメントした。河野氏によると、タイで24年に販売されたピックアップは16万3,000台。融資の効果は未知数であるためその影響を考慮しなければ、25年も前年と同水準になると予想される。いすゞの販売台数は、ピックアップを含めて全体で8万7,000台になると予想している。

ホンダ、BEV「e:N1」の予約開始

24年のシェアが3位(13.4%)だったホンダは、「シティ」や「シビック」「HR-V」といったモデルのHVに加え、BEVのSUV「e:N1」を展示。同社によると、24日に予約を開始しており、価格は119万9,000バーツからとなる。「e:N1」は68.8キロワット時(kWh)のリチウムイオンバッテリーを搭載し、1回充電で500キロの走行が可能となる。

ホンダは24日、タイでBEVのSUV「e:N1」の予約受け付けを開始した=タイ・バンコク近郊(NNA撮影)

ホンダの二輪生産・販売子会社タイ・ホンダは、9つのモデルを展示。電動バイク「CUV e:」や750ccの大型スクーター「フォルツァ750」が目玉になると説明した。タイ・ホンダの清水勇一社長はNNAに「大型スクーターや、オートマチックトランスミッション(AT)車の調子が良い」と話した。電動バイクについては、「顧客がどこまで電動バイクを欲しがっているのか、現状では探っている段階」とし、「ニーズがあると分かればすぐに大量投入できるよう準備はしておこうと話し合っている」と説明した。清水氏によると、現在は電動バイクはレンタルによる展開がメインだが、今後は販売も手がけていく方針。バッテリー交換タイプのみ展開中だが、固定式のプラグインタイプも開発している。市場としては固定式が主流になってきているので、様子を見ながら進めていくと述べた。

マツダがBEV「マツダ6e」展示

三菱自動車のタイ法人ミツビシ・モーターズ・タイランド(MMTh)は、先に発売すると発表したSUV「エクスフォース」のHVを展示。「イグナイト」「アルティメット」「アルティメットX」の3種を展開する。価格はそれぞれ89万9,000バーツ、103万9,000バーツ、108万9,000バーツからとなる。

2月にタイのEV市場に参入することを発表したマツダは、BEVのセダン「マツダ6e」を展示。発売時期や価格などは未定だが、モーターショーではフル充電で552キロの走行が可能と説明された。80kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、30%から80%までの充電は15分で完了する。

日産自動車は先に発表したタイ第2工場のアップグレードについて、「『アルメーラ』などの乗用車を生産する設備が今はないので、投資していく」(日産自動車アジアパシフィックの藤木稔大社長)と説明。雇用への影響については「先の話なので、回答できない」とした。藤木氏は展開に力を入れていく予定の発電専用のエンジンと走行用の電気モーターを搭載した「eパワー」シリーズについて、「タイで充電インフラがどの程度充実していくのか見えない中で、インフラを必要としない強みがある」と説明した。「eパワー」シリーズのモデルは、タイ政府が打ち出すHVの対象になるため積極的に制度を活用していくと話した。

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