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公開日 2026.04.06
タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)は16日、2025年の実質国内総生産(GDP、速報値)成長率が前年比2.4%だったと発表した。24年の伸び率2.9%(改定値)を下回った。成長率が2%台となるのは4年連続。輸出は好調だった一方、個人消費が振るわなかったほか、観光業が伸び悩んだ。25年第4四半期(10~12月)の成長率は前年同期比2.5%と、第3四半期(7~9月)の1.2%から加速した。26年は輸出の反動減などで低成長が続くもようだ。
25年の名目GDPは前年比1.6%増の18兆9,737億バーツ(約93兆3,360億円)、1人当たりの名目GDPは26万9,643バーツだった。米ドル建てでは、それぞれ5,771億米ドル、8,201米ドルだった。
NESDCは26年の成長率見通しを1.5~2.5%とした。25年11月時点の予測値1.2~2.2%からは引き上げたが、引き続き低成長となるもようだ。
25年の業種別実質GDP成長率は、「農業」が3.6%(前年から1.7ポイント加速)、「非農業」は2.3%(同0.7ポイント減速)だった。
非農業では、「工業」(GDP全体に占める比率は29%)が0.4%となった。工業のうち「製造」(同24%)は、前年のマイナス成長からは脱したが伸び率は0.4%と振るわなかった。
GDP全体の63%を占める「サービス」の伸び率は3.3%で、前年から0.8ポイント下落した。サービスのうち、「卸小売り・修理」(GDP全体に占める比率は17%)は6.1%と堅調だった。自動車販売の回復などが寄与したという。一方、「宿泊・飲食サービス」(同6%)の伸び率は2.5%で、前年から9.5ポイント縮小。外国人観光客の減少が響いた。
支出面ではGDP全体の約6割を占める個人消費を反映する「民間最終消費支出」の伸び率が2.7%と、前年の4.4%から鈍化した。GDPの15%を占める「レストラン・ホテル」の伸び率は6.0%と、前年の25.8%から大幅に減速した。一方、「自動車購入」は11.5%となり、前年のマイナス17.2%からプラスに転換した。新車市場が底を打って回復に向かっていることが反映された。
「政府支出」の伸び率は0.6%に減速。設備投資などを示す「総固定資本形成」の伸び率は4.9%となり、前年のマイナスからプラスへ転換した。民間投資が3.5%、公共投資が8.9%となった。
「財・サービス輸出額」の伸び率は9.2%と加速した。とりわけ財輸出が11.9%と2桁伸びた。サービス輸出は外国人観光客の減少により1.9%に鈍化した。
みずほリサーチ&テクノロジーズ調査部の亀卦川緋菜・上席主任エコノミストは、NNAに対して「GDP減速の背景には、内需・外需両面の要因が重なった」と述べた。個人消費については「家計債務が依然として高水準にあり力強さを欠いた。政府の消費喚起策もあり、特に年後半は消費の底堅さが見られたが、景気を大きく押し上げるには至らなかった」と分析した。
輸出に関しては「人工知能(AI)関連需要を背景に電子部品など一部品目は堅調だったが、主力の自動車関連輸出の低迷は続いた」と指摘。また主要産業の1つの観光業では、カンボジアとの国境紛争などにより回復ペースが緩やかだったことも、全体の伸び率鈍化につながったとの見方を示した。

一方、25年第4四半期のGDP成長率は2.5%と加速した。
民間最終消費支出の伸び率が3.3%となり、第3四半期の2.5%から伸長した。このうち「耐久財」が12.2%の伸びを見せ、とりわけ自動車購入が26.4%に拡大した。政府の電気自動車(EV)の普及奨励策「EV3.0」が期限を迎える前の駆け込み需要が影響したとみられる。
総固定資本形成も8.1%と好調で、官民ともに建設・機械への投資が伸びた。
亀卦川氏は、第4四半期のGDPが改善した要因について「政府の消費刺激策(『コン・ラ・クルン・プラス』など)を背景に家計消費が改善したこと、第3四半期に大きく減速した政府支出が戻ったことが挙げられる」と述べた。また、24年後半からの利下げによる金融緩和環境を背景に、企業の投資マインドに改善の兆しが見られ、持ち直しの動きにつながっていると指摘した。
外需では「電子関連輸出が底堅く推移したことが下支え要因となり、これらの背景から第4四半期の回復ペースが加速したと考えている。もっとも、回復は限定的で、基調としては『緩やかな持ち直し』と評価している」と語った。
NESDCが示した26年の経済見通しは、総固定資本形成の伸び率が1.8%、民間最終消費支出が2.1%、財・サービス輸出が2.1%と軒並み鈍化する見込み。とりわけ財輸出は、25年の前倒し需要の反動による大幅な減少が予想されている。
亀卦川氏は「26年のタイ経済は緩やかな持ち直しが続くが、力強さを欠く展開になる」との見解を示した。8日に実施された総選挙の暫定結果で現与党が新政権を樹立する可能性が高まっており、「新政権でも消費刺激策が継続される見込みであることや、これまでの利下げ効果により、個人消費の緩やかな回復が続くと考えられる」とした。外需環境の不確実性や観光の回復ペース、利下げ余地が限られる中での金利を引き下げるタイミングにも注視が必要だと付け加えた。

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