東京建物、タイで工場賃貸参入 住宅・物流・ホテルへ事業多角化

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東京建物、タイで工場賃貸参入 住宅・物流・ホテルへ事業多角化

公開日 2026.10.16

【NNA掲載:2026年10月8日】

東京建物がタイで産業不動産事業を拡大している。東部レムチャバン港周辺で地場大手と賃貸工場・物流施設を共同開発する。賃貸工場への参画は海外で初めて。既存の物流施設2件はともに満室となり、倉庫を工場として利用するテナントも出ている。工場・物流施設への旺盛な需要を背景に、電子部品や食品など幅広い製造業を取り込む。タイでは住宅を主力としつつ、物流やホテルなどへ事業領域を広げており、収益源の多角化を進める。

東京建物がSCXコーポレーションと共同で開発する賃貸工場・物流施設「SCXロジスティクス・レムチャバン2」のイメージ図(東京建物提供)

東京建物のタイ子会社、東京建物タイランドが開発する賃貸工場・物流施設「SCXロジスティクス・レムチャバン2」はタイ不動産大手SCアセットコーポレーション傘下のSCXコーポレーションとの共同事業で、東部チョンブリ県の国際貿易港レムチャバン港から約7キロメートルに位置する。敷地面積は約7万3,600平方メートル、延べ床面積は約4万1,700平方メートル。工場2棟と倉庫1棟からなり、27年5月の竣工を予定する。東京建物にとって海外で賃貸工場を開発するのは初めて。

東京建物は24年、首都バンコク東郊サムットプラカン県のバンナー・トラート通り(20キロ地点)とレムチャバンでSCXがそれぞれ開発する物流施設事業に参画した。レムチャバンの「SCXロジスティクス・レムチャバン1」は25年2月、バンナー通りの「SCXロジスティクス・バンナーKm.20」は26年6月に全体竣工し、現在はどちらも稼働率100%となっている。

東京建物タイランドの半田士昌社長は「物流施設事業を進める中で、工場用途に対するニーズの高さを実感してきた」と説明した。バンナー通りの施設では、倉庫として開発した区画を、組み立てなどを行う軽工場として利用するテナントが一定数あったという。これを受け、物流3件目となるレムチャバン2では賃貸工場の開発に乗り出す。

工場は自動車完成車工場のような重工業ではなく、部品の製造や組み立てなどを行う軽工業を想定する。主な対象は電子部品、食品、プラスチック、包装材、産業機械など。既に幅広い業種から問い合わせがあり、半導体や基板関連などでも工場需要が聞かれるという。物流倉庫については、輸出入貨物を扱う物流事業者のほか、電子商取引(EC)、ペットフード、食品関連など成長産業からの需要を見込む。

輸出型製造業の受け皿に

レムチャバン2では工場、倉庫の双方に保税エリアを設ける。海外から原材料を輸入し、保税工場で製造した後、保税倉庫に保管してそのまま輸出する企業を想定する。半田氏は、レムチャバン港周辺は輸出向けの製造業が多く、こうした需要が見込めると説明する。周辺の既存保税エリアは稼働率が高い状態が続いているとして、生産ラインを増設する企業などの受け皿を目指す考えを示した。

タイの賃貸工場市場は需給が逼迫(ひっぱく)している。英不動産仲介大手ナイトフランク傘下のナイトフランク・タイランドによると、26年1~6月の賃貸工場の全国稼働率は98.2%。主要工業地域はいずれもほぼ満室となった一方で、上半期の新規供給は1万400平方メートルにとどまった。東部経済回廊(EEC)の月額賃料は1平方メートル当たり217.3バーツ(約1,020円)と国内で最も高く、前年同期比2.4%上昇した。

レムチャバン2の事業出資比率はSCX側が51%、東京建物側が49%。SCXが開発や許認可取得、竣工後の施設運営・管理を担い、東京建物は主に日系企業のテナント誘致で協力する。東京建物は日本本社の物流部門とも連携し、国内の物流施設事業で築いた企業ネットワークを活用する。

3つの成長分野へ投資

東京建物がタイ事業に参画したのは18年。当初は分譲マンション(コンドミニアム)を中心に展開し、現在はバンコクや東部チョンブリ県で9件のコンドミニアム事業に参画する。高級物件から実需向け、学生向けまで対象を広げている。

半田氏は、特定の価格帯の住宅に投資を集中させない方針を強調する。高級物件が好調な時期もあれば、実需向けの販売が伸びる時期もあるとして、「一つに集中せず、幅広く投資をしていきたい」と述べた。景気や市場環境の変化があっても利益を確保できる事業構成とする考えだ。

東京建物がSCアセットコーポレーションと共同開発したコンドミニアム「リファレンス・サトーン・ウォンウェンヤイ」=9月27日、バンコク(NNA撮影)

住宅以外への展開も加速している。24年2月には事業拡大に対応するため現地法人の東京建物タイランドを設立。同年に物流施設事業へ参入し、25年にはホテル開発への参画を決めた。

ホテルではSCXと共同で、バンコク中心部のナショナルスタジアム駅近くに「ボコ・バンコク・サイアム」を開発中だ。客室数は350室で、29年夏の開業を予定する。繁華街のサイアム地区に近い立地を生かし、海外旅行者を中心とした需要を取り込む狙い。

繁華街サイアムの中心地で建設が進むホテル「ボコ・バンコク・サイアム」=9月27日、バンコク(NNA撮影)

半田氏は「観光産業はタイ経済をけん引していく産業」と指摘し、ホテルへの投資を今後も継続する考えを示した。一方、供給増が続くオフィスについては新規投資に慎重な姿勢を取る。市場ごとの成長性を見極めながら、住宅を主力としつつ物流や工場、ホテルなどへ収益源を広げる。

東京建物は25~27年度の3年間で海外事業に1,100億円を投じる計画で、米国やオーストラリアのほかタイ事業にも重点を置く。住宅、物流、ホテルという異なる成長分野を持つタイ市場の潜在力を評価しており、各市場の成長性を見極めながら投資を広げる考えだ。

>>本連載「タイビジネスインサイト」の記事一覧はこちら

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