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カテゴリー: ASEAN・中国・インド, 会計・法務
連載: ONE ASIA LAWYERS - ASIAビジネス法務
公開日 2020.12.31
前回は海外におけるインフラプロジェクト実施に関して、オフショアモデルとオンショアモデルの違い等を紹介した。 今回は主要な論点や具体的な留意点について解説する。
オフショアモデルでのプロジェクト実施については、プロジェクト実施国での商行為に関する規制が問題となる。基本的にプロジェクト実施国において商行為を行っていると見做される場合、支店や現地法人等の企業登録や税務登録が義務付けられる国がほとんどであるが、一般的に法律上の基準や運用上の程度感については対象国において様々である。
例えばカンボジアは会社法第272条において、外国企業がカンボジアにおいて下の図表の業務を行う場合、当該企業は商行為を行っていると見做されると規定されている。また、違反による行政罰を示す規定も存在している。同様にミャンマーでも会社法において、30日以上継続される取引についてはミャンマー国内での商行為を行っていると見做され、法人登記を求められる可能性がある。
ラオスの場合、会社法には明確な規定はないが2019年に1月に発行された「企業登録に関する合意(No.0023)」の中では、「ビジネスを始めること(Starting a business)」を「ラオス国内において場所を借りる、労働者を雇用する、建設許可や輸出入の許可取得等の活動を始めること」と定義している。ただし、別途規定される法律等がある場合は除くと定められている。
他方、タイでは法律上、明確な商行為の判断基準が定められていないため、当局の担当者への照会や過去の摘発事例を調査する必要がある。実務的に、オフショアのサービス提供に関する摘発事例は当局が補足することが困難な側面もあり、特にメコン地域においては限定的であると考える。
また、商行為に関する規制のみならず、建設事業者や物流事業者に関する規制の違反行為については行政罰のみならず、禁固等の罰則規制が存在しているため、各国における特定の業法について、個別具体的に確認する必要もある。
なお、一定のプロジェクトにおいては、法人登録や企業登録を行わずとも、プロジェクトの実施を認めるような特例が存在しているケースもある。例えば、ラオスでは鉱山開発や水力発電プロジェクトについては、例外的に非居住法人による実施を認めるような規制が存在している。
新興アジアにおいては交渉によっては当局が比較的柔軟な対応を取ることもあり、公共インフラ整備、雇用創出、外貨準備率の改善等のプロジェクトの意義やプロジェクト実施国へのメリットを十分に説明できる場合、特例措置を取得することで企業登録を行わずとも、例外的にプロジェクト実施が可能となるようなケースも存在している。(続く)
サービス提供は外国人事業法で外資の参入が規制されている分野であり、外国人が直接事業を行っている場合は商務省より罰則を受ける場合がある。ただ、何をもって外国法人が事業を行っているかは法律上、基準が明確ではなく商務省の判断による。商務省は「事業運営上の何らかのプロセスがタイ国内で行われた場合には、タイ国内で事業を行っていると見做す」と広義かつ抽象的な基準で判断している
下記の場合には法人設立が必要となる
①1ヵ月以上、製造、加工または役務提供のために事務所またはその他の場所を賃貸する場合
②1ヵ月以上、自己のために他人を雇用する場合
③カンボジア王国の法律によって外国人または外国法人に認められた業務を行う場合
2014年商工省通達によれば、次の場合においては法人設立が不要となる
①家族経営(農業、手工業分野)
②Petty Trader(1日の売上が10万キープ以下の行商人等)
③季節経営
上記はラオス人のために保全されるべき事業に含まれるため外国法人には該当しない。これらを除き、ラオス国内でサービス提供する場合は法人を設立しなくてはならないと解される。ただし、水力発電・鉱物開発プロジェクトについては例外あり
2018年8月施行の新会社法によれば「随時繰り返される種々の類似の取引ではない、30日以内に完了する独立した取引の遂行」の場合においては法人設立が不要と解される
藪本 雄登
One Asia Lawyersの前身となるJBL Mekongグループを2011年に設立、メコン地域流域諸国を統括。カンボジア、ラオス、タイ、ミャンマー、ベトナムで延べ10年間に亘る駐在・実務経験を有し、各国の現地弁護士と協働して各種法律調査や進出日系企業に対する各種法的なサポートを行う。インフラプロジェクトについては、タイ、カンボジア、ミャンマーにおける道路敷設や鉄道、上下水道、高速道路のメンテナンスなどの開発プロジェクト、ラオスでの電力開発案件等も支援。
E-mail:[email protected]
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THAIBIZ編集部
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