THAIBIZ No.157 2025年1月発行日タイ企業が「前例なし」に挑む! 新・サーキュラー エコノミー構想
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カテゴリー: ASEAN・中国・インド, 会計・法務
連載: ONE ASIA LAWYERS - ASIAビジネス法務
公開日 2025.01.10
ミャンマー政府は、海外で働く労働者に対し、収入の一部を送金する義務(以下「送金義務」という)と外貨で税金を納める義務(以下「納付義務」という)を課している。送金義務は2023年9月1日から、納付義務は同年10月1日から施行された。本記事では、それぞれの内容と影響を概説する。
ミャンマーの労働省は、海外就労者が指定送金サービスを通じて毎月(または3ヵ月に1回)、給与・賃金の25%をミャンマー国内の家族または自身の銀行口座に送金するよう通達を発表し、2023年9月1日に施行されている。この送金は、実勢レートよりも送金者に不利な政府指定レートで行われるため、労働者にとって経済的な負担となる場合がある。
2024年8月に発表された通達(以下、「本通達」という)では、送金状況を証明する書類の保管や提出が義務付けられ、本通達に違反した場合、海外労働許可証(OWIC)や旅券の更新、次回の海外派遣が制限される可能性があるとされている。また、人材送出機関は、送金状況の報告義務を負い、未報告の場合、新規手続きの停止などの罰則が課される場合がある。
人材送出機関は、送金の状況について、政府に報告義務を負わせており、送金証明書を提出した人数の割合に応じて、新規ディマンドレターの受付の停止または送出し手続きの停止などの措置を取っているとの情報があるため、義務の不遵守に対する影響は大きいといえる。
計画・財務省の通達により、海外労働者は所得の2%を外貨で納付する義務を負う旨、2023年10月1日に施行されている。納付は中央銀行が指定する為替レートに基づき行われ、納税証明書を得るためには領収書を税務署に提出する必要がある。
ミャンマー連邦共和国大使館によれば、日本で働くミャンマー人の場合、月収20万円を基準とし、税額は2%の4,000円となるが、2,000円の控除が適用されるため、実際の納税額は月2,000円となる。収入が20万円未満の場合は、所得を証明できる書類を提出すれば、同様に控除が適用され、納税額は月1,000円となるとされている。
ミャンマー人の日本でのパスポート更新時には、所得税納税証明書が必要であり、帰国する際に原則として所得税納税証明書の持参が必要とされているなど、影響が大きいといえる。今後、送金義務および納付義務、違反した労働者および送出機関への措置の厳格化が予想されるため、今後の動向に注意が必要となる。
One Asia Lawyers パートナー弁護士 (日本法)
ミャンマー拠点代表
佐野 和樹 氏
2013年よりタイで、主に進出支援・登記申請代行・リーガルサポート等を行うM&A Advisory Co., Ltd.で3年間勤務。2016年よりOne Asia Lawyers設立時に参画し、ミャンマー事務所・マレーシア事務所にて執務を行う。2019年にミャンマー人と結婚。現在はミャンマーに居住し、アジア法務全般のアドバイスを提供している。
One Asia Lawyers
One Asia Lawyers Groupは、東南アジア・インドの法律に関するアドバイスを、アジア各国のネットワークを基礎として、シームレスに、ワン・ストップで提供するために設立された法律事務所です。
Website : https://oneasia.legal/office/thailand
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