カテゴリー: バイオ・BCG・農業, 特集
公開日 2024.05.27
TJRIでは5月17日、タイ企業のニーズを日本企業向けに発信するオンライン説明会『Open Innovation Talk』の第26回として、タイ最大の財閥チャロン・ポカパン(CP)グループの総合農業企業のチアタイに登場いただいた。同社はCPグループの祖業である種子事業をはじめ肥料、農薬など農業関連の川上から川下までの事業を展開しており、近年は新たに農業テクノロジー事業も立ち上げ、パートナーを探している。同社のポーンテップ・チャラワノン副社長補佐が事業内容や日本企業との提携機会について説明した。
目次
ポーンテップ氏:CPグループのルーツ企業でもあるチアタイは、1921年にチア・エクチョー氏とチア・ジンヒャン氏によって設立され、104年目を迎える。当社は「飛行機」というブランドの種子を販売する事業から始まった。飛行機は当時の先進性を象徴しており、創業者が農産物販売事業に革新的技術を導入したいと考えたことからブランド名として採用された。
現在、インドやベトナム、米国などの7カ所に子会社があり、国内外に10カ所の研究開発拠点を持っている。
ポーンテップ氏:当社は農業ソリューション企業として、川上から川下までの事業を展開している。
(1)種子事業
品種改良を行い、42の植物品種で、485種類の種子を保有している。例えばカボチャやスイカ、キュウリなどだ。これらの種子を現在40カ国以上に輸出している。さらに当社は、タイでの「F1ハイブリッド品種」開発の開拓者で、タイで初めて国際種子検査協会 (ISTA)の標準認証を取得した。
(2)肥料事業
50年以上の歴史がある事業だ。「ウサギ」というブランドで、輸入した原料を使い、20種類以上の処方で開発している。梱包工場はISO規格の認証を取得した。
(3)農薬・植物保護製品事業
肥料事業と同様に長年、事業を継続している。世界中のサプライヤーと協力し、毒性が低く、高品質の製品を調達して販売している。ISO規格の認証を取得している。
(4)農業技術(Agricultural Technology)事業
2022年に設立した「FarmInno(Thailand)」という子会社で行っているチアタイの新規事業だ。高性能の散布ドローンや温室用機器などの農業技術を提供している。タイ農業の成長を促進させるイノベーションを生み出すパートナーを探している。
(5)チアタイ農場の生鮮農産物事業
事業内容を紹介するため、本社ビル内にチアタイファームショップ&レストランをオープンした。店内では当社が生産した農産物を使用した食品と飲料、契約農家から仕入れた農産物を販売している。
当社はタイ国内市場で、肥料事業ではトップ、種子事業では2位、農薬事業ではトップ5位内に位置づけられているリーディングカンパニーだ。
ポーンテップ氏:当初はスキル不足などの問題があったが、農業テクノロジー事業を立ち上げてから約3年経った現在、農家も技術へのアクセスが容易になった。また、労働力不足や高齢化社会のため、技術を活用する農家が増えてきた。
転換には時間がかかる。農家は体験を通じて結果を目にすれば、技術の活用の効果が分かり、コミュニティーの中で、口コミで広がっていく。例えばドローンの活用だ。当初は、従来通り人手で作業するのが良いと思われていたが、弱点や実際に感じた利便性、コスト削減効果から、最終的には受け入れられるようになった。
ポーンテップ氏:日本人スタッフはいないが、日本の大学を卒業して日本語を話せるスタッフはいる。また、日本の種苗会社やサプライヤーなど日本企業とも良好な関係を持っている。
ポーンテップ氏:チアタイは日本企業など良いパートナーがいるため、事業の成長が可能だ。日本は小規模で集約的農業を行い、タイと地理や栽培方法が似ている。さらに、日本には優れた農業技術があるので、タイと協力すれば、良い方向に進むことができるだろう。
ポーンテップ氏:コメ、キャッサバ、トウモロコシ、サトウキビ、野菜にフォーカスし、以下の4つの分野でパートナーを募集している。
(1)農業技術(ハードウェアとソフトウェア)
・農業用水の管理
・小・中規模農家向けの精密農業(Precision Farming)
・スマートグリーンハウス
・農業用センサー
・農業ロボット・人工知能(AI)
(2)作物保護
・毒性の低い植物保護製品、または新しい植物栄養技術・製品
(3)農業における気候変動への対応技術
・農業からの温室効果ガス(GHG)の排出を削減する製品、または技術
(4)バイオテクノロジー・栽培技術・種子技術
THAIBIZ編集部
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