タイ市場でFSMを積極展開へ – 東南アジア市場のハブとしての地位に期待

タイ市場でFSMを積極展開へ – 東南アジア市場のハブとしての地位に期待

公開日 2023.04.10

 産業のDX化が急速に進む近年にあって、企業の活動に欠かせないのが基幹業務システム「ERP」だ。この分野で世界有数とされるサービスを提供している企業の一つに、スウェーデンに本社を置くソフトウェア大手IFS社がある。タイにおいて総代理店を務めるのはパートナー企業のRACEKU Thai Co., Ltd.。実績は前身も合わせると20年を超えた。

親会社のチェンシージャパンは早ければ数年以内にも、IFSのパートナー企業として初となる株式上場を目指す。「IFSソフトウェアの優れた汎用性と有効性をタイ市場に伝えたい」とは、日タイ2法人の代表を兼務する岩堀健太郎氏。現況と抱負について話を聞いた。

ものづくり企業への群を抜く適合率

IFS社の最大の特徴はその優れた製品力だ。導入にあたり顧客から寄せられる提案依頼(RFP)は400〜500項目に及ぶことも少なくない。特にものづくりの企業には、それに対し常に90%を超えるフィット(適合)率で応えられるだけの高い汎用性と適合性を同社製品は兼ね備えている。関係者によれば、業界での標準的なフィット率は60~70%がせいぜい。群を抜くその適合力がその後のカスタマイズを少なくさせるという機動力とコスト低減をも実現させている。

一方で弱点もある。「職人気質が高く、大学の研究開発の中から興ったのがIFS。だから、どうしても貪欲でフレキシブルな営業力に弱い。一方で、大手ライバル社などが提供する同種サービスは会計の視点から開発されたものが多く、営業も活発なうえ市場によく知られている」と岩堀氏。こうした出生と性格の違いが、知名度の点で後塵を拝してきた理由と原因であるとも解説してくれた。これを引き上げていくのが将来への課題だ。

昨今、重要視される「FSM」とは

RACEKU Thaiは、IFS社が取り揃える基幹ラインナップの一つ「FSM(フィールドサービスマネジメント)」を今後、タイ市場に向け積極展開していく計画だ。顧客に販売した機械設備やシステムの設置・保守・修理などのサービスを現場(フィールド)で行う際の、作業員の派遣やスケジュール設定、進捗把握などをITを活用し管理することで、業務の効率化や生産性の向上を実現させるというのがその役目。近年、デジタル技術の発展に伴い、顧客価値が製品(モノ)ではなく、製品の販売後に顧客との接点の中で生み出されるサービス(コト)を中心としたものに変化してきている。そのような背景から、フィールドサービスはまさに顧客接点を強化できる機会、新たな収益源として重要視されているのだ。

タイにおけるFSMの活用事例

タイでも急速な勢いで導入が進む電気自動車(EV)。今後、浸透の鍵として挙げられているのが充電ステーションの整備だ。ところが、屋外に設置されるこうした設備は常時風雨にさらされ、定期的なメンテナンスが欠かせない。こうした時に、“最短距離・最小コスト”で作業員の動きを管理する司令塔役として「FSM」が期待される。

具体的にはこうだ。ある充電ステーションで異常が発生。情報は直ちにデータセンターに通知される。データセンターでは全エンジニアの勤務状態、刻一刻の所在情報などを専用アプリを通じて把握しており、誰がどのルートで現場へ向かうべきかをAIが瞬時に判断し、指示を発する。作業員は作業が終われば現場でモバイル端末による報告ができる。これまで、都度事務所に戻り作業報告をしていた無駄な時間、紙やExcel管理によるヒューマンエラーも解消され、作業者側、管理者側いずれにとっても業務の効率化が実現でき、コスト削減や労働生産性の向上に繋がる。

この仕組みは、航空、建築、エネルギー、製造、通信業界などアフターサービスを提供するあらゆる業界に応用ができ、事業の広がりが期待される。

周辺国の工業化が進む中にあっても、依然として東南アジア市場におけるタイの存在感に揺るぎはないと見るのが岩堀氏だ。もちろん、その先には新たな市場も待つ。「親会社のチェンシージャパンの株式公開も含め、当面の5年間が大切だ」としてインタビューを締めくくった。

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お問い合わせ: RACEKU Thai Co., Ltd.
E-Mail: [email protected]
Tel :061-7651499 (日・タイ・英)
Web: http://th.raceku.com/

【RACEKU Thai 会社概要】
2021年、IFS社のタイ法人IFS Solutions Thai Limitedをチェンシーグループが買収、現在の社名に変更。エンジニアなどの人材を含めた買収であったため、タイ市場を知り尽くしたサポート力や営業力などの人的リソースもそのまま継承。日本法人の22年売上高は約5億円。これを23年中に10億円、25年中には25億円と倍増させていく中期計画を立てる。

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