カテゴリー: 自動車・製造業
公開日 2023.07.09
電子部品の冷却ファンやサーボモータ、ステッピングモータ、無停電電源装置(UPS)などを製造販売する山洋電気がタイに進出したのは2011年。中部エリアが大洪水に見舞われた時だった。その後、タイは特需を迎える。こうした折にこれら製品を市場に供給し、復興に貢献したのが山洋電気だった。以来10年余り。同社はタイのモノづくり市場で歩みを始める。アフターコロナの現在は、新たな顧客の開拓と市場の変化にも照準を合わせる。
INTERVIEWEE
SANYO DENKI (THAILAND) CO., LTD.
Director, Senior Manager
畑中 勝登 氏
Manufacturing Expoへは、2018年以来5年ぶりの出展となりました。2020年から始まったコロナ禍では部品の流通が滞るなど、操業が困難な時期もありました。供給の遅れは、売り上げの減少にもつながります。ようやく回復の兆しが見えたのは、2022年も後半になってからのことでした。
こうした中で新規需要を取り込みたいと考え、エキスポ出展を決断しました。タイでも海外から電気自動車(EV)メーカーが参入するなど市場は着々と変化を見せています。電池の冷却に使われるファンモータなど新たな需要も予想されます。急速充電機など関連施設の整備も必要となります。市場の要請に取り残されないよう、新たなネットワークの構築が急務と考えました。
コロナ後の市場で顕著となっているのが、生産ラインにおける自動化・ロボット化の流れです。タイにおいても人手に頼る人海戦術には限界があり、かねてからそのような認識は徐々に広がっていました。そこへ襲ったコロナの蔓延。ひとたび感染者が見つかると操業や事業そのものが停止される中で、一気にこの流れが加速していきました。
同じ動きは、さまざまな分野で広がっています。例えば、私たちの生活に近い食品加工業界。マシュマロや菓子類といった食品生産ラインにも自動化やロボット化を求める声が拡大しています。コロナ禍で労働者が田舎に帰郷してしまうなど、働き手を確保しにくくなった現状が大きく影響していると考えられています。
これまで自動化・ロボット化とは疎遠だった農業や水産業などの第一次産業にも、ニーズは広がっています。少ない人手で生産性を高め、食の安心と安全を追求するスマート農業は、タイでも進行しているこれからの少子高齢化社会には欠かせません。待ったなしの状態です。
水産業でも同じです。例えば、毎日の食材として食卓を彩るエビ。養殖池の管理や給餌作業はことのほか重労働で知られています。これまで多くを人の手に頼っていたものを、センサーなどを使って省人化、リアルタイム監視しようというのがこの取り組みです。人件費の抑制にも貢献でき、生産者の収入上昇にもつながります。
コントローラー1台で最大15種類のロボットを制御できるなど当社製品は、業界ではハイスペックで知られています。これほどの高い制御能力を提供できる企業はタイでも他にありません。加工工程の多い食品市場などにはもってこいの特性で、今後はこうした点をさらに訴えていきたいと考えています。
とはいえ、当社の知名度はタイではまだまだ低く、営業活動も緒に就いたばかり。タイローカル企業など不特定多数への訴えが必要です。その意味でも、対面形式で開催されたManufacturing Expoは絶好の機会となりました。来場された皆さんの、悩みや熱い思いを直に感じることができました。
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