ミャンマー新酒税法の概要

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ミャンマー新酒税法の概要

公開日 2026.07.02

2026年3月7日、ミャンマー国家国防安全保障評議会は、新たな酒税法であるExcise Law(National Defence and Security Council Law No.13/2026、以下「本法」という)を公布した。本法は、植民地期に制定されたMyanmar Excise Act(1917年法)を全面的に廃止するものであり(第90条)、酒類の製造、輸送、販売、輸出入に関する包括的な規制体系を構築している。

本稿では、日本企業がミャンマーで酒類ビジネスを行う場合に特に重要となる制度を中心に解説する。

イメージ画像:Magnific

本法の目的と規制対象

本法は、酒類に関する国家の管理体制を強化し、税収確保と社会的影響の抑制を図ることを目的としている。具体的な政策目的として以下が挙げられている(第4条)。

・酒類消費の秩序ある管理(第4条(a))
・国家が徴収すべき酒税の確保(第4条(b))
・アルコール依存の抑制(第4条(c))
・社会・健康への影響を最小化した酒類供給(第4条(d))
・酒類の製造、保管、輸送、販売の体系的管理(第4条(e))

本法の規制対象は「Excise(酒類および課税対象物)」であり、アルコール度数0.5%以上の液体が「Liquor」と定義される(第3条)。また、本法は酒類を以下のように分類している(第3条)。

・Beer(ビール)
・Wine(ワイン)
・Toddy(椰子酒)
・Fermented Liquor(発酵酒)
・Country-made Spirit(国内蒸留酒)
・Foreign Liquor(輸入酒)
・International-Standard Country-made Liquor(国際基準国内酒)

これらの区分は、ライセンス制度や罰則規定の適用に影響するため、事業計画を策定する際には自社製品がどの分類に該当するかを確認する必要がある。

酒類事業に対するライセンス制度

(1)酒類事業の定義

本法は、酒類関連事業に対する包括的なライセンス制度についても規定している。「Excise Business(酒類事業)」には以下の活動が含まれる(第3条)。

・酒類の製造
・酒類の付加価値加工
・ボトリング
・保管
・卸売(Distribution)
・小売(Sale)
・輸送
・輸出入

これらの事業を行うためには、Excise License(酒税ライセンス)を取得する必要がある(第10条)。

(2)ライセンス取得可能な主体

ライセンスを取得できる主体は以下に限定されている(第12条)。

・ミャンマー国民
・ミャンマー企業
・外国企業(ただし外国出資比率49%以下)

したがって、外国資本100%の企業による酒類事業は原則として認められない。日本企業が酒類ビジネスを行う場合、ミャンマー企業との合弁会社を設立する必要があると解される。

酒類工場の設立規制

蒸留所、醸造所、ワイナリーの設立や拡張を行う場合には、別途工場設立許可を取得する必要がある(第38条)。許可が必要となる主な行為は以下である。

・酒類工場の新設
・工場設備の拡張
・生産能力の増加
・工場の移転

申請は内務省総務局に対して行い、州政府またはネピドー評議会の意見を添付する必要がある(第39条)。また、許可取得後には以下の義務が課される。

・保証金および手数料の支払い(第41条)
・工場設備の当局検査(第42条)
・製造ライセンスの取得(第43条)

このように、酒類製造を行うためには、工場設立許可とは別に製造ライセンスを取得する必要がある。

販売方法に関する規制

本法は酒類販売の方法についても厳格な制限を設けている。特に以下の行為は禁止されている(第67条)。

・自動販売機による酒類販売
・オンラインシステムによる酒類販売
・広告宣伝(看板、電子広告、チラシ等)
・過度な値引き販売や販促キャンペーン

また、以下の者への酒類販売は禁止されている(第66条)。

・宗教関係者
・酩酊状態の者
・18歳未満の者

さらに特徴的な規定として、酒類販売店舗において女性を接客業務に従事させることを禁止する規定が置かれている(第71条)。

行政処分および刑事罰

ライセンス条件違反等があった場合、当局は行政処分を行うことができる(第54条)。主な処分は以下のとおりである。

・書面による警告
・罰金
・ライセンス停止
・ライセンス取消

また、無許可製造、無許可販売、無許可輸入などの違反行為については刑事罰が定められている(第73条以下)。

TNY国際法律事務所 (ミャンマー)
代表弁護士

堤 雄史 氏

会社設立、合弁契約書および雇用契約書などの各種契約書の作成、M&A、紛争解決、商標登記等のミャンマー法に関するサービスを提供している。世界13ヶ国に展開するTNY国際法律事務所グループの共同代表。

TNY国際法律事務所

各国に日本人弁護士と現地弁護士が常駐
日本語で、日本クオリティの現地法務サービスを提供

[主な業務]
・ 各業種の外資規制や許認可制度のリサーチ、投資や事業スキームの適法性の確認
・ 会社設立手続、各種契約書の作成(雇用契約、賃貸借契約、合弁契約、業務委託契約等)
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