ハラル進出、タイが足場に 520兆円市場の物流・商談ハブへ

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ハラル進出、タイが足場に 520兆円市場の物流・商談ハブへ

公開日 2026.08.14

NNA掲載:2026年7月21日

2026年に3兆2,000億米ドル(約520兆円)規模に達するとみられる巨大なハラル(イスラム教の戒律で許されたもの)関連市場への進出拠点として、日本企業や地方自治体がタイを活用する動きが広がっている。既存の交流基盤や物流網を生かしてまずはタイに販路を築き、その先のインドネシアやマレーシア、中東市場への展開を狙う。また、首都バンコクには世界各国のバイヤーが集まることから、国際的な商談の場としても存在感を高めている。

ハラル製品専門の展示会「メガハラル・バンコク」が開催された=16日、バンコク(NNA撮影)

15~17日にバンコクで開催されたハラル製品専門の展示会「メガハラル・バンコク」には、300社を超える企業が出展した。出展分野は食品だけでなく、ウェルネス、美容、ファッションなど多岐にわたった。

主催のコマシアによると、26年の世界のハラル市場は3兆2,000億米ドル規模に達する見込み。世界約20億人のムスリム(イスラム教徒)に加え、健康や安全性に関心の高い非ムスリムにも需要が広がっているという。

そうした中、タイとの交流基盤を生かしてハラル市場の開拓を進めるのが徳島県だ。同県はタイ国内に「徳島県アジアデスク」を設置するなど、以前から経済交流を進めてきた。設置したブースでは、ハラル認証を受けた徳島県産交雑牛の試食を提供し、来場者と商談を重ねた。東南アジアでの展示会出展は今回が初めてだが、狙いはタイ市場だけではないという。

食肉の生産から加工までを手がけるフジミツハセガワ(徳島市)の担当者はNNAに、「まずは流通環境が整っているタイで販売実績を築き、将来的には認可取得を経てマレーシアなどへの進出を目指す」と説明した。同社の食肉処理施設が輸出許可を受けている仕向け先は現在、タイとマカオに限られる。マレーシアやインドネシアは認可条件が厳しく、現段階では輸出できない。アラブ首長国連邦(UAE)といった中東諸国への申請も進めているが、情勢の緊迫化を受け、手続きは停滞しているという。

徳島県のブースには、世界各国のバイヤーが訪れた=16日、バンコク(NNA撮影)

徳島県、農林水産・食品輸出の半分に認証

同時に、足元のタイ市場にも期待を寄せる。「日本の文化が浸透し、日本産牛肉に対する理解も深い」とみており、今回は和牛よりも価格を抑えられる交雑牛を売り込んだ。担当者は、「和牛でなくても、味は和牛に引けを取らない」とアピールし、複数のバイヤーからの問い合わせを受けたという。

徳島県は早くからハラル市場に着目し、認証取得に対する補助金の交付やセミナー開催を通じて事業者を支援してきた。同県の多田茂夫理事によると、県内では約20社が約200品目のハラル認証を取得。25年の徳島県による農林水産物・食品の輸出額49億9,000万円のうち、ハラル畜産物は23億円と半分近くを占めたという。多田氏は、「(徳島県は)ハラルに関しては最も先進的な県の1つだ」と話した。

また、県内企業の認証を担う日本アジアハラール協会(NAHA、千葉市)は、マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)との相互認証関係にあり、認証製品の海外展開を後押ししている。

商談の場としてタイを活用

タイを販売市場としてだけではなく、世界各国のバイヤーと接点を築く商談拠点として活用する動きもある。貿易コンサルティングのヒカリ(東京都港区)が主催したジャパン・パビリオンには、食品、健康食品、化粧品を中心とする約30社の商品が並んだ。

ヒカリのマーケティングディレクターでNAHAの理事も務めるサイード・アクター氏は、「狙うのはタイ市場だけではない」とした上で、「バンコクは世界中から人が集まる場所だ」と強調した。実際に、マレーシアやシンガポールといった東南アジアに加え、中国、インド、バングラデシュなどのバイヤーがブースを訪れたという。

ジャパン・パビリオンでは食品のほか、化粧品や健康食品が展示された=16日、バンコク(NNA撮影)

サイード氏は、「価格が高くても高品質なハラル製品が欲しい」という顧客の声を聞き、今回の展示会では「メード・イン・ジャパン」を大々的にアピールした。特に、日本では保存食のイメージが強いレトルト食品に、日常食として関心を示すバイヤーが目立ったという。

タイ企業にとっても、同展示会は国際的な商談の場として機能した。サプリメントグミを製造するデーリー・ジョリーは、米国や日本、韓国、シンガポール向けの商談を進めており、今回の展示会では香港やマレーシア、UAEのバイヤーからも引き合いがあったという。デーリー・ジョリーのワチラポーン社長は、「ハラル専門の展示会には目的が明確なバイヤーが集まるため、商談がスムーズに進む」と話した。国内市場への販路と各国のバイヤーとの接点を同時に得られることが、ハラル市場への進出拠点としてのタイの強みとなっているようだ。

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