多様化するタイ社会のリスク・ニーズに挑む

ArayZ No.147 2024年3月発行

ArayZ No.147 2024年3月発行タイの歴史の振り返りと未来展望

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多様化するタイ社会のリスク・ニーズに挑む

公開日 2024.03.10 Sponsered

Siam Cosmos Services Co., Ltd.

タイにおける事業展開や生活上のリスクへの備えとして必須となる保険。1990年に伊藤忠商事系列の企業としてタイで設立されたのが保険ブローカー(仲介会社)のSiam Cosmos Services Co., Ltd.だ。

2011年にタイを襲った未曾有の大洪水では、豊富な経験に裏付けられた交渉力と現場力により多くの企業の早期復旧を下支えした。近年はBtoB領域のみならず、バイク保険・家電延長保証といったBtoBtoCや、ペット保険に代表されるBtoC領域への展開を加速させており、業界のリーディングカンパニーとして更なる存在感を高めている。

保険の『入口』から『出口』まで

Siam Cosmosの歩み

「保険ブローカーは、お客様の代理人です。保険契約時の『入口』から、事故や損害が生じた際の保険金支払、すなわち『出口』までのサービスを一気通貫で提供することが弊社の使命」とDeputy Managing Directorの宮本氏は説く。

『入口』では、顧客が抱えるリスクに基づく適切な補償の設計、保険会社の選定・交渉を経て、リーズナブルな保険料を提供するとともに、契約内容を分かりやすく正確に伝える。

一方の『出口』では、顧客に寄り添い、早期且つ適切な保険金支払いを実現するため、交渉代理人として保険会社との折衝を行う。2011年の大洪水時、多くの企業が事業休止を余儀なくされ、資金繰りが喫緊の課題となる中、宮本氏を筆頭にスタッフ総動員で水没する現地に赴き、損害調査に奔走。現場のひっ迫した被害状況を伝える熱量のこもった交渉により、保険会社から早期の保険金支払いを実現し、罹災企業の窮地を救った。

変革を続ける同社の経営  前述のように、同社ではBtoBの保険サービスを主軸として取り扱ってきた。しかし、タイの経済発展に伴う生活様式の変化や、劇的に移り変わる事業環境を受け、同社の事業にも変化が見られる。

タイで国民生活の足となる二輪車に対する保険や、家電やIT機器を対象とした延長保証は、法人パートナーとのBtoBtoCスキームを通じて20年来手掛け、事業の大きな柱に成長した。2020年にはペット保険の販売を開始して、BtoC領域にも進出。これらの保険は今では業界トップクラスのシェアを誇るが、特にペット保険はコロナ禍の巣籠もり需要を見事に汲み取った事例である。

また、企業向けの損害保険においては、いわゆる「倒産保険」とも呼ばれる取引信用保険の取り扱いにも益々注力する。取引先の倒産や長期不払いなど債権の焦げ付きを対象とした保険だ。「企業における優先課題の一つは取引におけるリスクヘッジだが、リスク無くして企業の成長はあり得ない。取引信用保険は、不透明な経済下での貸倒リスクをヘッジするとともに、専門の保険会社の機能を活用した取引先の与信判断の手法としても重宝されている」とManagerの江尻氏は語る。ここ2~3年は、タイのローカル企業からの照会も増えているという。

発揮するマーケットインの視点

Deputy Managing Director 宮本 憲 氏
Deputy Managing Director 宮本 憲 氏

生活や人に対する保険に目を向けてみると、WHOの統計では、2000年からの20年でタイの一人当たり医療費が毎年平均約8.8%上昇、つまり約5倍となったことを示している。

同社では、「タイで働く日本人の安心安全を提供する必要がある」と、医療費インフレが続く2005年に、Bangkok Life Assurance社と共同で、いち早く日本人向けの団体医療保険「Japanese Medical」の販売を開始した。通院・入院はもちろんのこと、歯科治療や理学療法を含む日本人のニーズを網羅的にカバーする保険だ(下部参照)。

法人契約に限定することで、リーズナブル且つ安定した保険料の提供を実現している。 団体医療保険を担当する大森氏は、「近年では物価インフレや、情報収集が容易になったことを受け、職選択において福利厚生や働きやすさを重視する傾向が強まっている。人材確保・定着率向上の観点から、人事戦略の重要な要素として、タイ人従業員向け団体医療保険の採用や拡充が加速している」と語り、この領域に注力する。

時代を反映する保険ブローカービジネス

1997年のアジア通貨危機、2008年のリーマン・ショック、2011年のタイ大洪水と、同社が歩んできたこの約30年の間に、タイ経済はいくつもの危機を乗り越えてきた。「そのたびに必要性が見直され、成長を続けてきたのが保険ブローカー業の市場だったのではないか」と宮本氏は振り返る。一方で、企業としての成長戦略から、BtoB以外の領域への展開と見直しを続けてきた結果が、現在の事業ラインナップであり、同社が業界のリーディングカンパニーたる所以ではないだろうか。

進出当初は日系企業が取引の中心であった。その根幹が揺らぐことはないものの、日系に限らずタイで活躍するすべての企業と人々のサポートを使命に、非日系企業との取引は今では4割にも及ぶ。時代とともに変革を続ける同社の更なる挑戦に注目したい。

Japanese Medical Insurance

15th Floor, Two Pacific Place Building, Room No. 1502, 1503, 142 Sukhumvit Road, Kwaeng Klongtoey, Khet Klongtoey, Bangkok 10110

日本人窓口:[email protected]

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THAIBIZ編集部

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