THAIBIZ No.151 2024年7月発行スマートシティ構想で日タイ協創なるか
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公開日 2024.07.10
ケミカル、合成樹脂、エレクトロニクス、モビリティ、ライフ&ヘルスケアなど幅広いビジネスをグローバルに展開する化学系専門商社、長瀬産業のタイ法人ナガセ・タイランドは、1989年に設立され、今年設立35周年を迎えました。
ビジネス環境が急速に変化する今、同社は新たなビジネス創出に向けて果敢に挑んでいます。ナガセ・タイランドが目指すタイ企業との共創とは、さらにその先の未来とは。吉本恒治社長と機能素材事業部ゼネラル・マネージャーの沼田佳朗氏に話を伺いました。
Nagase (Thailand) Co., Ltd.
化学品専門商社、長瀬産業株式会社のタイ現地法人。ケミカル、合成樹脂、エレクトロニクス、モビリティ、ライフ&ヘルスケアの各分野において素材・部品の輸出入及び国内販売。
目次
吉本社長:長瀬産業の海外事業において、タイは非常に重要な拠点です。販売規模では上海に次ぐ2番目、ASEAN域内ではトップです。自動車、OA機器、家電、電子部品などさまざまな産業における日本企業のタイ進出に伴い、ロジスティクスを中心にサプライチェーンをサポートすることで事業を拡大させ、さらには現地企業やその他の海外企業との事業も発展させてきました。
ASEANにおける長瀬産業の拠点は、合成樹脂を中心に各国の市場の需要に応じた展開を進め、最近では半導体などの先端エレクトロニクス、食品・香粧品・医薬などのライフ&ヘルスケアにも注力しています。
沼田氏:TJRIのメルマガでオープン・イノベーション・トーク※のイベント情報を知ったことです。このイベントでは、タイ企業が日本企業のパートナーを募集していることが紹介されていました。
※タイ企業の経営幹部から経営⽅針や業界のトレンド、ニーズを直接聞くことができるTJRI主催のオンライン・プログラム
沼田氏:当社はこれまで主に日系企業を中心に事業を展開してきたため、収益の核となるような地場企業との取引はまだ多くはありません。昨今は日系企業がタイで事業を行うことが当たり前となり、また市場環境の急速な変化で日系自動車産業やOA機器、電子部品等の既存ビジネスが厳しさを増しています。
このような状況下、成長のための新たな事業の柱を作る必要性を強く感じており、その一つとしてタイで成長するタイ企業と共に新たな事業創造を志向していくことが求められるようになりました。
ただし展示会やオンラインでの営業活動では有望な企業と効果的な接点を持つことは難しく、適切な担当者と出会うことができないのが課題でした。
沼田氏:TJRIのイベントを通じて、自社のリソースを有効活用するなどして、タイ政府が国家戦略として推進するBCG(バイオ、循環型、グリーン)経済分野で新たな事業を立ち上げるために外部のテクノロジーやリソースを求めている複数のタイの有力企業や地場企業と繋がりができ、実際に協業も視野に入れた前向きな議論も行っています。
当社もタイのリソースと自社のリソースを組み合わせて新規事業開発をしたいという思いがあり、特にバイオテクノロジーは当社の得意分野かつNAGASEグループ全体の成長戦略の一つとして重点事業に定めています。なかでも、あるタイ有力企業とは戦略の方向性が一致し、以降頻繁に打ち合わせを重ねています。今では同社と当社本社の経営陣同士の関係も構築されており、共創パートナーとして新規事業を形にしていきたいと考えています。
吉本社長:TJRIでは毎月多くのイベントが開催されており、具体的なアクションを起こしやすい環境が整っています。私は今年3月に赴任したばかりで、現在はタイについて情報を収集している段階であり、6月に開催された4日間の集中ビジネス講座はタイで働くために必要な知識をまとめて習得できる良い機会でした。
沼田氏:私たち駐在員は3〜5年程度で入れ替わります。業務の引き継ぎは社内で行いますが、タイのビジネス情報や一般的な知識はばらつきがあります。しかし、TJRIと繋がっていることで、タイ企業やタイ社会の生の声を常に入手でき、法人として連続性を保つことができるのは非常に意味があることだと思います。
吉本社長:長瀬産業は、これまで顧客のものづくりの課題を素材や技術を通じて一緒に解決してきました。産業構造が大きく変わる今、タイでも多くの企業が生き残りをかけて新たな事業に乗り出しています。タイ企業と事業を進める上では、さまざまな課題はありますが、これまで日本で培ってきたノウハウと仕組みを活用して、タイの地場企業の課題を解決できるソリューションを提供し、持続可能なビジネスを共に築いていきたいと考えています。
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THAIBIZ編集部
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